ハードウェア

衝撃を受けると膨らむ自転車の「エアバッグヘルメット」は通常のヘルメットより安全


アメリカでは脳震盪や脳の損傷を起こす主な原因が「自転車からの転倒」となっており、州によっては自転車運転時にヘルメットの着用が義務づけられています。そんな中、一般的な発泡スチロール製の自転車用ヘルメットの安全性に疑問を持ったスタンフォード大学の生物工学研究者が、衝撃を受けると展開する「エアバッグヘルメット」のテストを行い、一般的なヘルメットよりも脳震盪などを防ぐ効果が高いことを実証されました。

Modeling and Optimization of Airbag Helmets for Preventing Head Injuries in Bicycling | SpringerLink
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10439-016-1732-1

Stanford researchers show air bag bike helmets have promise
http://news.stanford.edu/press-releases/2016/10/03/stanford-researc-helmets-promise/

スタンフォード大学のデビッド・カマリロ氏がテストを行ったヘルメットは、あらかじめ首に巻き付けておくと衝撃に応じてエアバッグが展開し、瞬時に首と頭を包むというもの。実際に事故が起きた時にどんな風に衝撃を防いでくれるのかは以下のムービーから見ることができます。

No helmet? No problem - The Hövding Airbag | Cycling Weekly - YouTube


エアバッグヘルメットは以下のように首に装着します。巻き付けた部分のチャックが向かって左側のスイッチにつながっており、衝撃で外れるとエアバッグが展開されます。


実際に女性がエアバッグヘルメットを装着して実験開始。


自転車から転倒すると……


地面に頭がたたきつけられるよりも早くエアバッグが展開しているのがわかります。


カマリロ氏はこのエアバッグヘルメットと通常の発泡スチロール製ヘルメットの落下テストを行いました。テストの様子は以下のムービーから見ることができます。

Bike helmet showdown: Stanford researchers test new airbag tech - YouTube


落下テストは加速度計を内蔵したマネキンの頭部にヘルメットをかぶせ、最小0.8メートル・最大2メートルの高さから金属板の床に落下させることで、それぞれの安全性を比較するというもの。


エアバッグヘルメットと発泡スチロール製ヘルメットを同じ条件で落下させることで、どれくらい衝撃を吸収しているのかが確認されました。


テストの結果、エアバッグヘルメットは発泡スチロール製ヘルメットの6倍も脳震盪を引き起こしにくいことが証明されました。もともとエアバッグヘルメットは見た目の問題から「ヘルメットを着けたくない」という人のために開発されたものですが、安全性においても従来のヘルメットより優れていることが科学的に判明したわけです。ただしテストはすでに空気圧を満タンにして膨張させた状態で行われたため、場合によってはまだ十分に膨らんでいない状態で頭に衝撃を受ける可能性があるという潜在的な欠点があると、カマリロ氏は指摘しています。

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in ハードウェア,   乗り物,   サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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