ロボットが人間の仕事を奪う事態は起こりそうにないとするOECDの調査結果、その理由は？

By Séb

マクドナルドの元CEOが「全ての仕事はロボットに置き換えられる」と発言したり、日本の野村総合研究所が将来的にロボットや人工知能に置き換えられる可能性が高い職業を公開したりなど、ロボットやAIの発展により、将来的に多くの職業において、人間がロボットに置き換えられるとする予測は数多く存在します。そんな中、国際機関の経済協力開発機構(OECD)が、ロボットにより多くの職業がなくなってしまうというのは起こりそうにないとする調査結果を発表しています。

The Risk of Automation for Jobs in OECD Countries - Papers - OECD iLibrary
http://www.oecd-ilibrary.org/social-issues-migration-health/the-risk-of-automation-for-jobs-in-oecd-countries_5jlz9h56dvq7-en

Robots and job fears: Destruction of large numbers of jobs unlikely, says new OECD Study « RobotEnomics
https://robotenomics.com/2016/05/18/robots-and-job-fears-new-oecd-study-says-automation-and-digitalisation-are-unlikely-to-destroy-large-numbers-of-jobs/

OECDが公開した、Centre for European Economic Research(ヨーロッパ経済研究センター)のMelanie Arntz、Terry Gregory、Ulrich Zierahnという3人の研究員による調査結果によれば、OECDに加盟している21カ国で将来的にロボットに置き換えることが可能な職業は、全体の9％だったとのことです。この9％は、アメリカ労働統計局が算出した20％(アメリカ国内)や野村総合研究所が調査した49％(日本国内)と比べると、調査対象国の違いを考慮してもかなり少ない数値であることがわかります。

By Steve Jurvetson

調査を率いたArntz博士は、「将来的になくなる可能性がある職業の割合」と「テクノロジーの発展により将来的にになくなる可能性がある職業」を同等に考えてはいけないとしています。どうしてかというと、新しい技術を導入するには経済・法律・社会的な障壁があるため時間がかかり、技術が導入されたとしても労働者は別のタスクが与えられるからとのこと。また、ロボットが導入されることで、今までにはなかった職業が増えることも調査に含めなければいけないとしています。

調査では、将来的にロボットに置き換えられる職業の割合の、OECD各国別の結果もしめされていて、アメリカで9％、日本で7％、イギリスで10％となっています。最も高かったのはオーストリア・ドイツ・スペインの12％で、最も低かったのはロシアで、何と2％しかありませんでした。

ただし、調査では「自動化とデジタル化が数多くの職業を破壊してしまう事態は起こりそうにありません。しかし、特別なスキルを要さない職業に就いている人は、高度なスキルを要する職業に就いている人と比べると、自動化の影響を受けやすい」と結論づけられています。