ハードウェア

「折り紙」構造を応用した小型・軽量ロボットが改良され、誤飲したボタン電池を体内から取り除ける「Ingestible Origami Robot」に進化


「折り紙」の技術を応用して強度と軽さを両立するさまざまなロボットが研究されています。MITの研究者は、すでに折り紙の構造を応用した小型・軽量で自在に動きまわれる「Origami Robot」を発表していましたが、新たに、体内で開閉して誤飲したボタン電池を体内から取り除くロボット「Ingestible Origami Robot」のデモを公開しています。

Ingestible origami robot | MIT News
http://news.mit.edu/2016/ingestible-origami-robot-0512

折り紙を応用して、推進力を得られる小型ロボット「Origami Robot」がどんなロボットなのか、以下のムービーを見ればよく分かります。

Robot Origami: Robot self-folds, walks, and completes tasks - YouTube


薄い金属片のような物体を液体につけると……


自動的に折りたたまれるように動き出して……


特定の構造を取りました。


この0.33グラムで約1センチメートル四方の小さなロボットはネオジム磁石を搭載しており、外部の磁場の変化で振動して進むことが可能。


自重の2倍の重さの物を運ぶ事ができます。


磁場によって動きをコントロールできるOrigami Robotは、力強い推進力で坂をのぼることもでき……


水の中を泳ぐこともできます。


さらには生分解性を持たせて、液体内で溶解できる仕組みになっています。


このOrigami RobotはMITのミヤシタ・シュウヘイ氏らの研究チームが作ったロボット。


丸で囲まれたネオジム磁石でコントロールできます。


小さく、軽いOrigami Robotは体内で物を運搬できるためドラッグデリバリーシステムなどへの応用が期待されていました。


そしてMIT、シェフィールド大学、東京工業大学の研究グループが、誤飲した異物を体内から取り除けるようにOrigami Robotを改良しました。


Ingestible origami robot - YouTube


これが「Ingestible Origami Robot」。豚の腸を使って作られています。乾燥状態だと左にある紙片のような感じですが、水分を含むと右のような形状に変化して、振動して推進力を得られるロボットに変形します。


人間の胃を模した模型内に、氷のカプセルに詰め込んだIngestible Origami Robotを挿入して、実験が行われました。


胃酸を再現するために、水にレモン汁が混ぜられた胃の模型の中で氷が溶けると……


折り紙ロボットが誕生するという仕組みです。


MITによると、ボタン電池を誤って飲み込んでしまう事故はアメリカ国内だけでも年間3500件も発生しているとのこと。電池は排泄物と一緒に体外に出ることが多いものの、一部は酸と反応して内臓の内壁にめり込むように張り付いたり、体内で電池が融解して中身が漏れたりという事故の危険性があるため、誤飲したボタン電池を取り除く技術の開発が求められていました。


Ingestible Origami Robotは、内蔵するネオジム磁石で誤飲したボタン電池に吸いよせられて合体。


振動することで、胃の内壁に張り付いたボタン電池を剥がすことに成功しました。


MITのダニエル・ラス教授は、今後はIngestible Origami Robotにセンサーを搭載する予定。さらには磁場に依存せずに動きを持たせられるように改良する方針だそうです。

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in ハードウェア,   サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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