サイエンス

肥満に腸内バクテリアが関係しているメカニズムが解明される


肥満には腸内のバクテリアが関係しているという多くの報告が上がっていましたが、そのメカニズムについてはよく分かっていませんでした。エール大学の研究者らが、ネズミに高脂肪食を与え続けるという実験から、バクテリアが肥満を誘発するメカニズムを発見したことを科学誌Natureで発表しています。

Acetate mediates a microbiome–brain–β-cell axis to promote metabolic syndrome : Nature : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/nature/journal/v534/n7606/full/nature18309.html

How altered gut microbes cause obesity -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/06/160608142554.htm

In rodents fed high-fat diets, gut microbes boost hunger, trigger obesity | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/06/in-rodents-fed-high-fat-diets-gut-microbes-boost-hunger-trigger-obesity/

エール大学のジェラルド・シュルツマン教授らの研究チームは、ネズミに高脂肪食を与え続けて肥満になる過程で、腸内バクテリアが起こす変化について調査しました。

従前の研究では、高脂肪のエサを与え続けるとネズミの腸内細菌は、消化の過程で脂肪酸を発酵させて短鎖脂肪酸の中でも酢酸をより多く生成することが分かっていました。そして、酢酸が増えるとすい臓のβ細胞が刺激されてインスリンが分泌されることも分かっていましたが、そのメカニズムについては不明でした。

今回の実験では、研究者たちはネズミの脳に酢酸塩を注入すると、脳の副交感神経が活性化されることを発見。副交感神経を刺激された腸内バクテリアはさらに酢酸を生み出して、β細胞を刺激して多くのインスリンが体内に作り出されるとのこと。さらに、ガストリンとグレリンという食物の過剰摂取を誘発するホルモンの分泌をも促すことが分かりました。


以上の通り、高脂肪食を摂取したネズミは、腸内バクテリアによって酢酸を生み出して、それによってβ細胞が刺激されてインスリンが分泌され、インスリン抵抗性を持ち過食を促すホルモンが分泌されて、さらに高脂肪なエサを食べようとするという正のフィードバックループを描くと研究者は結論づけています。

シュルツマン教授は、ネズミのメタボリックシンドロームには腸内バクテリアの変化が関係しているとして、このメカニズムによって、飢餓状態にあるネズミが偶然、高栄養価の食べ物を見つけたときに過食を促して肥満体になることでより多くのエネルギーを体内に貯蔵して飢えをしのぐという役割を果たしている可能性を指摘しています。なお、シュルツマン教授の研究チームは、ネズミの腸内バクテリアが肥満に関係するメカニズムが、人間にも当てはまるかどうかについて研究する予定です。

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