本から限られた時間で最大限の情報を得る読書のコツをまとめた「本の読み方」

By martinak15

教科書・マニュアル・ジャーナル記事・歴史書・学術研究書など、情報を得るための読み物であるノンフィクションの本を、限られた時間でできるだけ速く簡単に必要な情報を得ることができる「How to Read a Book(本の読み方)」というアドバイスをミシガン大学のSchool of Informationがまとめています。

How to Read a Book, v5.0
(PDFファイル)http://pne.people.si.umich.edu/PDF/howtoread.pdf

How to Read a Bookの各項目の目次は以下のようになっています。

◆全体を読む:一字一句逃さず全てを読むのではなく、主張やエビデンスに注意して読むことは全体構造の理解を助けます。
◆読書の時間を決めてから読む:現実世界の時間は限られています。正確にどれだけの時間を読書にあてられるのか計画してから読書すると、自然と集中して読書に挑むことができます。
◆目的と戦略を持つ:「あなたがなぜその本を読んでいるのか」ということを知っていれば、より読書を楽しんでうまく内容を記憶できるようになります。
◆活動的に読む:著者の主張だけに依存することだけは避ける必要があり、自分の目的に沿った文章をきっちり検証しながら読書します。
◆3回読む1回目は「発見」、2回目は「理解」、3回目は「メモ取り」と、異なる目的で3回読みます。
◆情報量が高い部分に集中する:写真・図形・グラフ・見出しなど、情報量が高い傾向にある場所を説明しています。
◆個人的なマークアップ言語を使う:読書しながらメモと取る習慣を。学習効果を高め、後で重要な一節が発見しやすくなります。
◆著者と組織名を把握しておく:著者とはそれぞれの背景と偏見を持つ1人の人間です。その人となりと所属する組織を把握すれば、理解力が高まるでしょう。
◆知的背景を把握する:重要な部分は著者と関わりのある別の著者との討論であることがあります。
◆紙の本vsスクリーン:紙の印刷物とスクリーンでは読書にどんな違いがあるのか?
◆潜在意識を使う:読書と読書の間に時間をおくと、無意識に読書内容を理解する働きがあります。
◆いろいろなやり方で繰り返して反復する:話す、視覚化する、書き出すなど、読書で学習した内容をアウトプットすることで記憶が固定されます。

各項目の詳しい詳細は以下から記載しています。

◆全体を読む


全ページを事細かに記憶するというわけではありませんが、議論・仮説・エビデンス・結論など、必要な要点には全て目を通しておく必要があります。注意深く全てを読んでも後で思い出すのは困難であるため、重要な部分を記録しておくことが効果的で、後で本の詳細を思い出す時にこのメモが役に立つとのこと。

◆読書の時間を決めてから読む


◆01の「全体を読む」を考慮した上で、「今日は○時まで読書する時間がある」ということを前もって知っておく必要があります。読書できる時間を自分で限定することで、自然と読書スピードが向上するとのこと。決して、読書を切り上げる時間を設定せずに読書を始めてはいけません。

By Prairie Kittin

◆目的と戦略を持つ


読書を開始する前に、「なぜこの本を読もうとしているか」「どうやってこの本を読もうとしているか」を考えます。これらを考えずに読書をしてもあまり学習することはできないとのこと。さらに読書を始めたら、以下の4つの質問を意識して答えを探します。
1:本の著者は誰か?
2:本のテーマ(主張)は何か?
3:著者の主張を裏付けるエビデンスは何か?
4:本の結論は何か?


4つの質問が把握できたら、さらに以下の3つの疑問について考えます。常にこれらの疑問を持って読書に挑めば、読み終わる頃には全ての疑問に答えられるとのこと。
・本の主張・エビデンス・結論の弱点は何か?
5:本の主張・エビデンス・結論に対してどう思うか?
6:もし自分が批判したら著者はこれらの弱点についてなんと説明するか?


なお、上記の読書方法をこなす「3つのコツ」もあり、以下のようになっています。
A:読む本の批評を雑誌で書くつもりで読む
B:本の著者と会話、もしくは正式な討論会を予定していることを想像する
C:本のあら探しをするつもりで読む


◆活動的に読む


著者の持論があなたの頭に衝撃を与えるのを待つのではなく、読み始めから絶えず仮説と質問を生成していきます。「つまりこの本の要点は○○で……」「著者はどのようにしてこの結論に至ったのか……?」といった仮説や質問を思いついたら、簡単なメモをとっておくのも効果的。全て読み終わったらメモを見ながら自分の仮説と質問を検証しましょう。

◆3回読む


異なる目的で3回同じ本を読めば、その本の情報を最大限得ることができます。ミシガン大学によるとここが最も重要なテクニックとのこと。3回の読書にかける時間配分や行うことは以下のようにすれば効果的です。

1回目:発見(全読書時間の5~10%)
1回目の読書はここまでのテクニックを使いつつ、最も必要な情報だけを得るべくできるだけ速く読みます。やっつけ仕事で著者の目的・メソッド・結論は押さえておきます。1回目は注意深く読む代わりに、気になった「見出し」「一節」「フレーズ」などに印をつけていけばOK。また、2回目の読書に備えてわき上がった質問もメモしておきます。

2回目:理解(全読書時間の70~80%)
読書ができる時間ができたら、1度読み終えた本をもう一度読んでみましょう。2回目の読書の目的は「理解すること」です。本の要点を注意深く、批判的に理解できるよう心がけ、著者が要点を説明するために用いているエビデンスを評価します。特に着目すべきポイントは章と主要な部分の始めと終わりとのこと。また、1回目の読書で印を付けた部分に注意を払って読み、1回目の読書でわき出た質問には全て答えられるようにする必要があります。

3回目:反復とメモ書き(全読書時間の10~20%)
最後の読書の目的は「本の最も重要な要素を記憶すること」です。3回目は本を読みながら主張・エビデンス・結論に関して簡潔なメモをとっていきます。本に書いていることをそのまま書き出すのではなく、自らの言葉でメモをとっていくことで記憶されやすくなるとのこと。メモを書きすぎても覚えにくくなるため、最も重要な要素を最小限の内容で書き留めていき、100ページにつき3ページぐらいのノートがちょうどいいペースだそうです。

なお、このテクニックの著者はメモをとるのにとても優れたソフトウェアとして、「EndNote」「Zotero」「Bookends」を推奨しています。

◆情報量が高い部分に集中する


ノンフィクションの読み物の多くは「砂時計構造」で書かれています。概要・序文・結論などの一般的な情報は砂時計の上下のように本の始めと終わりに配置され、根拠となるエビデンスや詳細などの特殊な情報は文章の真ん中に配置されます。この構造は「各章」「各項目」「各段落」にも適用されるため、情報量が高い部分を見つけるのに参考になるとのこと。


また、以下の部分は情報量が高いことが多いため、上から順に注意していくのもOK。
・本の帯、表紙の端
・目次
・見出し(ここで重要な部分をスキャンする)
・引用文献
・序文、導入、概要
・結論
・写真、グラフ、図
・章の序文と結論
・セクションの見出し
・特殊なフォーマット(太字体・イタリック体・番号順・リストなど)


◆個人的なマークアップ言語を使う


これは読んだ文章をタグ化するということではなく、常に読んだ文章へマークを付けていくということ。付けすぎると読み返した時に混乱してしまうため、1ページにつき短く2、3カ所が適量とのこと。気になった文章全てにアンダーラインを引くのではなく、短い句や単語に絞ってアンダーラインを引くくらいが理想的。グラフなどでは余白に必要なフレーズや言葉を書き加えるのが効果的です。

By Ramunas Geciauskas

◆著者と組織名を把握しておく


著者は1人の人間であるため、他の人と同じように受けてきた教育・仕事・人生経験に基づいた視点で本を書いています。偏見・盲点・やけくそな部分・失敗・欲望などが文章に加わるのは仕方のないことですが、誰が本を書いたかを把握しておくことで、読んでいる本のクオリティを判断でき、内容の理解を助けてくれます。また、ほとんどの著者は大学・会社・政府・新聞・雑誌などの組織に所属しているため、著者が所属している組織も本の品質を判断する基準の1つにすることができます。

◆知的背景を把握する


著者と組織名を把握することは、本の知的背景の理解も促します。知的背景とは、本の学術的なルールや著者の意見に誰が賛成しているか、などを指します。他の著者の引用などで、著者による他の著者に対する見解がほぼ必ず存在するため、引用された人がどのように反応しているかを知っておくことで、本の内容が理解しやすくなるわけです。

◆紙の本vsスクリーン
印刷物の解像度を数値化すると~600dpiになりますが、最高レベルのPCのモニターでも解像度は~100dpi程度で、電子書籍リーダーのKindleの解像度も最高で300dpiです。以下は300dpi(左)と600dpi(右)を比較したもので、600dpiの解像度、つまり印刷物で読む方がはるかに疲労が少なくて済みます(編集部注:iPhoneやNexusシリーズなどの解像度はここを参照のこと。記事作成時点ではiPhone 6/6S Plusが「401dpi」、Nexus 6Pが「515dpi」となっています)。


◆潜在意識を使う


考え事や精神的な処理は自分で気付いていなくても無意識のうちに行われます。つまり読んでから少し時間を置くことで理解しやすくなるのですが、長時間同じことを理解できないまま放置してしまうと、無意識にその問題を考え続けてしまうことになります。また、読書の理解能力は1時間ちょっとで劇的に低下するため、何時間もぶっ続けで読書するのではなく、1、2時間読んだら少し休憩するなどすれば、次の読書の時間までに読んだ内容のいくつかが無意識に処理されることになります。

◆いろいろなやり方で繰り返して反復する


繰り返すことで学習と記憶が強化されることから、読書はスポーツや調理に似ているとのこと。本を読んだら学習したことを自問自答したり、著者と議論したり、書き出したりするなど、いろいろな繰り返し方を行うことで学習内容を身につけることができます。ひとりぼっちで繰り返すのではなく、読んだ本について他人に話したり、授業で発表したり、書いてまとめて見せたり、視覚化できるものはできるだけ視覚化したりすると、より効果的に記憶に固定でき、新しく学んだことを既に知っている知識に統合できるようになります。

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