本を開くことなく中身を読む技術をMITが開発


MITの技術者が、閉じられた本にテラヘルツ波を透過することで、本を開くことなく最大9ページ分の内容を読み取る透視技術を開発しました。この研究のテーマは「見えないものを見られるようにすること」で、さらに技術を洗練させれば、よりページ奥深くまで中身を読み取れるようになると考えられています。

Terahertz time-gated spectral imaging for content extraction through layered structures : Nature Communications
http://www.nature.com/articles/ncomms12665

Can computers read through a book page by page without opening it? | Camera Culture
http://cameraculture.media.mit.edu/can-computers-read-through-closed-books/

テラヘルツ波を使って本を開かずに中身を読み取る技術的アイデアは、以下のムービーで解説されています。

Reading through closed books - YouTube


10年前にMITの研究者がテラヘルツ波を使って封書の中の文字を透視する技術を開発しました。


「その実験は私を大いに刺激しました」と話すのはMIT Media Labのバルマック・ヘシュマット博士。ヘシュマット博士はさらにページ奥深くにある文字を読み取ることができないかと考えたとのこと。


これまで、閉じた本をどれだけ深くまで透視できるかという研究はなかったそうです。


閉じた本の複数のページから文字を読み取るには、4つのステップを踏む必要があります。第1ステップは、電磁波を本に透過させること。


第2ステップは「タイムレゾリューション」と呼ばれる、電磁波が異なるページで反射するときに生じるわずかな時差を検出すること。


Femto-photographyと呼ばれる超高速撮影技術によって、1兆分の1秒の頻度で物体を撮影します。


このタイムレゾリューション技術によって、ページ1枚という非常に薄い紙を識別できるとのこと。


電磁波は紙を透過する際に、ページごとに反射します。この反射波からのノイズを比較することで、ページを見分けるというのが「透視」の技術的アイデア。


第3ステップでは、文字と紙を識別すること。


インクごとに異なる吸収率があることを考慮してスペクトルを捉えて紙と文字部分を区別します。


第4ステップは、重なりあった文字を識別すること。前後のページでインクの重なり合いがある場合に、別ページの文字情報を除去して、文字を確定させる必要があります。


このような4つのステップを経ることで、そのページにある文字を読み取ることができるようになります。


ヘシュマット博士によると、すでに9ページ分の文字情報をページごとに読み取ることに成功しているとのこと。ノイズ率を減らしていけば、さらにページ奥深くまで透視できるようになるとヘシュマット博士は考えています。


ヘシュマット博士の研究チームは、周波数が100GHzから3THzまでのテラヘルツ波を使って従来比で20倍の時間分解能を持つ毎秒1兆フレームという超高速で光パルスをサンプリングできるカメラを使うことで、厚さ30マイクロメートルの空間分解能を実現したとのこと。さらに、読み取った反射波とノイズから文字をイメージ化するための独自のアルゴリズムを開発することで、最大9ページ分の文字情報を本を開くことなく読み取ることに成功しています。


このページ透視技術を使えば、損壊の危険があるため開くことができないような古い貴重な文献の中身を、本を開くことなく、損壊することなく読めるようになるとのことです。

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