新大統領の誕生でホワイトハウスが初めて経験する「デジタルな引き継ぎ」

By Nick W

ドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン上院議員が文字どおり激しい戦いを繰り広げている第45代アメリカ合衆国大統領選挙は、2016年11月8日に投開票が行われ、2017年1月上旬に当選者が正式に決定して1月20日には新しい合衆国大統領が誕生する予定となっています。この交代劇は「権力の移行(Transition of Power)」とも呼ばれており、大統領が勤務するホワイトハウスの内部でも変化が起きる時期となっています。しかし今回の選挙では、ホワイトハウスがこれまでに経験したことのない「デジタルな権力の移行」が大きなテーマとなっており、興味深い措置が取られることになっています。

The Digital Transition: How the Presidential Transition Works in the Social Media Age | whitehouse.gov
https://www.whitehouse.gov/blog/2016/10/31/digital-transition-how-presidential-transition-works-social-media-age

世の中にインターネットが広く普及したことにより、合衆国大統領もその影響を無視するわけにはいかなくなってきました。バラク・オバマ第44代アメリカ大統領は2015年に初めてのツイートを行い、Facebookでの発信を開始したり、はたまたYouTubeでインタビューを受けたりなど、歴代の大統領の中でもかなりデジタルに寄った発信方法を取り入れた大統領といえます。

さらに、以下のムービーのように、Snapchatのフィルタ機能を使ってモンスターに変身したところを、妻でファーストレディーであるミシェル・オバマ夫人に「いいかげんにして」と止められる様子をコメディータッチで映像にしてデジタル世代とのつながりをアピールしていたりも。(ちなみに、このムービーでは、「免許証がないなら、誕生証明書が必要です」と役所の窓口で言われ、「本物だよ」と言いながら証明書を提出する様子も。これは、「アメリカ生まれじゃない」と非難を受けていたドナルド・トランプ氏に対する当てこすりと思われるもの)

Couch Commander - YouTube


オバマ大統領に歩調を合わせるように、ホワイトハウスもオバマ氏が大統領に就任した2009年にウェブサイトを一新してブログやRSS、メーリングリストなどの仕組みを取り入れた「WhiteHouse 2.0」として生まれかわっています。

WhiteHouse 2.0 | whitehouse.gov


このように、オバマ政権になって以来ホワイトハウスでは、大統領に関する多くの情報発信がデジタルを通じて行われてきました。そのオバマ政権が終わりを迎えつつある今、それらの資産をどのように保管し、「デジタルな引き継ぎ」を行うかが検討されています。とはいえ、そのような取り組みはホワイトハウスでも前例がないため、以下の3つのポイントを主なゴールとして綿密な準備が行われているとのことです。

まず、これまでに発信されたツイートや写真など全てのマテリアルは、これまで保存されてきた過去の政権の文書やファックス、Eメールなどと同様にアメリカ国立公文書記録管理局(National Archives and Records Administration:NARA)のデジタル文書アーカイブシステム「Electronic Records Archives (ERA)」によって保存されるとのこと。次に、このようにして保存されたマテリアルは、TwitterやYouTubeなど元のプラットフォームのまま保存され、閲覧できる状態に残すことを保証することになっています。そして、次の大統領の政権下においても党派の関係なく、これまでの国民と直につながることができるデジタル資産の活用と開発を行うことが重要なポイントとして挙げられています。

ホワイトハウスでは、ソーシャルメディアやウェブサイトなどの項目に分けて、以下のような方針を打ち出しています。

◆ソーシャルメディア
オバマ大統領が使用していたTwitterアカウント「@POTUS」(President Of The United States)は、次に選ばれる第45代大統領が2017年1月20日からそのまま引き継いで使用します。1100万に上る現在のフォロワーはそのまま引き継がれますが、過去のツイートは全てリセットされてゼロの状態からスタートするとのこと。オバマ大統領によるこれまでの発言は、新アカウント「@POTUS44」にそのまま引き継がれ、アカウントはNARAによって管理されることになっています。また、オバマ政権に関連する「@WhiteHouse」や「@FLOTUS」、「@PressSec」などのアカウントも、同様の措置が取られます。

President Obama (@POTUS) | Twitter


InstagramおよびFacebookのホワイトハウスのアカウントもリセットされ、オバマ政権下での履歴は「instagram.com/ObamaWhiteHouseと「facebook.com/ObamaWhiteHouse」でそれぞれ閲覧が可能な状態でNARAによって保管されます。また、大統領と副大統領、ミシェル夫人のアカウントについても「44」が加えられたアカウント名に移行され、NARAによって保管されることになっています。

また、MediumやTumblr、YouTubeのアカウントについても、これらに準じた措置が取られるとのこと。

◆「We the People」
2011年9月に開始されたホワイトハウスが運営するオンラインの嘆願受付プラットフォーム「We the People」には現在、1200万人の認証済みユーザーが登録しており、47万件の嘆願が寄せられています。年を追うごとに存在感を増しているというWe the Peopleにおける嘆願と、それに対するホワイトハウスの対応の記録も、NARAによって保管される予定とのこと。

◆WhiteHouse.gov
クリントン政権およびブッシュ政権と同じように、2017年1月20日をもってオバマ政権下でのホワイトハウスのウェブサイトは凍結され、それ以降は「ObamaWhiteHouse.gov」で閲覧が可能な状態になります。第45代大統領の政権はWhiteHouse.govドメインを使用することとなります。

The White House | whitehouse.gov


◆動画および写真
8年間のオバマ政権では、何百万件もの動画や写真データが作成されました。これらは全てNARAによってアーカイブされ、大統領記録法に沿って公開されます。また、FlickrやInstagramに投稿された写真、YouTubeやVimeoなどにアップロードされた動画などもNARAによる管理に入り、「44」がついた新しいアカウントで引き続き公開されることになっています。

◆その他のデータも広く公開
上記の措置に加え、ホワイトハウスではさまざまなデータをアメリカ国民に広く公開する方針を表明しています。その方法については広く意見を募っており、ホワイトハウスのこのページからアクセスすることが可能です。

大統領選を見ていると、両候補の対決にばかり目が向いてしまいますが、実はこのような準備が水面下でも着々と進められていることがわかります。それにしても、新しいアカウントへ移行する方法やその態勢に関する論理的でシステマチックな対応は、さすがアメリカと唸らされるものがあります。

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