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光で文字を印刷して熱で消去可能な普通紙向けコーティング技術が開発される

by waferboard

環境保護などの観点から「紙」の使用量は減らせるにこしたことはありませんが、内容が鉛筆で書かれているならともかく、印刷されていると「消して再利用」はできません。その前提を変える、光(紫外線)で文字を印刷し、内容は120度の熱で消すことができて繰り返し利用が可能な「紙」が開発されました。

No ink needed: Scientists have invented a paper that you can print with light, erase with heat, and reuse 80 times — Quartz
https://qz.com/902276/no-ink-needed-scientists-have-invented-a-paper-that-you-can-print-with-light-erase-with-heat-and-reuse-80-times/

Photocatalytic Color Switching of Transition Metal Hexacyanometalate Nanoparticles for High-Performance Light-Printable Rewritable Paper - Nano Letters (ACS Publications)
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.nanolett.6b03909


この技術はカリフォルニア大学リバーサイド校のYadong Yin博士らによって考えられたもので、酸化チタン(TiO₂)とプルシアンブルー(PB)、プルシアンブルー類似体を用いています。それぞれのナノ粒子の混合物を、普通紙にコーティングします。

酸化チタンは光触媒として知られており、紫外線が当たると表面から電子が飛び出します。この電子による酸化還元反応で、プルシアンブルーが白色に変化します。


つまり、コーティングした普通紙に紫外線を当てることで「青地に白文字」、あるいは「白地に青文字」での印刷ができるというわけです。


文字の解像度は5μmで、そのまま維持可能な時間はおよそ5日ほど。すぐに消したい場合は120度の熱を10分間与えればOK。

光で印刷する「インクフリーペーパー」はこれが初ではありませんが、Yin博士らの技術の優れているところは安く簡単に実現可能なところで、Quartzでは「商用化の目はある」とコメントしています。

なお、普通紙にコーティングを行う機械が安ければそれだけ普及の可能性は高まりますが、Yin博士らは次はこの問題に取り組む予定だとのことです。

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in メモ, Posted by logc_nt

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