取材

ブロックを組み合わせてサイズの異なるシルクスクリーン印刷が簡単にできる「SURIMACCA」を体験してきた


インクが通過する穴と通過しない部分を作ることで印刷するという、孔版画の技法の一種が「シルクスクリーン」です。手刷りが可能なので必要な道具を揃えるのが比較的容易で、版さえあれば何度でも同じものを印刷できるということもあり、自作のTシャツやバッグなどを作るのに用いられることも多いシルクスクリーンですが、その弱点と言っても過言でないのが「印刷時に使用する枠」でした。小さな版を使って印刷するならば小さな枠を使用すれば良いのですが、それでは「大きなものを印刷したい」となった際に新しい枠を購入する羽目となり、逆に「あらゆるサイズの版で印刷できるように」と大きなサイズの枠を購入してしまうと、小さな印刷物でも大きな版を使用する必要が出てくるという面倒なことになります。

そんな、版によって異なるサイズの枠を使用しなければいけない、というシルクスクリーンの常識を覆すようなシルクスクリーンキットが「SURIMACCA(スリマッカ)」で、レゴブロックのようにパーツとパーツをつなぎ合わせることで複数の異なるサイズの版を使用できるようになります。そんなSURIMACCAを実際に使用して印刷が行えるワークスペースを提供しているのが「レトロ印刷JAM」で、同スペースでSURIMACCAの体験会が行われていたので実際に参加してきました。

SURIMACCA
http://silk.jam-p.com/index.html

KO-HAN
http://jam-p.com/ko-han/

SURIMACCAの無料レンタルや、各種ワークショップが行われている「レトロ印刷JAM」は、大阪の地下鉄御堂筋線「中津駅」から徒歩で約10分のところにあります。


「北大阪印刷センター」という建物の周りを歩いていると……


「レトロ印刷JAMのお店は左の角を曲がった所です。」というチラシを発見。


その通りに移動すると、レトロ印刷JAMの入り口があります。


中はこんな感じ。元々はレトロ印刷JAMのお店「KO-HAN」として営業していましたが、8月1日からレトロ印刷JAMとして再スタートするとのこと。


店内の一部スペースでは、レトロ印刷を使った紙雑貨などが販売されています。


そして、残りのスペースでSURIMACCAの体験会が開催されていました。


普段はこのスペースがシルクスクリーンを行うためのワークスペースとなっています。普段のワークスペースには、製版機や専用の道具がそろったシルクスクリーン用のスペース、スキージーや専用アイロン、乾燥台、インクブース、多色刷り台、大きなサイズの印刷が可能なレンタルフレームなどがある模様。その他、シルクスクリーンの版を使って金属にマーキング印刷を行うことも可能です。


店内の隅っこにはレジが設けられています。訪れた日はワークショップ&工場見学を行っている日だったので、それらの受付にもなっていました。


ワークショップで体験できるシルクスクリーンキットの「SURIMACCA」はコレ。


水色・黄色・赤色のブロックを組み合わせることで、版のサイズに合ったサイズの異なる枠を自由に作ることができます。


ブロックを手に持ってみるとこんな感じ。


ブロックの断面を見るとこうで、中央に深い溝が入っていました。


枠を組んだら、以下のように半透明の版を枠に張りつけます。


版はブロックパーツの中央にある深い溝部分で固定されており、枠の四隅にはピンク色のパーツがはめてあります。


一緒に置かれていたこれは、SURIMACCAで印刷する際に使用するSURIMACCAインク。シルクスクリーンで布に印刷する際に使用するインクですが、紙にも使用可能で、他の色のインクと混ぜて使ってもOK。


SURIMACCAを使えば紙や布に自分の描いたイラストなどを印刷できるので、以下の写真にあるようなTシャツやトートバッグが自作できます。なお、SURIMACCAインクは撥水加工された生地には印刷できないものの、綿や麻などの天然繊維以外のポリエステルにも印刷可能で、通常のシルクスクリーン用のインクとは異なり印刷後のアイロンでの熱処理が不要という利点もあります。


SURIMACCA体験会で行うシルクスクリーン体験は以下の写真の通り。


まず初めに印刷したいデザインや絵を紙に描きます。


これを基に印刷用の版を作成してもらい、この版をSURIMACCAに張りつけます。


そして、紙やTシャツなど、好きなものに印刷すればOK。


印刷用のTシャツやトートバッグ、巾着袋も販売されています。


複数のインクを使った多色刷りを行えば、以下のような絵柄を印刷することも可能。


というわけで、体験会の申込時は、まず印刷に使用する版のサイズを選びます。


版のサイズは4通りで、XS(80×80)が1000円、S(200×200)が1500円、M(200×290)が2000円、L(200×450)が3000円です。


受付が済んだらまずは紙と鉛筆で印刷したデザインを考えます。


以下のようなブロック柄を印刷することに決めたので……


次はマジックで下書きをなぞります。なお、鉛筆による下書きは最後にしっかり消しゴムで消す必要があります。


これを店員さんに渡し、製版してもらいます。手描きのイラストやデザインを版にすることもできますが、デジタルデータを持参すればそれを基に版を作成してもらうことも可能です。なお、製版はSURIMACCA体験会時以外でもレトロ印刷JAMのオンラインお店で注文できるようになっており、製版用の原稿を作成する際のポイントもまとめられているので、気になる人はチェックしてみると良さそうです。


これが製版機で……


中から出てきた半透明のフィルムのようなものが……


版です。フィルムに光を当てると、先ほど紙に描いたイラストがフィルム上に作られているのがわります。


製版が済んだらエプロンを着用して……


SURIMACCAを組み立てます。


まずはブロックを組み合わせて、製版サイズにあった大きさの枠を作ります。


枠を裏向けにして机に置いて、その上に版をのせます。版はツルツルした面が裏、ザラザラした面が表です。


専用のゴムを使って、版をSURIMACCAにゆるめに留めていきます。


ゴムが溝から飛び出さないように、指でしっかり押し込むとこんな感じ。版がしっかりと張った状態になっていませんが、この段階ではこのくらいでOK。


全体を留めたら、次ははさみと専用のローラーを用意。


四方をゆるめに留めているので、ローラーを使ってゴムを押し込んでいきます。


ローラーを押し込むことで、版がしっかり張った状態になるわけ。


四隅の余った版は、はさみでカットすればOKです。


最後はSURIMACCAの四隅に浮かしパーツをはめ込み……


SURIMACCAと版の間をマスキングテープ(黄色のテープ)で留めれば完成です。


これを使って印刷に挑戦します。


印刷する際は、まず使用するインクを色見本から選びます。


今回は真っ白のTシャツに手描きのイラストを印刷してみることに。


まず、印刷する大体の位置に台紙を置いて……


印刷位置を決めます。


インクを伸ばす際は、スキージーを斜め45度くらいに傾けて強めの力で手前に引きます。


というわけで、さっそく印刷にチャレンジ。まずはインクを奥側に塗って……


枠を固定し、スキージーでインクを手前方向に伸ばしていきます。


スーッ


手前まで伸ばしたら……


SURIMACCAを……


持ち上げます。


すると、以下の様に印刷することができました。細かい隙間はインクで潰れてしまっていますが、しっかりブロックの形がわかるレベルで印刷できました。


印刷したあとの版はこんな感じ。同じ版を使用して何度も印刷したり、一度版を洗ってから別インクで印刷したりも可能ですが、今回はTシャツ1枚に印刷して終了です。


SURIMACCAインクはアイロンでの熱処理が不要なシルクスクリーン用のインクですが、早く定着させたい場合はドライヤーで乾かしてから……


業務用のプレスアイロンでペタンとやって……


完成です。


SURIMACCAの体験会では版のサイズ・メッシュ(穴のサイズ)・使用するインクが限られていましたが、自分でSURIMACCAキットを使用して印刷したり、ワークスペースにきて印刷したりすればより多くの選択肢が選べるようになります。なお、レトロ印刷のネットショップでは製版サイズが5通りあり、メッシュも70・120・200の3通りから選べます。なお、体験会で製版されたものは120メッシュで、各メッシュの使用用途はそれぞれ異なり、数字が高いほど網目が細かいので細い線が出やすくなります。


なお、SURIMACCAのシルクスクリーンキットは製版なしのキット単体なら税込7560円で、製版込の場合は版のサイズにより料金が追加されるようになっています。

SURIMACCAセット - KO-HAN オンラインお店
http://omise.jam-p.com/?pid=99694151

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
特殊印刷&おもしろ製本が家でできるアイデアてんこもりな「特殊印刷・加工DIYブック」でスゴ技をいろいろ試してみました - GIGAZINE

コピー&ペーストするだけで折り本用PDFファイルを作成・ダウンロードできる「8p Orihon Maker」 - GIGAZINE

初期費用0円・在庫0冊で本が出版できる「中林製本所」 - GIGAZINE

in レビュー,   取材,   アート, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.