ジェスチャーだけであらゆるものを操作可能になる「Project Soli」の最新デモ&活用例がすごい
2016年5月に開催された開発者向けイベントGoogle I/O 2016では、モバイル向けOS・Androidの最新バージョンとなる「Android N」やリアルタイム空間認識技術の「Tango」など、Googleが取り組むさまざまなプロジェクトに関する発表が行われました。その中で、端末をジェスチャー操作できるようになるレーダーチップの開発プロジェクトである「Project Soli」が、レーダーチップ内蔵でジェスチャー操作可能なスマートウォッチを開発中であることを明かしました。
Project Soli
https://atap.google.com/soli/
「Project Soli」はレーダーをジェスチャーセンサーとして、端末に触れなくてもジェスチャーのみでさまざまな端末を操作できるようにする、というプロジェクト。Project Soliがなぜジェスチャーに注目し、どのような原理で手の動きを認識しているのかは以下の記事を読めばよくわかります。
Googleのレーダーチップ内蔵ジェスチャ操作プロジェクト「Project Soli」がよくわかるムービー - GIGAZINE
そのProject Soliは、Google I/O 2015でのプロジェクト発表以来、一部の企業や研究機関にレーダーチップの開発者キットを配布していた模様。開発者キットを配布された機関による、Project Soliの使用例は多岐にわたっており、その一部がムービーにまとめられています。
Project Soli: Alpha Developers Showcase - YouTube
イギリスのセント・アンドルーズ大学がProject Soliの活用例として作成した、物体認識技術。モニター下部に置かれている四角い白色の物体がProject Soliのレーダーチップを搭載した認識デバイスで、その上に置いているものが何かを認識し、モニターに映し出しています。
例えば以下はコップに水を注いでおり、モニター上には「water(水)」の文字。
同じようにコップに牛乳を注いだところ、しっかりと「milk(牛乳)」と表示されており、水と牛乳の違いを認識しています。
さらに、「copper(銅)」や……
「aluminium(アルミニウム)」など、センサーの上に置かれた物体が何かを正確に認識できています。
ドイツのTINNYSARによる、Project Soliを使った3次元画像化のデモ
日本のSemitransparent Designによる描画予測
Google内のプロジェクトである「THE ZOO」による、自動車内でのジェスチャー操作の活用例。
電話がかかってきたら以下のようなジェスチャーをとることで、電話に出ることができます。
スペインのB-REELによる、ジェスチャー操作の活用例は、ボックスの鍵をジェスチャー操作で開け閉めするというもの。
その他、ロンドンのゴールドスミス・カレッジによる、人間のジェスチャーを視覚化したアートのようなものまで紹介されています。
さらに、Google I/O 2016ではGoogleがLGと共同で「Project Soli」を採用したスマートウォッチの開発に取り組んでいることも明かされ、実機のデモンストレーションも行われています。
Google’s smartwatch with radar for gesture control - YouTube
机の上に置かれたスマートウォッチの前に手をかかげて……
この手をスマートウォッチに近づけていきます。すると、スマートウォッチの画面が点灯し、スリープ状態が解除。
今度はスマートウォッチの画面がよく見えるアングルから。
手がスマートウォッチに近づくと、画面が点灯します。
他にも、スマートウォッチに触れずに親指と人さし指でひねるようなジェスチャーを行います。
すると、画面に表示されているアイコンがクルクル回転。スマートウォッチは腕時計なのでどうしてもディスプレイが小さく、指でタッチ操作をすると目で見える情報量がとても少なくなります。しかし、ジェスチャー操作でスマートウォッチを操作できるようになれば、情報量は格段に増え、全体としての使い勝手もかなり向上するのではと期待せずにはいられません。
他にも、GoogleはJBLと共同でProject Soli採用のスピーカーを開発しています。
同スピーカーは手を近づけると端末表面のライトが光り……
指をパチンとスナップすることで音楽の再生停止が行える模様。
なお、Project Soliの最新の開発者キットは、2016年秋にリリースされる模様です。
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