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新たな高速無線通信「WiGig(IEEE 802.11ad)」対応のスマートフォンやノートPCが2017年登場へ

by CommScope

無線通信用に従来使われてきた2.4GHzや5GHzではなく、60GHzという高周波数を利用して広帯域幅で通信を行う高速な無線通信規格「WiGig(IEEE 802.11ad)」の認証プログラムの実施をWi-Fi Allianceが発表しました。これがWiGig普及への号砲となり、2017年には対応機器や対応端末が出てくることが期待されます。

Wi-Fi CERTIFIED WiGig(TM) brings multi-gigabit performance to Wi-Fi(R) devices - World News Report - EIN News
https://world.einnews.com/pr_news/350844254/wi-fi-certified-wigig-tm-brings-multi-gigabit-performance-to-wi-fi-r-devices


Faster Wi-Fi will be in smartphones and laptops next year - The Verge
http://www.theverge.com/2016/10/24/13384736/wigig-wifi-certification-faster-speeds-coming-2017

WiGigは、2009年に大容量の高速通信を行える無線通信規格として、MicrosoftやIntel、NEC、パナソニックなど業界15団体が集まって立ち上げた「Wireless Gigabit(WiGig) Alliance」によって作られたもの。2009年当時の無線通信の規格は、最大伝送速度600MbpsのIEEE 802.11nが9月に正式規格として認定されたところで、2.4GHz帯で最大伝送速度54MbpsのIEEE 802.11gや、5GHz帯で最大伝送速度54MbpsのIEEE 802.11aが用いられていました。

ちなみに、無線通信によってデータの送受信を行うローカル・エリア・ネットワーク(LAN)が「無線LAN(ワイヤレスLAN/WLAN)」で、「無線LAN」の通信規格の中の1つが、IEEEの策定する「IEEE 802.11」。しかし、規格化されたにもかかわらず、初期は異なるベンダーの製品同士が接続できないという問題が発生したため、無線LANの普及促進のためにWi-Fi Allianceという業界団体が作られました。Wi-Fi Allianceによる相互接続性認証プログラムを通過した認証製品のブランド名が「Wi-Fi」。「WiGig」は、WiGig Allianceという団体が作ったものなので、当初はWi-Fiとは無関係でしたが、のちにWi-Fi AllianceがWiGig Allianceを統合。IEEEがIEEE 802.11adとして規格を策定し、WiGig準拠の相互認証プログラム実施が決まったので、「IEEE 802.11ad」と「WiGig」はほぼ同義といえます。


WiGigの特徴は、従来のWi-Fiで使われてきた2.4GHz・5GHzという周波数帯ではなく、60GHzというミリ波の帯域を使うという点で、最大7Gbpsという高速通信を行うことができます。IEEEでは、60GHz帯のIEEE 802.11adとほぼ並行して、5GHz帯で同じく最大6.93Gbpsという高速通信ができるIEEE 802.11acという規格を策定していますが、11acには80MHzと160MHzという2つの帯域幅があって、アンテナ1つ&帯域幅80MHzのときの最大速度は433.3Mbps、アンテナ8本で帯域幅160MHzなら最大6.93Gbpsなのに対し、11adはアンテナ1つで5Gbpsという違いがあります。IEEE 802.11acの帯域幅とアンテナ本数(MU-MIMO)ごとの最大通信速度はWikipediaに表としてまとまっています

60GHzという周波数帯は高速通信ができ、送信データの大容量化ができるというメリットがあるのですが、一方で、電波の直進性が高く障害物の回り込みが苦手で、また、電波が減衰しやすいというデメリットが存在します。このため、用途としては10mほどの近距離での高速データ通信が考えられています。

たとえば、普及の進み始めたVR機器を使う場合、PCやゲーム機と有線接続されると大きな利点である没入感を損なってしまいますが、WiGigはこの用途もフォロー可能。さらに、HDMIやBluetoothのような、周辺機器との接続の有線・無線接続を置き換える規格となることが期待されています。

すでに、IEEE 802.11ad対応の端末としては、2016年1月に開催されたCES2016で中国の周辺機器メーカー・TP-Linkが「Talon AD7200」というルーターを発表しているほか、NECとエレコムも開発中のWiGig対応ルーターを展示。

世界初の4.6Gbpsの超高速ワイヤレス通信を実現する802.11ad(WiGig)ルーター「Talon AD7200」 - GIGAZINE


このたび、Wi-Fi AllianceによるIEEE 802.11ad(WiGig)の認証プログラム実施が発表されたことで、いよいよ2017年には「WiGig」の時代となりそうです。

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in メモ,   ハードウェア, Posted by logc_nt

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