テスラが家庭用バッテリー「パワーウォール2」と屋根タイル一体型太陽光パネル「ソーラールーフ」発表


一般家庭にも普及が進みつつある太陽光発電では作った電力を安定的に「貯める」ことはほぼ不可能で、余った電力は電力会社に売るしか手段がなく、しかも売電価格は下降傾向にあります。そんな中、イーロン・マスク氏率いるテスラモーターズはリチウムイオンバッテリーとインバーターを内蔵して一般家庭に必要な電力を供給できる「パワーウォール2」と、一般家庭の屋根タイルと全く見分けがつかない太陽光発電パネル「ソーラールーフ」、そして企業や電力会社向けリチウムイオンバッテリー蓄電装置「パワーパック2」を発表しました。発電はできても貯めることが難しかった電力の問題を解消し、サスティナブル(再生可能)な太陽光エネルギーを家庭単位で安定的に実用化しそうなシステムとなっています。

パワーウォール | テスラ ホームバッテリー
https://www.tesla.com/jp/powerwall

テスラが発表した「パワーウォール2」は壁や床に設置が可能な蓄電装置で、屋外・屋内を問わず設置が可能。内部に容量14kWhのリチウムイオンバッテリーを内蔵し、同社の太陽光タイル「ソーラールーフ」で発電したソーラーエネルギーの自家消費、緊急時用のバックアップ電源、負荷シフトや他の電力系統サービスアプリケーションを可能にするよう設計されています。


家庭に設置したイメージはこんな感じ。液冷式温度管理システムを内蔵し、気温マイナス20度から50度までに対応。リチウムイオンバッテリーに蓄えた電力をインバーターで家庭用電力に変換して、連続5kW・ピーク7kWの電力を家庭に供給が可能な性能。夜間の電力が安い時間帯に充電しておいたり、余った電力を売電することもでき、経済的なメリットを得ることも可能。


本体サイズは1150×755×155mmで重量は122kg。最大で9機のパワーウォール2を連結することが可能となっています。電力効率は約90%で、10年間・サイクル制限なしの保証がついているとのこと。なお、今回発表されたのは2015年に発売されていた「パワーウォール」に次ぐ第2世代となっています。


また、企業や発電所など業務用に提供されるのが、この「パワーパック2」と呼ばれる蓄電装置。パワーウォール2と同様にリチウムイオンバッテリーを内蔵し、2015年に発売された「パワーパック」の第2世代となるパワーパック2は、本体を連結することで200kWhから数100MWhの規模にまで拡張可能(スケーラブル)なシステムになっています。導入先は大型スタジアムやインフラ提供企業などとなっています。


パワーウォール2に貯める電力を作り出すのが、屋根タイルとほぼ見分けがつかない外見の「ソーラールーフ」です。設置イメージは以下のとおりで、「どこにソーラーパネルが?」と探してしまうレベル。というより、普通の屋根用タイルにソーラーパネルが組み込まれているため、外見から見分けることはほぼ不可能。


テスラが開催した発表会は、実際にソーラールーフを使っているモデルハウスの前で開催されています。4種類のソーラールーフがどれぐらい普通の屋根と見分けがつかないかは、以下のムービーを見ればよくわかります。

Powerwall 2 & Solar Roof Launch on Vimeo


ごく普通の屋根を映した空撮映像。しかし実はこれらはすべてソーラールーフとのこと。


どこからどう見ても普通の屋根タイルに見えます。


マスクCEOが手に持つのが、ソーラールーフの実物。「テクスチャード・ガラスタイル」という種類で、洋風の住宅によく使われる「スレート」に似たデザインになっています。


今度は別の家の屋根。


モザイク風の色使いで、「フランス風」と呼ばれるこのタイルも、もちろんソーラールーフ。全てのタイルが別の模様を持つように生産されるので、微妙な色使いが重なる屋根に仕上がるようになっているとのこと。


ソーラーパネルを内蔵しているのがよくわかるアングル。下部分の少し黒い部分が太陽光を受けて発電するようになっています。このタイルの名前は「サテン・ガラスタイル」と名付けられています。


今度は少しモダンなこの住宅。


もちろん屋根はソーラールーフ。


このタイルは「スムース・ガラスタイル」と名付けられたもので、ソーラー部分の面積比率が多めになっている模様。


そして4つめが、このテラコッタ風の屋根を持つ住宅。


この屋根にはソーラールーフと普通の屋根タイルの2種類が使われており、黒く見えるタイルだけがソーラールーフになっているとのこと。


「タスカン・ガラスタイル」と名付けられているこのタイルは、最も大きいサイズのもので価格も最も値が張ると語るマスクCEO。このように、タイルに直角の角度から見ると黒いソーラー部分が目立ちますが……


大きく傾けると、泥から作られたテラコッタのような風合いに見た目が変化。見る角度によって見え方を変えることで、太陽に対しては最も発電に最適な角度を実現しつつ、住宅のデザイン性を損なわず、自由度の高いコーディネイトを可能にするというのがソーラールーフの最大の特徴といえます。


なお、名前からもわかるようにソーラールーフは素材がガラスでできているとのこと。しかし、通常のテラコッタやスレートのタイルに比べても高い耐久性を持っているため、実用性には問題ないと発表されています。


テスラでは、これらの製品を提供することで、地球規模で増加を続ける二酸化炭素の問題を解決することをミッションに掲げています。2016年8月には、マスク氏が会長を務めていたソーラーシティ社とテスラモーターズの合併が合意に至ったことでテスラとソーラーシティは一体となり、環境に優しいクルマに乗り、バッテリーパックを使って効率良くエネルギーを消費するというライフスタイルの提供が可能になったとのこと。

これらのうち、一般の人に最も関連がありそうなのは「パワーウォール2」と「ソーラールーフ」ということになりそうなわけですが、パワーウォール2は日本のウェブサイトでも予約の受け付けが始まっており、価格は1基61万7000円から。2017年内から納品が開始されることになっており、納品の際には設置と付随するハードウェアに11万2000円が必要になるとのこと。ソーラールーフは記事作成時点では詳細未発表となっています。

なお、今回発表された製品は、マスク氏が2016年7月に発表していた今後10年の行動計画「マスタープラン・パート2」でも「蓄電装置をシームレスに統合した、圧倒的な性能を持つ屋根型の太陽光発電パネルを作る」として触れられていたもの。このプランではさらに、「EVのモデルを拡充して、全てのセグメントでモデルラインを展開する」「膨大な量のデータを用いて自動運転カーを学習させ、人間が運転するよりも10倍も安全な運転性能を実現する」「ユーザーが自動車を使っていない時に、お金を生むことができる自動車を作る」というプランが示されており、これらも同様に実現されることになるのか、注目が集まりそうです。

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