乗り物

航空業界を変えるかもしれない電気飛行機「Sunflyer」とは?


太陽光を動力源として飛行するソーラー飛行機「Solar Impulse 2」が太平洋横断を成功させ、さらに世界一周の成功に向けてフライトを続けています。ガソリンやケロシンなどの化石燃料を使わない太陽光・電動の航空機技術は進歩を続けており、航空業界の未来を大きく変える可能性を秘めていまるのですが、アメリカ・デンバー州の小さな航空機メーカーであるAero Electric Aircraft Corporation(AEAC)が、初の電動練習航空機「Sunflyer」の試作機を発表しました。

Sun Flyer by AEAC Aero Electric Aircraft Corporation | “Sun Flyer” Prototype Unveiled Spartan College of Aeronautics and Technology Reserves 5 Additional Airplanes Collaborative Partnership with University of Denver’s Daniel Felix Ritchie School of Engineering & Computer Science Announced
http://www.sunflyer.com/#!“Sun-Flyer“-Prototype-Unveiled-Spartan-College-of-Aeronautics-and-Technology-Reserves-5-Additional-Airplanes-Collaborative-Partnership-with-University-of-Denver%E2%80%99s-Daniel-Felix-Ritchie-School-of-Engineering-Computer-Science-Announced/c21xo/5734d7720cf284cf2140f079

Electric aircraft Sunflyer - Tech Insider
http://www.techinsider.io/electric-aircraft-sunflyer-2016-5

Sunflyerは30分間の充電で3時間の飛行能力を備えた練習機です。Sunflyerを考案したエンジニア兼パイロットのジョージ・バイ氏は、Sunflyerの登場はゼネラル・アビエーションの分野で即座に十分な効果を与えられるもので、将来的には民間航空業界にも大きな変化をもたらすと確信しています。


エネルギーコストは1時間の飛行練習で1ドル(約110円)ほどで、従来の複雑な航空機エンジンではなく、主要な部品が1つしかないモーターを搭載していることで、メンテナンスコストも著しく低くなるとのこと。連邦航空局(FAA)に認可されるにはFAAの徹底的な調査や手続きを踏む必要がありますが、バイ氏は「3年以内に認可の手続きは完了するだろう」と予測しています。Sunflyerは試作機の段階ですが、最終的に1機あたりの製造コストは約25万ドル(約2770万円)になる見込みです。


これらのコストは従来の航空機に比べると極めて低く抑えられているといいます。Sunflyerは2人乗りの練習機なのですが、同じサイズの機体でガソリンエンジンを搭載するセスナ 172の製造コストは30万ドル(約3330万円)ほど。そして多くの航空専門学校では、セスナ 172を使った練習飛行は1時間あたり100ドル(約1万1000円)以上のコストを支払う必要があり、訓練を終えるには少なくとも30時間の練習飛行が必要になります。


国際オーナーパイロット協会(AOPA)の出版部門で編集長を務めるトーマス・ヘインズ氏は、「近年のパイロット訓練の改革は長らく停止したままです」とBusiness Insiderに話しました。ヘインズは「パイロット人口は減少の一途をたどっていますが、もし本当に低コストの練習機が実現すれば、極めて重要な変化になるでしょう。従来の高コストでちゅうちょしていた人も飛行機に興味を示すことができるからです」と説明しています。


航空機のパイロット不足は深刻で、リパブリック航空はまさに自社で十分なパイロットを育成できなかったことが倒産の一因になったほど。Sunflyerによってこれらの問題に解決の兆しが見えています。

2015年に行なわれたSunflyerのテスト飛行の様子は以下のムービーから見ることができます。

Sunflyer Test Flight 10/23/2015 - YouTube


Sunflyerの実機が展示されていた試作機の発表会も以下のムービーに収められています。

Aero-TV: The Future is Near - Aero Electric Aircraft Rolls Out The "Sun Flyer" - YouTube


なお、民間航空機業界でも電気推進化が進められており、イギリスの大手航空会社エアバスとドイツの技術会社シーメンスが電気飛行機の開発を目指してパートナーシップを組んでいます。エアバス・グループのCEOであるトム・エンダーズ氏は「私たちは2030年までに100席未満の電気・燃料のハイブリッド推進システムで飛行する旅客機が登場する可能性を信じています」と話しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
太陽光だけをエネルギーにして世界一周を目指す「Solar Impulse 2」が再びゴールに向けてまもなく出発 - GIGAZINE

世界初の「ハイブリッド飛行機」を可能にする飛行機用モーターの開発が進行中、2015年には新たな実機テストも実施予定 - GIGAZINE

圧倒的に巨大な世界最大の航空機「Airlander 10」が完全組立状態で公開される - GIGAZINE

全自動飛行可能でパイロット不要の1人乗りドローン「EHANG184」 - GIGAZINE

「V-22オスプレイ」の進化版の小型版実験機が初の垂直離着陸実験に成功 - GIGAZINE

in 乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.