2050年にはスーパー細菌が3秒ごとに1人を殺すかもしれないという衝撃的なレポート

By Maya West

抗生物質コリスチンに耐性を持つ細菌が中国で見つかるなど、近年、抗生物質の効かない耐性菌・スーパーバグが世界的に話題になっています。そんな抗生物質の効かない耐性菌による伝染病が2050年までに流行し、3秒に1人が死ぬ未来がやってくる可能性を示唆する報告書が、イギリス政府により公表されました。

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In 2050, superbugs may kill 1 person every 3 seconds, report warns | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/05/in-2050-superbugs-may-kill-1-person-every-3-seconds-report-warns/


Global antibiotics 'revolution' needed - BBC News
http://www.bbc.com/news/health-36321394


新薬や強力な薬品が、抗生物質の使用方法を大きく変えてきましたが、これに警鐘を打ち鳴らすような調査報告書をイギリス政府が公表しました。報告書は「2050年までに抗生物質の効かない伝染病が流行し、年間で1000万人(3秒に1人が死ぬレベル)を死に至らしめることで世界経済に100兆ドル(1京1000兆円)のダメージを与えるかもしれない」というショッキングな予測を行っています。

加えて、腸手術・帝王切開・移植手術・免疫療法などは、命に危険を及ぼすレベルの伝染病にかかる危険性が高いということで、行われなくなる可能性を報告書は指摘。さらに、強力な伝染病の出現により出産は非常に危険な行為と認知されるようになり、治療可能な病も伝染病拡大の恐れから処置不可能となり、不治の病になってしまう可能性があるとも指摘されています。

これらの推測内容は、KPMGとRand Europeという2つのコンサルティンググループにより作成されました。しかし、製作者は「推測値は恐らく過小評価である」と述べています。専門家によると現存する薬剤耐性を持つ菌は、世界規模で見ると年間で少なくとも70万人を死に至らしめており、この数値すらも過小評価かもしれないとのこと。なお、報告書には伝染病の拡大に基づく医療費の変化については詳細が述べられていません。

報告書では抗生物質の効かない伝染病で多くの人々が死に絶えるような恐るべき未来を回避するために必要なのは「抗生物質や抗菌剤の乱用抑制と、新薬開発の奨励、およびこれらの事実の周知」としています。

By oliver.dodd

そして、これを実現するのに必要な10個のステップも記しています。

・抗生物質の乱用を世界的な一般認識として広めるようなキャンペーンを行う
・衛生面の改善と伝染病の防止
・農業で抗菌剤を使用することを止める
・薬剤耐性菌を監視するための体制を世界的に改善する
・抗生物質を使用すべきか否かを素早く診断するための新しい方法の奨励
・抗生物質の代替となる治療法や、ワクチンの奨励
・感染症の専門家を支援すること
・抗菌剤と耐性菌に関する研究を行うための世界的な組織を設立すること
・新薬の開発を奨励
・世界連合を組織すること


なお同報告書はイギリスのデービッド・キャメロン首相の要請で調査・作成されたもので、調査を率いたのは経済学者のジム・オニール氏。調査期間は2年に及んでいます。オニール氏はBBC放送に対して「我々は、抗生物質をスイーツのように扱うことを止めるよう、これまでとは異なる方法で世界中に知らしめる義務があります」と、調査報告書の重要性について語っています。

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in サイエンス, Posted by logu_ii