ロボットが人間に替わって商品の仕分け作業を行うコンテスト「Amazon Picking Challenge」は吸盤と2本指を持つロボットが制する


現在は人の手によって行われることがほとんどである倉庫内での商品仕分け作業を、自ら判断して行動できるロボットに行わせるコンテスト「Amazon Picking Challenge」の2016年大会が開催され、今年は2本の指と吸盤を持つロボットが勝利を収めて5万ドル(約510万円)の賞金を獲得しました。

Amazon Picking Challenge
http://amazonpickingchallenge.org/

Sucking robot arm wins Amazon Picking Challenge - BBC News
http://www.bbc.com/news/technology-36702758

全16チームが参戦した競技を制したのが、オランダのチームであるDelftのロボットでした。日本の安川電機(YASKAWA)のロボットをベースに、画像認識用のカメラやレーザーを使った空間認識センサーなどのハードウェアと、それらを処理してロボットを制御するソフトウェアを組み合わせたシステムで、正確な作業を迅速に、しかも商品にダメージを与えることなくこなす性能で優秀な成績を収めています。


自らも倉庫内ロボットの開発を進めているAmazonが開催したこのコンテストでは、与えられた課題に対して正確に、そして迅速な作業を行う性能が競われます。2015年にも300万円の賞金をかけて開催されたこのイベントでは、「カゴの中から目的の賞品を選び出し、棚に置く」という「Stow(収納)」の作業と、反対に「棚にある商品を選んで取り出して、カゴに入れる」という「Pick(取りだし・ピッキング)」2つの作業が課題として与えられており、いずれの作業も数ある賞品をロボットが自動で見極め、人の操作なしに正確に作業を行うことが求められています。

取り扱う商品は40個あり、いずれもAmazonで販売されている商品を模したものとなっています。そのため、形状や重量、表面の堅さなどはバラバラになっており、ボックス入りのDVDやボトル入りの水、歯ブラシや、中には柔らかいTシャツなどの布製品も含まれていたとのこと。Delftのロボットは、アームの先に商品を吸い付ける吸盤と、商品をつかむ2本の指を装備しています。


競技中は、基本的に人間の操作は最初のみに制限され、商品の判別や移動作業は全てロボットのシステムによって実行されなければなりません。チームには、競技開始の5分前に対象となる商品の種類や移動の指示を記載したデータが渡されるルールとなっており、実際に動き出したあとは一切手出しをすることができないと定められています。


競技中に以下のような失敗があった場合には、ポイントが減点されることになっています。

・商品に何らかのダメージが与えられた場合
・商品を30cm以上の高さから落下させた場合
・商品が棚の指定された位置よりも0.5cmはみ出していた場合

競技を制したDelftチームのKanter van Deurzen氏はBBCの取材に対して「商品の種類が多岐にわたるため、商品をつかむ手法が1つだけでは戦えません。一般的な倉庫作業では、ロボットには吸盤が取り付けられ、商品を吸い付けるようになっていますが、この大会ではTシャツや箱、そしてダンベルのようなものまでが含まれるため、別の手法が必要でした。そのため、1本のアームだけを使い、商品が置かれた配置の把握を行い、接触を防ぎながら商品を移動させることは非常に大きなチャレンジでした」と競技の内容を振り返っています。


Delftのロボットは、商品を棚に並べるStowのタスクをほぼ完璧にこなすことに成功。商品を取り出すPickの作業では、日本から参加したチーム「PFN」と接戦を繰り広げましたが、最終的には最初の商品をピッキングするまでに要した時間が30秒早かったことで勝利を獲得したとのことです。

空間把握や商品の認識、作業手順の判断などを含めたAI技術の進歩により、今後もこのようなロボット技術が進化することは想像に難くありません。そうすると気になるのが「人間の仕事がなくなるのでは」という点ですが、Delftチームのvan Deurzen氏は「倉庫内作業においては、まだまだこれから先も人の手が必要でしょう」と語っています。van Deurzen氏によると、ロボット技術は一般的に考えられている以上の性能がすでに実現されているという状況はあるものの、ありとあらゆる状況に全て対処できるシステム作りは非常に困難で、やはり人の目と手による作業は欠かせないものとのこと。今後の展望についてvan Deurzen氏は「ロボットが全てを行うことはおそらく不可能でしょう。しかし、そのうち50%を行うだけでも大きな進歩です。その時には、人間の作業員は他の作業で必要とされるようになるでしょう」と語っています。

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