サイエンス

グンカンドリはどうやって一切の休みなしで海を渡りきるのか?

by Andrea Westmoreland

熱帯の海洋に住むグンカンドリは高い飛翔能力を持っていて、途中で地上などに降りることなく数週間続けて飛び続けられるということで知られてきました。しかし、研究を進めた結果、うまく周辺環境を利用して、2ヶ月以上にわたって飛べる能力があることがわかってきました。

Frigate birds : never touching down - CNRS Web site - CNRS
http://www2.cnrs.fr/en/2781.htm


これはフランス国立科学研究センターのHenri Weimerskirch氏やフランスのロシェル大学、さらにイギリス、カナダ、ドイツの研究者らとの共同研究で明らかになったもので、2016年7月1日発行の「サイエンス」で発表されました。

Weimerskirch氏らは、グンカンドリの繁殖地であるモザンビーク海峡のユローパ島で、若いグンカンドリ50羽ほどにGPS・脈拍計・羽ばたきの回数を数えるセンサーを搭載したタグを取り付けて、グンカンドリが飛行中に羽ばたいているのか、それとも滑空しているのかをデータから読み取り、移動にどれぐらいのエネルギーを消費しているかを調べました。

ユローパ島はモザンビークとマダガスカルの間にあるモザンビーク海峡に位置するフランス領の無人島です。


グンカンドリにつけられたタグから、彼らがユローパ島を飛び立った後、「赤道無風帯」と呼ばれている赤道近くの熱帯低気圧地域を経由してインドネシアまでインド洋横断飛行を行っていることがわかりました。このとき、グンカンドリはインド洋を吹く貿易風を利用していました。


ちなみに、この旅路が「出生地からの初めての旅」という個体もいますが、それでも飛行距離は数千kmは越えます。旅路は2ヶ月以上に及ぶのですが、その間、一切足を地面に着けないということもあります。

この旅は、グンカンドリが「ジェットコースター飛行」と呼ばれるパターンを利用することで実現しています。「ジェットコースター飛行」とは、積雲の下にある対流を利用し、羽ばたかずに大気の流れの中を滑るようにして高度を上げること。得られたデータによると、この上昇飛行中に短い周期でグンカンドリの動きが緩慢になるときがあり、数分ずつ睡眠を取っているとみられています。

また、いったん積雲の「底」(高度600m~700m)に到達すると、そこから数kmに渡って滑空します。雲が少ない地域ではさらに長距離の滑空を行うため、積雲内部の上昇気流を利用して高度3000m~4000mまで上昇してから滑空を行っています。

ただし、「気温は100m上がるごとに0.6度下がる」と言われるように、この高度の気温は標高0mと比較すると18度から24度も低いため、グンカンドリが身にまとっている羽毛では十分に温度に適応できないはず。

……ということで、「グンカンドリは滑空することでエネルギー消費を抑えて飛行距離を伸ばしている」ということがわかったのですが、一方で、「グンカンドリは飛行中に眠っている」「積雲内の厳しい環境に耐えうる力を持っている」「サイクロン(熱帯低気圧)を避けた飛行ルートを選ぶ力がある」という、新たな疑問が次々と判明する調査となったようです。

なお、このグンカンドリの動きを追った、「INDEPENDENCE DAYS」からの抜粋映像が公開されています。

http://webcast.in2p3.fr/videos-7325

by Aurelien Prudor and Henri Weimerskirch

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in サイエンス,   生き物,   動画, Posted by logc_nt

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