なぜ古い本はいいニオイがするのか?

by David Flores

図書館の古書棚や古書店では、何とも言えない特有の古書の香りが漂っていますが、なぜ古い本はいいニオイがするのかという理由について、日常の中の科学を扱っているSciShowが「Why Do Old Books Smell So Good?」で科学的に解説しています。

Why Do Old Books Smell So Good? - YouTube


古書特有のニオイについて、「かび臭い」と言う人もいれば、「バニラやコーヒーの香り」「刈ったばかりの草のニオイ」という意見もあります。また、新品の本特有のパリッとした新鮮なニオイが好きな人もいます。


本のニオイは、紙、インク、装丁に使われている化学物質に由来します。紙は木材パルプから作られていて、さまざまな有機化合物が含まれています。


例えば、紙にはグルコースが結合したセルロースが多く含まれていて……


セルロース同士は、リグニンの働きによって結合しています。


本が作られてから時間が経つと、これらの化学物質が、光、熱、水などに反応して徐々に分解され、空気中に揮発性有機化合物(VOC)が放出されます。


VOCの種類は、紙の製造過程や製本方法によって異なります。例えば、古書からアーモンドに似た香りがする場合は、ベンズアルデヒドが放出されています。


バニラの香りは、バニリンという、バニラに含まれる香りや風味の成分でもある物質に由来します。


甘い香りはエチルベンゼンのもの。


古書の香りには、インクや塗料由来のものもあり、例えば花のような香りは、塗料の溶解剤に含まれる2-エチルヘキサノールのニオイです。


また、古い本と現代の書籍では、製本方法が異なっています。現代では、紙の漂白に過酸化水素を使用したり、防水性を高めるためにアルキルケテンダイマーを使ったりしているので、これらの物質によっても本のニオイが違ってきます。


そこで、本が作られた年代や環境を特定する方法としてVOCが活用されています。VOCを調べることで、古書が噴煙や水などにさらされていた事実が判明することもあり、古書が一体どのように扱われていたのかを突き止めることが可能。本のニオイには単なるいいニオイではなく、古書の調査や、重要な古書の保管にも役立っているというわけです。

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