Wi-Fiアライアンスが802.11acの第2ステージ「Wave 2」の認証を開始、MU-MIMOなどの仕様が正式に追加される

By Chris Oakley

無線LAN規格「802.11ac」の第2ステージとなる「Wave 2」に対応する機器の認証が正式にスタートしました。これにより、従来よりも高速で品質の高い通信を可能にする「MU-MIMO」や、「160MHzチャネル」、「4空間ストリーム」などの仕様が正式に認められることになります。

Wi-Fi CERTIFIED™ ac brings new advances in Wi-Fi® performance  | Wi-Fi Alliance
http://www.wi-fi.org/news-events/newsroom/wi-fi-certified-ac-brings-new-advances-in-wi-fi-performance

Wi-Fi gets multi-gigabit, multi-user boost with upgrades to 802.11ac | Ars Technica
http://arstechnica.com/information-technology/2016/06/wi-fi-gets-multi-gigabit-multi-user-boost-with-upgrades-to-802-11ac/

無線LANの普及促進を図り、対応機器の認証を行う業界団体である「Wi-Fi Alliance」は2016年6月29日（アメリカ時間）、802.11ac規格の第2世代ともいえる「Wave 2」に対応する新たな認証プログラムを開始しました。Wave 2では、ギガビットクラスの帯域幅を持つ通信を複数サポートし、しかもそれぞれが時間軸で区切られない独立した通信を行うことでスループットの低下を防ぐ「MU-MIMO」などの技術を搭載している機器に対して正式な認証が開始される点が最大のポイントとなります。

Wave 2で正式に追加された仕様は以下のとおり。

・MU-MIMO：MU-MIMO(Multi User Multiple-Input and Multiple-Output)に対応する機器は、複数のアンテナ(＝通信チャネル)を持つことで、1度に複数のデバイスに対してデータの送受信を行うことが可能。これにより、時間軸で通信が分断されることがなくなり、スループットが向上する
・160 MHzチャネル：チャネル幅が従来の80MHzから160MHzに広がることで、理論上は通信速度が2倍に向上する
・4つの空間ストリーム：同時に通信できるストリームの数が従来の3から4に増加
・5GHz帯チャネルの拡張：5GHz帯において1度に使用できるチャネル数が増加。これにより、通信速度と通信品質が向上

既に認証が行われていた802.11ac「Wave 1」では、通信のチャネル幅は80MHzとなっており、ストリーム毎の最大通信速度は433Mbpsとなっていました。Wave 2ではチャネル幅が160MHzと2倍に広げられたため、ストリームあたりの最大通信速度は理論上866Mbpsへと向上することとなります。

また、1台のWi-Fi親機が4つの空間ストリームを持つことで、それぞれのストリームにぶら下がるデバイスとの通信が時間的に分割されなくなるため、体感上の通信速度がアップすることも期待できるようになります。なお、802.11ac規格では最大で8ストリームをサポートすることが可能ですが、Wave 2では4ストリームとなっています。これは、8ストリームにすることで多大な電力を消費することが理由とのこと。

さらに、5GHz帯のチャネル数が増加することも大きなメリットを生むことになるとのこと。この変更によって利用可能なスペクトラムを効率的に活用することが可能になり、重複するチャネルで行われる通信が減少することで電波の干渉と混雑状態が緩和されるようになるとしています。

なお、802.11ac規格そのものは2014年に仕様策定が行われており、今回は機能のサポートが拡張されたことになります。MU-MIMOを搭載した機器はすでに市場に登場しており、GIGAZINEでも実機を使ったレビューを実施していました。

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