無料で全ての科学記事の閲覧・再利用が2020年からヨーロッパで可能になる

by lavagirl66

科学分野での学術論文は基本的に研究を行った大学や研究機関の外部の人は自由に閲覧できず、教師や医師、起業家たちは最新の研究内容を知るために高いお金を支払って科学雑誌を購読する必要があります。しかし、2020年からヨーロッパで発表された研究内容は全て無料で、誰でも自由に閲覧できるようになるという決定がなされました。

All European scientific articles to be freely accessible by 2020 | News item | EU2016.nl
http://english.eu2016.nl/latest/news/2016/05/27/all-european-scientific-articles-to-be-freely-accessible-by-2020


ヨーロッパでは「科学的卓越性」「産業における先導性」「社会的挑戦への取り組み」を3つの柱として掲げ、科学的な研究結果から産業的イノベーションを起こすまでの障害を取り除くための全欧州規模プログラム「Horizon 2020」が実施されており、2014年から2020年までの7年間に各国政府から約800億ユーロ(約9.8兆円)の資金提供が行われます

Horizon 2020の一環として、政府により資金提供が行われた研究は、プライバシーやセキュリティの観点から公開するには不適当であると判断されたものを除き、EU加盟国の人であれば2020年から無料で閲覧可能、かつ再利用もできるようになることが決定されました。さらに、将来性のあるスタートアップをヨーロッパに誘致するためにも、スタートアップ創業者を対象としたビザの導入も検討されています。

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今回の決定を受けて、現状においてオープンアクセスの実現に障害となっている法律の変更が今後行われる予定です。また、オープンアクセスが実現することで、科学分野の垣根が取り除かれ、科学的見地によって社会がどれほど利益を受けるのかが明白になるとのこと。そのため、研究機関は論文の数だけではなく、社会に与えたインパクトの大きさによって評価されるようになるという変化が起こるものと見られています。

オランダの教育・文化・科学省副大臣であるサンダー・デッカー氏は「研究と革新は経済の成長を促し、雇用を生み出して、社会的な問題に対する解決策を提示します。ヨーロッパは研究者やスタートアップにとってより魅力的な場所とならねばならず、会社などが作られ投資が行われるには、無料での知識の共有が必要です。オープンアクセスについて議論される時はすでに過去となり、今回の合意によって実際に行動に移す時が来たのです」と今回の決定についてコメントしました。

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in サイエンス, Posted by logq_fa