「日本でeスポーツが流行るには世界で活躍する日本人が必要」、超人気ゲーム「ハースストーン」の開発者ジェイソン・チェイズ氏インタビュー


ブリザードが提供するデジタル戦略カードゲーム「Hearthstone(ハースストーン)」の日本夏季選手権が秋葉原で開催されました。日本夏季選手権で優勝すると賞金総額100万ドル(約1億円)の「ハースストーン世界選手権」に参加できるということで、各プレイヤーたちが熱戦を繰り広げ、会場は大きな盛り上がりを見せていました。その日本夏季選手権に、ハースストーンの開発トップを務めるジェイソン・チェイズ氏が来ていたので、ハースストーンや日本におけるeスポーツについて聞いてきました。

Hearthstone: ハースストーン公式ゲームサイト
http://us.battle.net/hearthstone/ja/

ハースストーン日本夏季選手権 - Hearthstone
http://us.battle.net/hearthstone/ja/blog/20226911

ハースストーン日本夏季選手権の取材レポートは以下の記事から確認できます。

賞金1億円の世界大会につながる国内最大級のeスポーツイベント「ハースストーン日本夏季選手権」取材レポ - GIGAZINE


ハースストーンでプロダクションディレクターを務めるチェイズ氏は、開発チームのマネジメントやプロセス開発、戦略実行を担当。ときには開発チームが空腹のときにピザを注文することもあるそうです。


GIGAZINE(以下、G):
まずは、ハースストーンについてお伺いします。日本夏季選手権が開催され大きな盛り上がりを見せているハースストーンですが、ハースストーンのどのような点がeスポーツに向いていると考えていますか?ハースストーンのeスポーツとしての面白さというのは何でしょうか?

ジェイソン・チェイズ氏(以下、チェイズ):
ハースストーンはカードゲームなので、ゲームの展開がFPSや格闘ゲームなどと比べると非常に遅くなっています。だから、eスポーツを初めて見るという人でも何が起こっているのか理解しやすいという特徴があります。また、ハースストーンは初めてプレイする人でも5分で理解できるくらいルールがシンプルになっているのも特徴です。でも、シンプルであるがゆえに戦略がすごく大事。こういった戦略性の高い攻防を見ているのは楽しいと思いますね。

プレイヤーがどのようなカードを取って、どのようなカードを使うのかを見ているだけでも面白い。ハースストーンはいわゆる手札というのが観客に見えている状態です。だから、手札を見ながら「こんなふうにプレイすることもできるのか」と学ぶことができるし、「僕だったらそのカードは切らないな」と考えたりすることもできる。ハースストーンの戦略から生まれる面白さは、プレイヤーでも観客でも同感じることができます。そういった部分がeスポーツに向いていると思いますね。

G:
なるほど。初心者でもすぐにプレイできるというのはすごくありがたいですね。日本ではeスポーツというのが欧米に比べてそこまで浸透していないという印象があります。eスポーツが今以上の人気を日本で得るにはどういったことが必要だと思われますか?

チェイズ
やはり大切なのは日本人のチャンピオンが世界大会で活躍することです。トーナメントや大会を通してeスポーツの楽しさを伝えることができるロールモデルが必要だと思います。


G:
今の日本人プレイヤーで、そのポジションに近い人はいますか?

チェイズ
日本人選手だとKnoという選手ですね。Knoは2015年11月に開催されたハースストーン世界選手権決勝トーナメントでベスト4に輝きました。世界選手権で日本人選手が好成績を収めると、eスポーツの注目度が上がり人気も出てくると思います。それだけに今日のハースストーン日本夏季選手権は非常に重要なんです。私も今日のチャンピオンが世界選手権で活躍するように祈っています。みなさんがんばってください!

G:
ハースストーンの開発についてお聞かせください。ハースストーンはWindows・Mac・iOS・Androidというプラットフォームでリリースしていますが、異なるプラットフォームで開発を行うにあたって苦労した点はありますか?

チェイズ
すごく良い質問ですね。我々ブリザードは昔からPCでゲームをリリースしているのですが、PCだけで開発しているとアップデートや不具合の修正をパッチですぐに配布することができます。しかし、ハースストーンのように多数のプラットフォームで展開するとそうはいきません。AppleやGoogleにパッチ配布の審査をしてもらう必要があり、その辺りの調整というのは非常に大変ですね。また、PCとスマートフォンで全く同じUIデザインにするのも試行錯誤を重ねた点です。PCだとこれができるけど、スマートフォンではできない、というのではなくどのプラットフォームでも同じ体験ができるようにUIを開発したんです。

G:
開発段階でeスポーツで展開するというのはすでに決まっていましたのでしょうか?

チェイズ
リリースした時点ではeスポーツでの展開は決まっていなかったですね。ハースストーンをリリースした後に、ユーザーの間で「ハースストーンをeスポーツにしたら絶対面白い!」というリクエストが多数ありまして。そういったコミュニテイのフィードバックからeスポーツで展開する話がでてきたという感じです。

G:
eスポーツで展開するにあたって、何か追加した機能はありますか?

チェイズ
リストに登録しているフレンドのバトルを見られる「観戦モード(Spectator Mode)」というのを追加しました。これはまさにeスポーツ向けの機能ですね。

G:
なるほど。ハースストーンもeスポーツに合わせて進化しているということですね。ここからは少しハースストーンとは関係ない質問をさせてください。チェイズさんは日本のゲームで影響を受けたものというのはありますか_

チェイズ:
ほとんどの人がそうだと思いますが、任天堂のゲームですね。特に私は「ゼルダの伝説 時のオカリナ」が大好きです。後は、ナムコの「ソウルエッジ」や「ソウルキャリバー」をよくプレイしていました。


G:
格闘ゲームがお好きなのですか?

チェイズ:
今は昔ほどうまくはないけど大好きですよ。ちなみに、ソウルキャリバーではソン・ミナをよく使っていました。

G:
では、現在の日本のゲームで「これはeスポーツで展開したら面白そうだな」というのはありますか?

チェイズ:
例えば、カプコンのストリートファイターといった格闘ゲームは昔からeスポーツとして人気がありますよね。ストリートファイターだとEVOという大会が毎年開催されていて、実はハースストーンの開発スタッフの中にも大会に参加する人がいるんですよ。

eスポーツに向いているゲームは、まず「見ていて楽しいゲーム」である必要があります。そして、プレイし始めるのはスゴく簡単だけれども、マスターするのはなかなか大変だというのも重要だと思います。これがeスポーツで展開するゲームにおいてものすごく大事な要素です。

G:
最後にGIGAZINEの読者に向けてメッセージをお願いします。

チェイズ:
ハースストーンをサポートしていただいて本当にありがとうございます。日本でハースストーンの大会を実施することができて本当にありがたいと思っています。日本はブリザードの戦略の中で非常に重要な位置を占めています。ハースストーンをプレイしたことがない人も、ハースストーンは誰でもプレイできるようにシンプルに設計されているので、プレイしてもらえるととてもうれしいです。

Hearthstone: ハースストーンを App Store で
https://itunes.apple.com/jp/app/hearthstone-hasusuton/id625257520

Hearthstone: ハースストーン - Google Play の Android アプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.blizzard.wtcg.hearthstone

・関連記事
Blizzardのアジア地域を統括するマイケル・フォン氏に日本市場・eスポーツの展望・Blizzardのゲーム作りの理念などを聞いてきました - GIGAZINE

ドローンの世界選手権「Drone Racing League」は観客がスマホやVRヘッドセットでレースに参加可能なリアルライブイベントになる - GIGAZINE

超有名ゲームメーカー「ブリザード」が25年もトップを走り続けることができた理由 - GIGAZINE

「eスポーツのオリンピック」が2016年8月にリオデジャネイロで開催決定 - GIGAZINE

選択授業で「ゲーム」が選べる公立高校が登場、プレイ候補はリーグ・オブ・レジェンドやスタークラフト2など - GIGAZINE

277

in 取材,  インタビュー,  ゲーム, Posted by darkhorse_log