脚本家・小林靖子さんに劇場版「牙狼〈GARO〉-DIVINE FLAME-」についてインタビュー


2016年5月21日に公開される劇場版「牙狼〈GARO〉-DIVINE FLAME-」で脚本を担当したのが、アニメや特撮作品の脚本家として活躍している小林靖子さん。本作はテレビアニメ「牙狼〈GARO〉-炎の刻印-」の4年後を描いた作品であり、小林さんはこの「炎の刻印」でもシリーズ構成・脚本を担当しています。今回、非常に多忙な小林さんに会える機会を得たので、「DIVINE FLAME」と「炎の刻印」、さらに「脚本家・小林靖子」についてと、幅広くいろいろとお話を聞いてきました。

劇場版『牙狼〈GARO〉-DIVINE FLAME-』公式サイト
http://garo-divineflame.jp/

作品のメインビジュアルはこんな感じです。


小林さんが脚本家になるまで
GIGAZINE(以下、G):
まずは小林さんと牙狼〈GARO〉が出会うまで、どうやって「脚本家・小林靖子が生まれたのか」という部分のお話を伺いたいと思います。小林さんはちょうど仮面ライダーシリーズなどが始まった世代で、よく特撮作品を見ていたとうかがいました。また、同時に時代劇や刑事ドラマでも育ったという話も聞いたのですが、子どもの頃はテレビをじっと見ているようなおとなしい子だったのですか?

小林靖子(以下、小林):
外で男の子たちに混じってワーワーと遊んでいるような子でしたね。

G:
それはライダーごっこをしたり?

小林:
いえ、流行していたキックベースや「ケイドロ」なんかをしていました。まだゲーム機がなかった時代ですから、とにかく外で遊び回っていました。そして夜になると家に帰ってテレビを見る、と。当時は夜の7時台にもアニメなどの子ども向け番組を放送していましたから。

G:
仮面ライダーやゴレンジャーが始まったころの印象とか、覚えていることはありますか?

小林:
それぞれ「始まった」ということはそれほど印象にはないんですが「見ていた」という記憶はあります。仮面ライダーは1号のことはぜんぜん覚えていなくて、2号は……役者の方があまり好みじゃないなと思ったことが(笑)

G:
時代劇や刑事ドラマも、このころからでしょうか?

小林:
もうちょっと年齢が上がって、小学校高学年ぐらいになってからですね。時代劇の場合は忍者や侍のことを素直に「かっこいい」と思ってハマりました。

G:
小学校から中学校ぐらいの時には「科学忍者隊ガッチャマン」のせりふのやりとりを書かれていたそうですが、今もその内容は残していたりしますか?

小林:
残っていないと思いますね、授業中に教科書の隅に書いていたようなものなので(笑)

G:
このころ、通信教育のシナリオ講座を受けたというお話を「高寺成紀の怪獣ラジオ」で聞きました。

小林:
脚本家という仕事があるんだなと知って、たしか中学生の時だったと思いますが、親に頼んでやらせてもらいました。

G:
見事にこうして夢を叶えておられるわけですが、脚本家を目指し続けていたわけでもない、と。

小林:
夢として持っていたものが、だんだんと日常に紛れていった……と言うんでしょうか(笑) はっきりと「諦めた」という時期があるわけではありませんが、気がついたらフェードアウトしていました。

G:
中学ではバスケットボール、高校ではソフトボールをされていて、わりと体育会系な方向に行っていますが、それもあるのでしょうか。

小林:
普通のドラマはあまり見ていなかったですが、中学でも時代劇やアニメはよく見ていましたよ。それと、「週刊少年ジャンプ」をずっと読んでいましたね、それこそ「誰でも読んでいるんじゃないか」というぐらいの時代でした。

G:
本やマンガだと何に触れられていたんだろうと思ったんですが、やはり「ジャンプ」が強いですか。

小林:
1つ下に弟がいるんですが、ジャンプに関しては弟と重なっても買って1人1冊みたいな状態にもなりました(笑) ただ、親はあまりそういうものは好きでなかったみたいです。

G:
しかし、一度はフェードアウトしつつも、社会人になってから「特警ウインスペクター」(1990年7月22日放送の第25話「雨に泣くロボット」)を見たことをきっかけにして「脚本家」というところへ戻ってくるわけですね。このエピソードは特撮ファンの中ではかなり広く知られているものなのですが、そもそも、見ることになったきっかけとして、たとえば作品の名前を聞いていたとか、そういったことはありましたか?

小林:
それが、まったくないんです。「日曜の朝、テレビをつけたら放送していた」という、本当にたまたまのことなんです。

G:
特捜エクシードラフト」のときにはシナリオを書き上げて送付したとのことですが、この時点でもまだ「脚本家を目指して」というわけではなかった?

小林:
送ったときには「脚本家になりたい、そのために」とまでは思っていなかったんじゃないでしょうか。ただ、送ったあとご連絡をいただくようになったので、「ひょっとすると、できるのだろうか」と思うようにはなりました。

G:
このシナリオが堀長文プロデューサーの目にとまり、翌年の「特捜ロボ ジャンパーソン」で脚本家としてデビューすることになったんですね。

小林:
次の年だったかもうちょっと先だったか、ちょっと間が開いたような感覚があっての「ジャンパーソン」でのデビューだったという記憶があります。
(編注:小林さんが脚本を担当したのは第40話「基地爆破5秒前」、1993年10月31日放送でした)

G:
小林さんが見ていたドラマとして名前を挙げられたことのある「Gメン'75」で、13本の監督を担当されていた堀プロデューサーに見いだされるなんて、そのエピソードがまるでドラマですね……。

小林:
そうなんですよね……これは、私もすごく不思議な感覚がありました。

G:
エクシードラフトなどを見ているとき、堀プロデューサーのことはご存じだったのですか?

小林:
まったく知らず、それどころかプロデューサーというのがどういうお仕事をなさる方なのか知らなかったものですから、最初にご連絡をいただいたときには「私、だまされているのかな?」と思ったぐらいです(笑)

G:
なんと(笑) プロデューサーの高寺成紀さんと組んだ「電磁戦隊メガレンジャー」の放送が1997年なのですが、このころ脚本家専業になられたとうかがいました。

小林:
昔のことなので具体的な時期までは思い出せませんが、メガレンジャーの途中ぐらいだったと思います。

G:
ちょうどこの年に「地獄先生ぬ~べ~」でアニメ脚本デビューなさっています。

小林:
ぬ~べ~は、テレビ朝日系列で放送されるアニメだったんですが、テレビ朝日で特撮を担当していた梶淳さんというプロデューサーがアニメを担当なさることになったので、その縁なんです。

G:
これは専業になられた影響があるのですか?たとえば、専業なら時間が多く使えるから特撮だけではなくアニメもできるとか……。

小林:
いえいえ!全っ然、そんなことはありません。むしろ、声がかかるまでは何もできないですから。

G:
脚本を書くにあたって特撮とアニメの違いというのは大きいですか?

小林:
今はそうでもありませんが、昔は絵コンテで中身が変わることが多くて、アニメだとこんなにも変わるものなんだというところには驚きました。特撮の場合、1つの脚本をもとにして現場がすべて動くので、大きく変えてしまうということはないんです。一方で、アニメの場合は脚本をもとに現場が動くのではなく、コンテマンの方がコンテを切って、それをもとにして現場が動くのでそういうこともある、という違いがありますね。

G:
なるほど。

小林:
アニメの現場についても、先ほどの話はあくまで昔のはなしで、今は製作委員会方式がとられるようになったので、決定稿に重きが置かれています。なので、いかにその決定稿をもとにして作るか、演出するかというところに労力をかけるようになっていて、脚本が変わるということは少なくなりました。

G:
小林さんは、スーパー戦隊シリーズで「侍戦隊シンケンジャー」など5作品、仮面ライダーシリーズで「仮面ライダー電王」など3作品のメインライターを担当している、特撮界を代表する脚本家のお一人であると同時に、アニメ界でも大活躍している脚本家です。「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズや「進撃の巨人」のような、原作が大人気で、かつアニメも大ヒットした作品の名前もいくつもありますが、こうした作品を担当するにあたってプレッシャーなどはありませんか?

小林:
うーん……特にはないですね。「アニメ化されるということは人気のある原作なのだろう」というように思いますが、どの作品に関しても、やるにあたっては原作があるなら頭から読み込まなければ話にならないですから(笑)、そういう点では、名前を挙げられた作品もそうでない作品も同じだといえるかも知れません。実は、マンガをあまりたくさん読む方ではないので、それほど詳しくはないんです。恥ずかしながら、「ジョジョの奇妙な冒険」もお話をいただいてから読むことになったのですが……「さすが、面白い」と納得しました。

G:
「進撃の巨人」についてはたまたま読まれていたとか。

小林:
特命戦隊ゴーバスターズのころに教えてもらって読み始めた作品なのですが、アニメのお話も偶然いただくことになったんです。

G:
なるほど、偶然の重なりだったんですね。

小林さんと牙狼〈GARO〉
G:
小林さんと牙狼〈GARO〉との関わりは2011年放送の「牙狼〈GARO〉~MAKAISENKI~」からで、第5話で脚本を担当されています。これはどういったきっかけだったのですか?

小林:
うーん、どうしてだっただろう……。雨宮さんから直接というわけではなかったと思うので、おそらくプロデューサーのどなたかから、だったのかな?

G:
たとえば脚本家仲間から紹介を受けてというのもあったりするんでしょうか?

小林:
脚本家の井上敏樹さんが雨宮さんと仲が良いので、そういうつながりはあったのかもしれないですね。

G:
「MAKAISENKI」のあと、雨宮慶太監督からもう一度と声がかかって作られたのが2014年上映・放送の「絶狼〈ZERO〉-BLACK BLOOD-」です。

小林:
はい、シリーズ構成と全6本の脚本をさせていただきました。

G:
シリーズ構成というと、脚本の方にそれぞれの話を発注するポジションですね。

小林:
全部自分でやるとなると別にシリーズ構成はいらないんですけれど(笑)、オリジナルの作品の場合はみなさんに方向性を伝える必要がありますので、第1話はこんな感じ、第2話はこんな感じ、というように放送の長さに合わせて割り振りを行います。ただ、これはアニメの場合の話で、実写だとあまりやらないですね。

G:
シリーズ構成の方が割り振りを伝えるときは、どれぐらいの内容を伝えているんですか?

小林:
2~3行ぐらいの概要で伝えたりしますが、これは人それぞれの部分はあると思います。あと、原作がある作品だと「原作本のここからここまでです」という形で伝えられるので、またちょっと違いがあります。

G:
劇場版「牙狼〈GARO〉-DIVINE FLAME-」につながる作品であるテレビアニメ「牙狼〈GARO〉-炎の刻印-」は、小林さんがシリーズ構成・脚本を務められたオリジナル作品です。林祐一郎監督によると、監督が参加した時点では脚本が小林さんであることと、オリジナルの世界観の作品であるということ以外は未定だったとのことですが、最初はどのように話を進められたのですか?

小林:
「これをアニメでやりたいので、本当になんでもいいから自由に考えてください」と言われて、A4用紙2枚ぐらいの世界観とストーリーの骨子みたいなものを書いて出したら「これでいきましょう」となりました。それから監督が林さんに決まって、みんなでシリーズ構成、話の展開をどうしようかと詰めていった……という感じです。

G:
なるほど、「中世ヨーロッパ風な牙狼〈GARO〉」は小林さんが生み出したんですね。

小林:
中世ヨーロッパ風であるということと、「火刑台で生まれた赤ん坊とその父親の物語」という骨子でした。

宿命の子であるレオン(DIVINE FLAMEでの姿)


G:
第1話の冒頭に出てきた、アンナがレオンを産み落として、それをヘルマンが助けるというシーンはこの段階から……!あの、アニメになった絵が浮かんだんですか?

小林:
絵ではないですが、「炎の中で産み落とされる……」という、そういうイメージですね。

「DIVINE FLAME」の第1弾ビジュアルでも、火刑にかけられるアンナの姿が使われました。


G:
「炎の刻印」は、そのレオンの母・アンナが命を落とした魔女狩りも含めて、非常にシリアスなストーリーが展開されます。その一方で、ヘルマンは作品のムードメーカーになっていて、特に第8話「全裸−FULL MONTY−」(脚本:村越繁)ではサブタイトル通り全裸で走り回ったのに、でもかっこよく決めるところもあってヘルマンらしさを満喫させていただきました。あれは、どのぐらいまでが割り振りで与えられた幅なのでしょうか?

レオンの父・ヘルマン。


小林:
構成としては単発エピソードということと、ヘルマンの回ということが決まっていて、作っている間にみなさんが「全裸にしよう」ということになったんだと思います(笑) おそらく、脚本家の方のアイデアだと思います。

G:
特に「振り切れてる」という印象を受ける話でしたが、事前にそこまで細かく決まっていたわけではないんですね。

小林:
「ヘルマンでお願いします」という感じでした。

G:
この前の第7話「人狼−SORROW BEAST−」(脚本:村井さだゆき)がレオンの話で第8話とは対のような関係になっているので、その点ぐらいですか?

小林:
そうですね、ヘルマンの話であることと、ストーリーを進める上で重要なポイント、たとえばヒメナを出すということ、というのは決めていますが、ほかは自由にやっていただきました。その方が書きやすいだろうと。ただ、実は私はアニメだとシリーズ構成以外で入ったことがそれほどなくて……(笑) 特撮だとサブで入ったことはあるんですが、そちらだとシリーズ構成はいないんですよ。

G:
先ほど「実写だとシリーズ構成の割り振りはあまりやらない」とお話がありましたね。

小林:
それもあって、特撮はわりと自由なんです。

G:
シリーズ全体の流れというお話でいくと、林監督の情報として、最初の構想にはアルフォンソがいなかったという話を聞きました。

DIVINE FLAMEでももちろん登場するアルフォンソ


小林:
そう……でしたっけ?(笑)

G:
牙狼〈GARO〉ぴあ」内のインタビューからの情報なのですが、小林さんが「ガロの鎧が奪われる展開にしたい」とおっしゃったので登場することになったという話がありまして、まさか、「DIVINE FLAME」にも登場する重要キャラクターがそこから生まれていたとは、と驚きました。

小林:
喉元過ぎればなんとやらで、忘れてしまって。作るときには監督やプロデューサーさんたちと合宿して、一晩で一気に作り上げましたね……。

G:
それで、自分の中からスーッと抜けてしまっているのかも知れないですね。しかし、炎の中でレオンが産み落とされるところから話が始まり、ヘルマンが裸になる話があって、折り返し地点でガロの鎧が奪われるというのは、2クールある作品らしい厚みのある展開ですよね。

小林:
鎧が奪われるという展開については、「1クールの節目には何かがある」というのが常道ですので、そこで何をどうやってひっくり返そうかと考えて出てきたアイデアだったと思います。

G:
波乱と戦いの2クールのお話を経て、今回の劇場版「DIVINE FLAME」はそこから4年後が舞台です。これはテレビシリーズ制作のどのあたりで作ることが決まったのでしょうか?

小林:
確か、終わったころだったかな?作っている最中に劇場版の話を聞いたのではなかったと思います。

G:
劇場版を作るという話を聞いたときの第一印象はいかがでしたか?

小林:
「どうするんだろう?」ということですね(笑) ただ、最初からヘルマンを出したいというお話は聞いていたので、シリーズの途中の1エピソードという形も検討しましたが、結果的に今の形に落ち着いた、というところです。4年後にしたのは、ロベルト(ヘルマンとヒメナの子ども)の年齢を考えてのことで、あまり大人すぎず、かつ子ども過ぎないように、と。

レオンとロベルト。


G:
公式サイトを見に行ったらメインビジュアルにヘルマンがしれっと混じっているし、予告編にも出てきているしで、「ヘルマン、いる!」と驚き、喜びましたが、出ることは最初から決まっていたんですね。

小林:
やっぱりこの世界観だと、「親子」のこともあるし、あれだけ強烈なキャラクターでもあるので、「ヘルマンがいないと」というのはありますね。出てくれて良かったと思います。

第2弾ビジュアルに登場したヘルマン


G:
劇場版でのヘルマン絡みでは、テレビシリーズとのデジャヴを感じさせるようなコミカルなシーンが登場しました。これは「ヘルマンといえば」ということで取り入れられたものなのでしょうか。

小林:
これは林監督が絵として覚えていらっしゃったのでやってくださったんだと思います。

G:
本作の脚本を書くときに苦労したポイントはありますか?

小林:
長尺だと筋が1本だけだときついので、どうやって組み立てるかというところには苦労しました。

G:
できあがった映画を見てみて、ここは書いたときにイメージしたよりもよくなっていたというところはありますか?

小林:
これはもう「全体的に」ですね(笑) 林監督による演出、そして追加された部分もいろいろとあり、本当にすごいなと思いました。

G:
バトルシーンで、エマが見せるワイヤーアクションの動きにウキウキとしましたが、あれは脚本上で「こんなワイヤーアクションを」と書かれるんですか?

レオンたちと関わりを持つ魔戒法師エマ


小林:
「エマが戦う」や「攻撃を受ける」などの流れとせりふを書いています。たとえば、ここでやられないと次のせりふが出ないとかがありますので「エマやられる」「腕をケガする」といった感じですね。でも、お話に必要なアクションは書くんですが、「触手の攻撃が」や「糸を使ったこんなアクションが」といった細かい部分に関しては、これはもう林監督やスタッフさんの力です。

G:
小林さんも映像を見て、はじめてどうなったか知るわけですね。

小林:
かっこいいアクションになるかどうかは絵にならないとわからないですから、できたものを見て、ただただ「すごい」と思います。

小林さんの脚本作り
G:
ちなみに、脚本自体はどのように作られるのですか?「絶狼〈ZERO〉-BLACK BLOOD-」公開時のインタビューの中で、プロットを作らずにいきなりシナリオを書いたのは初、とありましたので、まずはプロットを作る、それからシナリオを作る、という手順ですか?

小林:
そうですね、まずはあらすじ(=プロット)を作ってからシナリオ、つまり映像的な表現の含まれたものを起こしていきます。なので、時にはプロット通りにならないこともあります。

G:
作業で時間のかかるところはどの部分ですか?

小林:
時間は……どこも同じぐらいかかりますね。考える時間というか、何も出てこない時間というのが一番多いです。

G:
それは頭の中で練りに練っている時間ですか?

小林:
いえ、練ろうにも何もないので「出す」に向けての時間ですね。いつもついついネットで遊んでしまう……(笑) 小学生が宿題に追われるのと同じような感じで、どうにも進まず、やがてプロデューサーから連絡が来る、という。

G:
脚本を書いていて「キャラクターが勝手に動き出す」みたいなことはありますか?ヘルマンなんて強烈な個性のあるキャラクターなので、好き放題しそうなイメージが……。

小林:
ヘルマンは好きなタイプなので、最初から悩まずにすらすら書けるタイプですね。キャラクターが勝手に……というのは、たまに、たまーにありますけれど、多くはないですね。

G:
おおむね、コントロール内で動かしていくと。

小林:
「動かす」というのは少し違って、「自然にそうなってくる」……でしょうか。このキャラはこういう反応はしないな、こういうことは言わないな、というのはわかるので、「キャラクターが勝手に動いてもうどうしようもない」ということはないですね(笑)

G:
締め切りに近づいてくると効率が上がったりはしますか?

小林:
切羽詰まってきて、もうどうにもならないという感じがしてくると集中力が上がります。そして、時には締め切りが来ることも……。

G:
ああっ、いけない(笑) 「締め切り」という単語には私もちょっと息苦しくなるものがあります。締め切りに向けて計画立てて「今日は何ページやる」と決めて進められればいいのですが……

小林:
うーん、それは無理ですよねえ(笑)

G:
何も出ないときはたとえ何をしても出ないものだと思いますが、そんなときはどうされるんですか?スパッと切り替えて別のことをするのか、それでもうなり続けるのか。

小林:
時間に余裕があるときは散歩に出たりします。でも、本当に切羽詰まってくると何もする時間がないので「とにかく出るまでなんとかする」ですね。

G:
過去のインタビューの中では、なかなかロケに行ったり取材に行くこともできないというお話がありましたが、やはり時間のないことが多いですか。

小林:
締め切りが近づくと余裕がなくなるというのもありますし、そもそも、いつ上がるかというのが自分でも読めないので、予定が立てづらいんです。

G:
脚本を書くには自分の内から出すしかないということなんですが、何か意識的に行っているインプットはありますか?

小林:
特にはないと思います。もともと、映画もあまり見ない方ですし……。

G:
時間があるときには散歩に出られるということでしたが、趣味的に行われていることは何かありますか?

小林:
食べ歩きでしょうか。パンケーキとかが好きなのであちこちへ食べに行って、写真を撮ったりしています。

G:
そこからインスピレーションを得たり、というのは……

小林:
ないですね(笑)

G:
ないですか(笑) 過去にこれを見ておいてよかった、やっておいてよかったなというものはありますか?

小林:
OLをしていたこと、でしょうか。コンピューター関係の会社だったので、そのときに得た知識が理解に役立つというのはありますね。

G:
子どもの頃に多くの作品に触れていたというのが大きな財産となっている、という感じはありますか。

小林:
そのときに思った「かっこいい」という感覚がずっと基本になってくるのは確かですね。自分が「かっこいい」と思うかどうかという物差しがそこにしかないので、そうでなければ「かっこいい」とは思えないんです。

G:
脚本自体の執筆には何を使っているんですか?さすがに手書きではないと思いますが……

小林:
いやいや(笑) もうこれはPCでなければ書けないです。

G:
使っているのはテキストエディタですか?差し支えなければ教えてください。

小林:
O's Editor2」というシェアウェアのエディタで、これでなければダメですね。

G:
設定は自分用にガチガチにカスタマイズ済みですか?

小林:
設定の面もありますが、シナリオライター向けに作られているので、使っていてすごく楽なんです。これでなければ書くことができなくて……もしこのソフトがなくなったら廃業かなと(笑)

G:
そこまで言われてしまうとは(笑)、なんともすごいソフトですね。

小林:
昔は一太郎などを使っていたんですが、これを見つけてからはもう一本です。実は「牙狼〈GARO〉」のシナリオ打ちでも紹介したんですけれど、あまり皆さん使ってくれなくて(笑)

G:
皆さん、きっとそれぞれに譲れないソフトがあったんですね(笑) では締めに向けて、これから脚本家になりたいという時にやっておいたほうがよい勉強、読んでおいたほうがよい本などはありますか?

小林:
これは……あんまりマニアックなことはよくない、ということは言っておきたいと思います。設定ばっかり作る人がいますけれど、それはいらないです。

G:
「まずは書くんだ」ということですね。

小林:
シナリオならエンドマークまで、あらすじでも最後まで。とにかく、設定から入るのはやめたほうがいいです。

G:
お忙しい中、牙狼〈GARO〉以外のことまでいろいろとお話いただき、ありがとうございました。


劇場版「牙狼〈GARO〉-DIVINE FLAME-」は5月21日公開。最新予告編は以下のような感じなので、気になった人はぜひ劇場へ足を運んでみてください。

【特報③】劇場版『牙狼〈GARO〉-DIVINE FLAME-』 特報第3弾!/GARO PROJECT #109 - YouTube

©2016「DIVINE FLAME」雨宮慶太/東北新社

なお、クリエイティブプロデューサーを務めた丸山正雄さん、そして林祐一郎監督のインタビューも掲載しています。

・つづき
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