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サイエンス

3Dプリンターを使ってプラスチックを鉄の10倍の強度にする3次元構造体の作成に成功


炭素原子が正六角形に連なるように平面上に広がる「グラフェン」は、地球上で最も高い強度を持つ物質で、圧倒的な軽さで高い強度を持たせる構造体を実現できるのではないかと期待されている夢の材料です。しかし、2次元的な構造をとるグラフェンを、いかにして3次元的に構成するのかというのは非常に難しい問題で、世界中で研究が進められています。そんな中、MITの研究者がグラフェンを立体化する構造体の考案に取り組み、3Dプリンターを使った実証実験で、プラスチックを鉄の10倍の強度にする3次元構造体の作成に成功。グラフェンだけでなくあらゆる材料を軽く・強くする可能性が見いだされています。

3-D-printed gyroid models such as this one were used to test the strength and mechanical properties of a new lightweight material.
http://news.mit.edu/2017/3-d-graphene-strongest-lightest-materials-0106

MITの研究者による3Dプリンターを使った超軽量・高強度の物体を作成する様子は以下のムービーで確認できます。

One of the strongest lightweight materials known - YouTube


炭素原子だけで構成されるグラフェンは、シート状に広がり原子1個分の厚みしか持たないため、グラフェンが持つ高い強度を活用する方法が探られています。


MITのマーカス・ビューラー教授たちの研究チームは、3Dプリンターを使って材料を立体化したモデルを作成して、強度を計測する実験を行いました。


左の図がコンピューターを使った3Dモデル。グラフェンを模した正六角形が歪みながらつながることで立体になる構造です。


計算上は、強い圧力がかかる場面では物体がひしゃげながらも高い強度を保つはずだとのこと。


このモデルは3Dプリンターを使って樹脂で作成されています


完成した物体に上下から圧力をかけていき強度を調べると……


層が下からつぶれるように縮んでいきます。


実験では、構造を変えた2つのパターンが作成されています。


注目すべきは右の立体物。


左の立体物が、層が押しつぶされるように縮みながら変形していくのに対して、右の立体物はわずかに縮みますが形は維持したまま。


しかし、ある時点で飛び散るように粉砕されました。


同じ樹脂材料を使っていても、強度やつぶれ方がまったく違う特性になることがわかります。


MITの研究者が作った立体物は、すでに鉄の20分の1の重量で10倍の強度を持たせることに成功しています。


3Dプリンターを使った実証実験によって、同じ材料のものでも立体構造を変えることで強度や靱性のまったく異なる物体にすることが可能。この構造体の研究はグラフェンを立体化するための方法論の探求ですが、あらゆる素材を軽くかつ強く形成する用途に応用できるとのこと。


ビューラー教授は最終的にグラフェンを立体化することを目標としており、現時点では金属または樹脂で作った空間だらけの立体物にグラフェン片を吹き付けた後、熱で金属・樹脂を溶かすことでグラフェンでできた高い強度を持つ構造物の作成を検討しているそうです。

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in ハードウェア,   サイエンス,   動画, Posted by logv_to