マリオの生みの親・宮本茂氏が「スーパーマリオ64」について語る


1996年に発売され、世界累計1300万本以上を記録したマリオシリーズ初の3Dアクションゲームが「スーパーマリオ64」です。NINTENDO64の独特なデザインのコントローラーと共に記憶焼き付いている人も多いかと思いますが、そんなスーパーマリオ64の開発秘話を、マリオの生みの親である宮本茂氏が語ったインタビュー内容が公開されています。

Super Mario 64 – 1996 Developer Interviews
http://shmuplations.com/mario64/

「スーパーマリオ64をプレイしたユーザーは、皆、TVの前で興奮したと思います。これまでの任天堂のゲームとは大きく異なると思うのですがどうでしょうか?」という質問に対して、同ゲームでプロデューサーとディレクターを務めた宮本茂さんは、「(1981年に)ドンキーコングが登場して以来、ゲームを売るためにユーザーが興奮し、物欲を刺激されるようなゲームの開発を意識してきました。我々はスーパーマリオ64でも同じ考えのもと開発を進めてきました」と、語ります。

インタビューの中で宮本さんは、自身にとってのゲームデザインにおける永遠のテーマは、「プレイヤーにそれぞれ独自の視点を持ってもらうこと」とコメント。これはどういうことかというと、宮本さんは「スーパーマリオ64のステージをパズルを解くように既存の方法に当てはめてプレイする」ことは望んでおらず、「プレイヤーが自分の頭でステージのクリア方法を編み出したり、独自のプレイスタイルを見つけるようにプレイすること」を望んでいるそうです。

シリーズ初の3Dマリオということで、従来のシリーズとは大きく操作感が変わったスーパーマリオ64。特にマリオシリーズの中で最も重要なアクションである「ジャンプ」動作について、インタビュアーは「ジャンプ動作がより直感的になり、定量的でなくなったように感じます」と質問したところ、宮本さんは「2Dと3Dの決定的な違い」と前置きしつつ、「3Dで出てきたダイナミズムによりプレイヤーは3Dゲームをより楽しめるようになってもいる」と説明しています。なお、2Dゲームにおける「楽しさ」を生み出す部分は完全に別の部分に出てくる、とのこと。


また、初の3Dマリオということで参考にしたものがあるのかを尋ねられたところ、マリオのアクションを作成するにあたってさまざまな動きをモーションキャプチャーしたことを明かしています。しかし、結局3Dマリオの動作は全て一から作ったそうです。なお、マリオ用のアクションを作るにあたって最初に行ったのは「骨格」を作ることで、これが全ての動作の基礎となっている模様。

スーパーマリオ64のマリオはお尻周りに大きなジョイントを持っており、これがマリオの全身をコントロールする役割を担っているそうです。マリオは加速すると前傾姿勢になり、走りながら3Dスティックを左右に傾ければマリオも左右に体を倒しながら走ります。こういったマリオの走る際の動きは「アラレちゃんのようでもある」と宮本さんは語っています。


これらの内容から3Dマリオはかなり精密に動作を設計されたことがわかりますが、宮本さんは「3Dでは気にならないくらいのちょっとした『ウソ』を織り交ぜるのがポイント」とコメント。リアルな動作と人間離れしたダッシュや跳躍力が混在する点が、スーパーマリオ64が多くのユーザーを虜にした要因のひとつなのかも。

スーパーマリオ64ではこれまでのマリオシリーズよりもさまざまな表情のマリオを見るとことができます。宮本さんによると、3Dマリオの表情はマリオペイント3D(マリオペイントの続編として開発されていたもの)のプロトタイプからきたものだそうです。加えて、使われている技術はスキンアニメーションと呼ばれるもので、アニメーションの世界でも標準的なものとのこと。なお、宮本さんは「スキンアニメーションがゲームに実装されたのは初では」と語っています。

他にも、宮本さんは「ゲームを作る作業は映画を作る作業とよく似てるね」と言われることがあった、というエピソードも披露。こう言われた際、宮本さんは「そうだね。ゲームを作る工程と映画を作る工程は似ているね」と返答していたそうですが、続いて「それじゃあ映画を作ってみたいの?」と聞かれれば即座に「ノー」と返答していたことを明かしています。

NINTENDO64が登場する前は多くの人々がゲームを作るよりも映画を作る方を熱望していたそうですが、NINTENDO64が登場した1996年近くでは多くの人がゲーム製作に興味を示すようになっており、そんなタイミングでスーパーマリオ64のタイトル画面で流れるムービーの製作作業に取りかかったため、「この時になってようやく映画を作りたいと感じるようになったよ」とコメントしています。

そんなスーパーマリオ64のタイトル画面で流れる映像は以下の通り。

64 スーパーマリオ64「タイトル画面」 - YouTube


マリオシリーズでおなじみのヨッシーがゲームのエンディングでしか登場しないことについて聞かれたところ、宮本さんは元々はヨッシーの登場するイベントが存在したことを明かしています。しかし、開発陣がそのイベントに満足できず、結局ヨッシーの出番はなくなったそうです。また、マリオの弟であるルイージはリリースの少し前まではゲームに登場予定だったものの、「メモリの問題で出番がなくなった」と説明しています。

By Hailé F

さらに、スーパーマリオ64では広大なステージがいくつも登場しますが、そのような巨大なステージを作成する際、開発チームでは下地になるようなモデルなどを作ることはなかったそうです。ステージのモデリング前にあったのはいくつかのコンセプトアートとスケッチ、簡易なメモくらいだったことも明かしています。そして、ステージの細部を決める段階で、宮本さんとステージディレクターのヤマダヨイチさんがアイデアを出し合い、ヤマダさんはその場で素早くスケッチを描いてコースのディテールを決めていったようです。

あれほど複雑なコースを簡易なメモなどから作っていったという事実には驚かされますが、宮本さんは「粘土からジオラマを作るような感覚」と説明。最初に大まかな形を作るそうで、例えばボムキングの登場する「ボムへいのせんじょう」というステージでは最初にマップの中央に川を配置し、これをボスのいる丘の上のエリアまで伸ばしたそうです。しかし、実際にステージ上にマリオを配置してみると、川の流れが速過ぎて押し流されてしまい、ボスのいるエリアまでたどり着くのがとても難しいことがわかったので、川をなくしてゲームの丘ができあがった、とのこと。このように、開発時はさまざまなアイデアを取り入れながらステージの開発が進められていったそうです。

ボムへいのせんじょうで行うことが可能なノコノコとのレースも開発陣から出てきたアイデアを元にしており、開発陣の中の誰かが「ノコノコとレースをする」というアイデアを出したものの、初期のコースはかなり限定的かつ自由度が低く、直線的に山の頂上を目指すものに。しかし、これではあまりにもレースっぽくないということで、ステージ全体をより自由度の高いものに作り替え、ゲームの中の山のてっぺんに向かってグルグル渦巻くステージが完成。また、最初のアイデアではウサギとレースするというものになっていたそうですが、ウサギではあまりに速く、プレイヤーのストレスになる、ということでノコノコとレースする仕様になった、とのこと。

実際にノコノコとレースする様子は以下のムービーで見られます。

Super Mario 64 Koopa the Quick Race #1 - YouTube


なお「スーパーマリオ64」はWii Uのバーチャルコンソールでプレイすることが可能です。

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in 動画,   ゲーム, Posted by logu_ii