メモ

シェイクスピアの名言は本人が考えたものではない可能性

By Steve Czajka

「ロミオとジュリエット」や四大悲劇の「ハムレット」「マクベス」など数多くの名作を残した劇作家で詩人のウィリアム・シェイクスピアは、たくさんの単語や慣用句を生み出したとされており、その多くは辞書に登録されていたり、引用で使われていたりします。しかし、シェイクスピアの研究を長年行ってきたメルボルン大学の教授が、シェイクスピアの単語や慣用句の中にはシェイクスピアが発案していないものが含まれていると主張しています。

To be or not to be ... original | Pursuit by The University of Melbourne
https://pursuit.unimelb.edu.au/articles/to-be-or-not-to-be-original

メルボルン大学芸術史学科のデビッド・マクリニス教授によると、シェイクスピアが発案したとされる単語や慣用句は、すでに知られていた言葉だったり、存在していた概念の論理的な組み合わせであったりするとのことです。

では、なぜシェイクスピアが多くの単語や慣用句を発案したと信じられているのかというと、その理由は世界最大の英語辞典「オックスフォード英語辞典(OED)」にあるそうです。OEDにはシェイクスピア作品からの引用が33000点以上ありますが、マクリニス教授によると、OEDは発行当初、文学の中でも特に有名な作品を参考にする傾向があり、すでに人々によって使用されていた単語や慣用句であっても、その説明に有名な文学作品からの引用を使ったとのことです。

By Jonathan Cohen

例えば、シェークスピアの「ジュリアス・シーザ(1599年)」の第1幕第2場でカスカのセリフとして登場した「It's all Greek to me.」は、「それは英語しか知らない私にとってギリシャ語です」、つまり「ちんぷんかんぷん」という意味であり、英語では時折使われる慣用句になっています。しかし、「It's all Greek to me.」は「ジュリアス・シーザ」以前に発行されたロバート・グリーン作の「The Scottish History of James the Fourth」という書籍で使われています。

また、「得られぬものを追い求めること/骨折り損」という意味で使われる「A wild goose chase」は、OEDが戯曲「ロミオとジュリエット(1595年前後)」で使われていた慣用句として引用していますが、1593年に発行されていたガーベイス・マークハムの書籍に最低でも6回登場するとのこと。これは、その時代の人々が本を読んだときにA wild goose chaseの意味を理解できる、つまり、すでに知れ渡っていた可能性が大きいということです。

マクリニス教授は、このほかにもシェイクスピアが発案したとされるたくさんの単語や慣用句は、すでに使用されていたものが多くあり、人前でシェイクスピアの名言を披露するときは笑いものにならないように注意したほうがよい、とアドバイスしています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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