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「パナマ文書」を調査することで富裕層がいかに資産隠し&身元隠蔽をしていたかという手法が発覚

by Jason Lawrence

2016年4月に過去最大級のオフショア取引(国境をまたぐ金融取引)のリーク情報である「パナマ文書」が公表され、政治家・スポーツ選手など著名人や巨大企業の名前が見つかって話題を呼びました。

5月にはデータベースが公開されて、誰でもその中身に触れることができるようになりましたが、調べが進むにつれて、資産隠しにどのような手法が用いられていたのかが明らかになってきました。

How Mossack Fonseca Helped Clients Skirt Or Break U.S. Tax Laws With Offshore Accounts - The New York Times
http://www.nytimes.com/interactive/2016/06/05/world/americas/panama-papers-us-taxes.html


Panama Papers Reveal How Wealthy Americans Hid Millions Overseas - The New York Times
http://www.nytimes.com/2016/06/06/us/panama-papers.html

ヘッジファンドのマネージャーであるウィリアム・R・ポンソルト氏は、法律事務所「モサック・フォンセカ」のクライアントの1人で、2004年ごろから「いかにして子どもたちに資産を残すか」ということを相談していました。そこで、モサック・フォンセカは「個人としてポンソルト氏の名前を漏らすことなく、最高の機密性をもって理想の口座を開くこと」を至上目的とした「資産保護計画」を実行します。この中身は、モサック・フォンセカがクライアントのために行った「資産隠し」の1つの定形と考えられます。

by Butz.2013

まず、モサック・フォンセカはパナマで私立財団を設立します。パナマではこの手の財団への寄付には税金がかからないそうで、クライアントは財団に対して寄付をする形で、資産を移して安全に置いておくことができます。また、財団と関係する、複数の架空企業(ペーパーカンパニー)も同時に設立されます。

当然ですが、この財団がクライアントと直接的につながりがあるとわかってしまっては意味がないため、オーナーや役員にはモサック・フォンセカの従業員やその家族たちが就きます。これらの財団やペーパーカンパニーの受益者にはクライアントだけが指定されており、公文書などでは秘められていたことがわかっています。

お金の出し入れについても、モサック・フォンセカの従業員がクライアントに代わって行っていました。その銀行の場所も、アンドラやスイス、イギリス領ヴァージン諸島などのタックスヘイブン(租税回避地)にあって、伝統的に顧客の名前を政府に伝えたりしないことがわかっているところを選択。

by 401(K) 2012

さらに、クライアントがアメリカ在住であれば、クライアントの子どもなどの個人口座を経由することで、「子どもへの贈与には課税しない」という制度を利用していました。

ポンソルト氏の事例だと、モサック・フォンセカとの関係は2015年まで続いており、その間にモサック・フォンセカは財団1つとペーパーカンパニー8つを設立。最低でも、6カ国・7つの銀行を通じて、1億3400万ドルを動かしたことがわかっています。ただし、この動きを「ポンソルト氏からその子どもへ」という形で直接たどることは、ほぼ不可能だったとのこと。

なお、モサック・フォンセカのアメリカにおけるクライアントの数はここ10年で2400件。設立したペーパーカンパニーの数は、イギリス領ヴァージン諸島、パナマ、セーシェル共和国などに最低でも2800件あることが、パナマ文書の詳細な調査によって判明しています。

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in メモ, Posted by logc_nt

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