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ギャンブル依存症が生まれる理由とは?カジノやメーカーの巧妙な戦略

By bass_nroll

アメリカでは40の州で合計1000軒のカジノがあり、利用者により賭けられるお金は1年間で約370億ドル(約4兆円)もあります。この金額はスポーツイベント(約1.9兆円)や映画(約1兆1660億円)といった他のエンターテインメント産業では考えられないほど高くなっています。しかし、カジノの人気の裏ではギャンブル依存症に陥る人が大勢おり、その中にはギャンブルにはまり過ぎて自殺に追い込まれる人がいるのも事実。そんなギャンブル依存症は、プレイヤーの自己責任だけでなくカジノやメーカーの巧みな戦略によって生み出されているという意見があります。

How Casinos Enable Gambling Addicts - The Atlantic
http://www.theatlantic.com/magazine/archive/2016/12/losing-it-all/505814/?single_page=true

ギャンブルによる社会問題に取り組むThe National Council on Problem Gamblingによれば、ギャンブル依存症に陥った人のうち5人に1人は自殺しており、これはあらゆる依存症の中でも最も高い自殺率になっているとのこと。警察官がカジノで頭を拳銃で撃ち抜いて自殺したり、24歳の学生が援助金をラスベガスで使い込んで自殺したりなど、ギャンブルに関する自殺の事例は多々あります。

また、富裕層でもギャンブルにはまって失敗する人がいます。ある企業のCOOだった男性が、仕事で立ち寄ったラスベガスでギャンブルに出会い、そのままのめり込んでしまい1年間で約5億2000万円ものお金をカジノにつぎこみ、それだけではとどまらず会社のお金にまで手を出して、最終的に家族を残して自殺するという事件がありました。

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ギャンブル依存症の多くがプレイしているのはスロットマシンです。ただし、昔のスロットマシンとは違い、現代のものはビデオスロットやビデオポーカーと呼ばれる機種で、射幸性が高く依存症に陥りやすくなっているとのこと。ギャンブル依存症で自殺した人の遺族の弁護士を務めたことがあるテリー・ノフシンガー氏は「ビデオスロットやビデオポーカーを開発するメーカーは、マシンのゲームデザインをどのようにすればプレイヤーが依存症になるか熟知している。メーカーが意図的にプレイヤーを依存症にしようとしているのは明らかです」と話しています。

昔のスロットマシンはジャックポットと呼ばれる大当たりの確率が約10648分の1でしたが、ビデオスロットは1億3700万分の1。確率が低い分見返りも大きいそうですが、1億3700万分の1という確率は当てるのはほとんど不可能と言っても過言ではない確率です。しかし、最近のスロットマシンは「もう少しでジャックポット寸前」「絵柄が揃いそうで揃わない」という巧みな演出をすることで、プレイヤーに「ものすごくおしかった。もしかしたらもうすぐ当たるかもしれない」という心理的な影響を与え、プレイさせ続けるように設計されています。また、「もう少しで大当たりだった」というスロットマシンの演出が起こったとき、人間の脳内では「大当たりしたときとほとんど同じ反応」が発生し、プレイヤーは「負けた」というよりもむしろ「勝った」と感じてしまいます。

ビデオスロットやポーカーマシンが依存症に陥りやすいギャンブルである理由の1つとしてスピード性があげられます。ビデオスロットやポーカーマシンは1回のプレイ時間が数秒ほどで、次から次へと止まらずにプレイできるのですが、この短いプレイ時間はプレイヤーに「もうやめようかな」と考える暇を与えずに、プレイさせ続けるのに貢献しているとのこと。また、数秒というスピードでプレイし続けると、プレイヤーは仮死状態のような「特殊なゾーン」に入る、と専門家は言います。このゾーンに入ってしまうと、プレイヤーは悩みごとや過去のトラウマといったことを忘れ、時には何十時間もプレイし続けることがあり、食事をとらなかったり子どもを自動車に放置しっぱなしになったりという問題を生み出す原因になることもあります。

By Thomas Hawk

このほかにも、脳に直接作用するような仕掛けが現代のビデオスロットやポーカーマシンには施されており、プレイヤーは知らない間にやめたくてもやめられない依存症へと陥っていくというわけです。

プレイヤーがギャンブル依存症になるのは、ビデオスロットやポーカーマシンだけでなく、カジノにも問題があると指摘されています。カジノのビジネスプランは、旅行者のような一見の客ではなく毎日のように来るパトロンのようなギャンブル依存症のお客さんに基づいて作成されており、カジノ側でもパトロンにプレイさせ続けるためさまざまな戦略を練っているというわけです。

カジノはパトロンが「もうそろそろ限界だ。やめよう」と感じるポイントを熟知していて、これは「ペインポイント」と呼ばれています。パトロンの動きをカジノ内でトラッキングし、パトロンが「大きく負け越したとき」や「持ちチップがゼロに近いとき」といったペインポイントに到達しそうな時には、フリークレジットやドリンク、レストランでの食事をオファーするとのこと。時には「勝って取り戻せますよ」と話しかけることもあるとか。この戦略は、イライラしたお客さんがパトロンの周囲でマシンを殴ったり、文句を言ったりして、パトロンのモチベーションを下げそうなときにも有効的だそうです。

また、カジノが自分のお金を使い切ってしまったパトロンにお金を貸すこともあります。ノフシンガー氏が弁護を務めたジェニー・ケプハート氏は、カジノで一晩中プレイしたあげくに自分が持っていたお金を全て使い切ってしまったのですが、カジノがやめようとするケプハート氏に白紙の小切手を差し出してきた、つまりカジノがケプハート氏にギャンブルを続けさせるためにお金を貸そうと提案したわけです。ケプハート氏は一晩で約1360万円もの大金をカジノから借り、結局ギャンブルで全て使ってしまいます。その後、カジノは支払い能力のないケプハート氏を訴えましたが、訴えは棄却されました。

By Roxanne Ready

ギャンブル依存症に陥った人は、自分の意思ではギャンブルをやめることがなかなかできません。ギャンブル依存症は、ドラッグ依存症のように特定の成分を摂取するわけではありませんが、神経や心理に対する作用はドラッグやアルコール依存症と酷似しているとのこと。「こういったギャンブル依存症の人をカジノは出入り禁止にすべき」という指摘もあります。ギャンブルにのめり込むのは自己責任だと言われることがありますが、カジノやメーカーが利益を得るためにプレイヤーをギャンブルにのめり込ませているという一面もあるようです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log