健康的な食べ物は値段が高く、値段が高い方がより健康に良いはずだと人々は信じていることが研究で判明

by A Healthier Michigan

「食物の価格」についての研究で、消費者は健康によい食べ物は高いもので、たとえ根拠がなくても、高ければ高いほど健康にいいはずであると考えていることが明らかになりました。

The strange effects of thinking healthy food is costlier | News Room - The Ohio State University
https://news.osu.edu/news/2016/12/19/healthy-expensive/


これはオハイオ州立大学のレベッカ・W・レクゼク氏、ヴァンダービルト大学のケリー・ホーズ氏、ジョージア大学のケヴィン・サンプル氏が行った研究で、「Journal of Consumer Research」に掲載されています。

イギリスの心理学者エイドリアン・ファーナムは日常的な世界のふつうの人の持つ理論や信念について「しろうと理論 日常性の社会心理学」という本を著しています。この「ふつうの人の持っている理論」というのは、あくまでその人にとっての常識に基づくもので、真実か否かは関係がありません。そういった「素人理論」の1つが、「健康的である=高価である」というもので、レクゼク氏らはここに着目して研究を行いました。

◆実験1:グラノーラの健康等級

by Stacy Spensley

1つ目の実験は、グラノーラの新製品の健康等級を用いたもの。健康等級は高い(Aに近い)ほど健康的なものであることを示します。被験者のうち1グループは「グラノーラの健康等級はAマイナス」、もう1つのグループは「グラノーラの健康等級はC」と伝えられました。

その後、グラノーラの価格がどれぐらいかを考えてもらったところ、等級はAマイナスだと聞いたグループの方が、Cだと聞いたグループよりも高い値を付けました。

◆実験2:同僚のためのランチ

by Meal Makeover Moms

2つ目の実験は「同僚のためのランチを買ってくる」というもの。被験者はまたAグループとBグループに分けられ、Aグループにだけ「同僚は健康的なランチを食べたがっている」という情報が与えられました。ランチは二択で、1つは「チキン・バルサミコ・ラップ」、もう1つは「ローストチキン・ラップ」。価格は被験者によって変更され、Aグループ半数とBグループ半数に対してはバルサミコを高価に、残りに対してはローストチキンを高価に設定しました。

その結果、Aグループの人々は、どちらの品が高価に設定されていたかにかかわらず、「高い品を選ぶ」という傾向が出ました。

◆実験3:トレイルミックスの売り込み方

by Sara Milne

3つ目の実験は、「4種類の異なる価格のトレイルミックスを買うなら」と想定したもの。被験者には、それぞれのトレイルミックスの特徴が伝えられましたが、研究者が着目したのはこの中の「パーフェクト・ビジョン・ミックス」で、被験者のあるグループには「目の健康にいいビタミンAが豊富」と伝えられ、また別のグループには「目の健康にいいDHAが豊富」と伝えられていました。

ビタミンAとDHAはいずれも確かに目の健康にいい成分ですが、この時の被験者の中にはDHAについて詳しく知っている人はいませんでした。トレイルミックスについての情報を与えたあと被験者に質問してみると、「ビタミンA推し」については人々は価格がどうであっても等しく重要な要素だと認識していました。一方、「DHA推し」については他のトレイルミックスの平均価格より高かったときにはじめて「DHAというのはどうやら健康に重要な要素らしい」と認識することがわかりました。


レクゼク氏はこれを「人々はビタミンAについては詳しいので、トレイルミックスの価格という情報がなくても価値を理解することができます。しかし、DHAのことはあまりわからないので、『健康的である=高価である』という「しろうと理論」に基づき、価格が高ければ健康的なのだと判断するのです」と説明しています。

ちなみに、DHAについて黄斑変性を防ぐという情報を与えられた場合、人々はそのトレイルミックスが高価であればあるほど、これが重大な健康問題なのだと認識しましたが、一方で価格が平均的だと黄斑変性への興味を失うという、「健康的=高価」理論による副作用のような結果も現れました。

◆実験4:世界一健康的なプロテインバー

by robertstinnett

最後の実験は「世界一健康的なプロテインバー」というブランドスローガンを掲げた新製品の評価を行うもの。被験者にはこの種のプロテインバーは1つ平均2ドル(約240円)であることが共通して伝えられ、被験者の一部には「新製品は0.99ドル(約120円)」、残りには「新製品は4ドル(約470円)」と価格が伝えられました。

この実験では、自分が新製品の評価を行う前に他者の評価を見られるようにしたのですが、価格が0.99ドルだと伝えられた被験者は4ドルだと聞いた被験者よりも多くの評価をチェックする傾向がありました。これは「世界一健康的なプロテインバー」が平均よりも安いとはとても思えなかったためで、「平均の2倍の4ドルする」ならすんなりと受け入れたとのこと。

これらの結果を受けてレクゼク氏は、人々は自分たちの認識に「健康的=高価」というバイアスがかかっていることを受け入れた上で、それを克服しなければならないとコメントしています。

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in , Posted by logc_nt

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