スーパーマリオ64で画面上に出てこない「隠れた5つ目のコイン」はなぜ生まれたのか?


スーパーマリオ64には、配置されているコインのうち1枚だけが通常では見えなくなってしまっている「5つ目のコイン」が存在します。いったいコインはどこに行ってしまったのか、そしてなぜこんなことが発生するのか、徹底的に探った人物が現れました。

A New Impossible Coin - YouTube


この問題を追及したのは、YouTubeやReddit、Twitchなどで「pannenkeok2012」のIDで活動している人物。この動画がアップロードされている「UncommentatedPannen」というアカウントは、サブアカウントだそうです。

まず前提として、スーパーマリオ64では「まっすぐ並んだコイン」は必ず5個セットで登場します。


スーパーマリオ64には多くのステージがありますが、「まっすぐ並んだコインは5個セット」に例外はありません。


しかし唯一、「ちびでかアイランド」の「デカじま」コースで、まっすぐ並んだコインが4個しかない部分があります。


pannenkeok2012氏いわく、スーパーマリオ64に登場するコインの類型は「地上・直線状に横5個(類型0)」「地上・リング状に横8個(類型2)」「矢印形に8個(類型4)」「空中・直線状に横5個(類型16)」「空中・直線状に縦5個(類型17)」「空中・リング状に横8個(類型18)」「空中・リング状に縦8個(類型19)」の7つ。4つのコインが表示されるパターンは存在せず、ちびでかアイランドの当該コインは類型0であることがわかります。


では、その5つ目のコインはどこへ消えたのか。pannenkeok2012氏は「デスバリアの向こうに消えたのでは?」と考えましたが、視点をぐりぐりと動かしても、どこにもコインは見当たりません。ちなみに、デスバリアとは壁や床とは違う、ステージ裏側の見えない壁のことです。


ここで一体何が発生しているかを知るためには、リアルタイムでオブジェクトスロットがどうなっているのかがわかるSTROOPというツールを使う必要があります。


問題のコインの場所にやってくると、左側のSTROOPの画面で示されているように、4枚のコインが読み込まれ、表示されています。


同時に、5枚目のコインの存在も確認できます。ただし、この画面が示しているのは、「5枚目のコインはロードされて、即座にアンロードされた」ということ。


pannenkeok2012氏がハックを利用して、アンロードされる前の5枚目のコインを見せてくれています。なぜ、この5枚目のコインはアンロードされてしまっているのでしょうか?


画面中に「S」と示されたのはコインの沸き地点。マリオが2000単位以内に近づくと、この沸き地点からは5枚のコインが生成されます。生成されるコインの位置は沸き地点から300単位上で、それぞれのコインは160単位離れています。


類型0のコインは「地上に出る」ことになっているので、まずはコインの78単位上を基準として、コインが落ちる位置の高さを確認します。


この高さと、コイン発生時の最も低い位置(コイン中央下部)の高さの比較が行われます。この5つのコインでいうと「地面から49単位下」「11単位上」「71単位上」「130単位上」「190単位上」となります。そして、ここには「地面より低いコインはアンロードされる」というフェイルセーフが用意されています。つまり、「地面から49単位下のコイン」はアンロードされる、というわけです。


残った4つのコインは、落ちるべきところに落ちて、我々が最初に見た「4つ並んだコイン」の姿が完成します。


これは、当該地点をカメラの視点を変えて見たところ。ハックを利用して、コインの沸き地点を可視化し看板を立てたところ、確かに上から2つ目のコインの下に沸き地点があります。


スーパーマリオ64では、この1地点を除くすべての沸き地点は「地上」か「空中」に設置されていました。


つまり、この地点だけが特殊な沸き地点で、他では働かないフェイルセーフが働いたということです。


もし、このコインの沸き地点があと50単位上なら、5つ目のコインも普通に地上に現れます。


一方、沸き地点があと29単位低ければ、今度は手前から4つ目のコインもフェイルセーフに引っかかって消えてしまいます。


そして、5つ目のコインは、今度はデスバリアを抜けるので、下のフロアに現れます。


ちなみに、「ちびでかアイランド」は、ほぼ同じ地形で、敵の大きさや縮尺が異なる「デカじま」と「チビじま」という2種類があります。今回のコイン消失が発生しているのは「デカじま」ですが、実は「チビじま」でも同様に、コインが4つしか表示されないという事態が発生しています。

ただし、「チビじま」の消えたコインはアンロードされているわけではなく視点を動かせば確認可能。2002年に「取れないコインがある」として情報サイトsm64.comに掲載された、有名なものでした。

Super Mario 64: Impossible Coin Veiw ( check discription) - YouTube


この「取れないコイン」は2014年、ゲーム発売から18年を経てついに取られてしまいました。その動画はYouTubeで170万回以上再生されています。ちなみに、取ったのはpannenkeok2012氏。

SM64 - Collecting the Impossible Coin - YouTube


2つの島の同じ場所で同様のコイン消失が発生するというのは、ちょっとおかしい……と考えたpannenkeok2012氏は、根本的な理由を探り始めました。そして、達した結論が「傾斜X仮説」です。

これは、消えたコインのある部分を横から見たところ。緑色がゲーム中の地形で、頂点を境に緩く左手側へ下る傾斜Lと、右手側へ下る傾斜Rがあります。しかし、pannenkeok2012氏は、開発段階では赤線で示した傾斜Xとして進められたのではないかと考えました。


この坂の頂点には、転がり落ちてくるボウリングの球が沸く穴があります。現在は傾斜Lを左へ転がり落ちていきますが、もし傾斜Xであれば、球は右に転がることになります。


おそらく、もともとは球は右側へ転がす予定だったものを、何かのきっかけで左へ転がすことになり、傾斜Xは傾斜Lと傾斜Rに分けられることになったのだろう、とpannenkeok2012氏は推測。


しかし、傾斜Lは球を転がすためのごくわずかな傾きとしたため、その分、傾斜Rが不必要に険しくなることに。


三角形の岩肌が見えているのは、おそらく傾斜Xのときに存在した岩棚が削られた結果、残ったものとみられます。


とはいえ、これはあくまでpannenkeok2012氏の仮説であり、存在するのは「取れないコインができた」という事実だけ。pannenkeok2012氏は即座にコインの位置までワープするというハックを使ってまでコインを取ろうとしましたが不可能で、また、沸き位置を高くすることもできず、「コイン沸き地点」のクローン作成を作っても機能せず、アンロードされてからではコイン自体のクローンを作っても何も起きなかったとのこと。前述のハックで沸き地点の高さを変更する以外では、この5枚目のコインを入手することは不可能だったそうです。

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