サイエンス

片頭痛の原因が「血管障害」であることを示す研究結果

By Avenue G

片頭痛は誰でも知っている健康問題の1つで、5人に1人が経験しているといわれていますが、片頭痛のメカニズムは解明されていない状態です。多くの医師や科学者が片頭痛は血管および神経の障害が原因であると仮説を持っていますが「片頭痛が血液供給システムの問題から生じている」という、従来の片頭痛に関する仮説を裏付ける研究結果がNature Geneticsで発表されました。

Meta-analysis of 375,000 individuals identifies 38 susceptibility loci for migraine : Nature Genetics : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/ng/journal/vaop/ncurrent/full/ng.3598.html


Migraines may be a vascular disorder | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/06/genes-link-migraine-to-blood-flow/

Nature Geneticsで発表された研究は3万5000件を超える片頭痛の事例と、22のゲノム規模での関連研究を組み合わせてメタ分析を行ったもの。このメタ分析により、片頭痛に関連する38の独立したゲノム領域が発見されました。発見された遺伝子近くの遺伝子座を調べたところ、それらのいくつかは血管疾患に関係していることが判明。ほかにも血管壁となる平滑筋の収縮や、血管緊張度を調節する遺伝子が多く見つかり、片頭痛に関連する動脈機能の遺伝子も見つかっています。

片頭痛は脳卒中や心血管疾患と合併して発症することが多いため、心血管疾患の遺伝子に関連することは予想できることでしたが、メタ分析の結果は明白に「血管機能不全および平滑筋機能不全が片頭痛を引き起こしている」という従来の仮説を裏付ける内容でした。

By Shigemi.J

一方で、片頭痛は嘔吐や下痢を伴うことがあるのですが、今回の研究では腸に関係する遺伝子は関連づけられなかったとのこと。研究著者はこの件について「胃腸管は平滑滑筋組織で作られているため、平滑筋遺伝子が片頭痛を引き起こすという研究結果を強化できるかもしれない」としています。

38のゲノム領域の大部分が血管および平滑滑筋に関連していたことは、片頭痛が人体で重要な脈管に関係する疾患であるとする既存の仮説を裏付けるものであるとのこと。また決定的な証拠ではないものの、神経の電気パルスを伝送する神経系イオンチャネルや、イオンレベルを調整する遺伝子と片頭痛との関連も見つかっています。これらの発見は今後片頭痛の関連性を調査する上で、指標的な研究になる可能性を秘めているとのことです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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