15歳の少年がマヤ文明の失われた都市をGoogleマップで発見したというのは間違いだと報じられる

By Daniel Mennerich

カナダ・ケベックで暮らす15歳の少年William Gadoury君が「マヤ文明の都市群は星座の並びに基づいている」という自らの仮説を検証し、未発見の失われたマヤ古代都市をメキシコのジャングルから発見したと報じられていました。「科学を愛する少年の熱意が実を結んだ物語」として世界中で報道されていましたが、複数の専門家が「少年の仮説は間違っている」と指摘しています。

Doubts cast on teenager's 'lost city' discovery - BBC News
http://www.bbc.com/news/blogs-trending-36276864

Did a teen discover a lost Maya city? Not exactly. - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/news/speaking-of-science/wp/2016/05/11/did-a-teen-discover-a-lost-mayan-city-not-exactly/

Experts Doubt That a Teen Found a Lost Maya City
http://gizmodo.com/experts-doubt-that-a-teen-found-a-lost-maya-city-1775985640

Forgotten Mayan city: A hidden wonder discovered by a brilliant boy researcher? Or just an old cornfield? | Americas | News | The Independent
http://www.independent.co.uk/news/world/americas/is-it-a-lost-mayan-city-is-it-a-hidden-gem-discovered-by-a-brilliant-boy-researcher-or-is-it-just-an-a7024141.html

Forgotten Mayan city: A hidden wonder discovered by a brilliant boy researcher? Or just an old cornfield? | Americas | News | The Independent
http://www.independent.co.uk/news/world/americas/is-it-a-lost-mayan-city-is-it-a-hidden-gem-discovered-by-a-brilliant-boy-researcher-or-is-it-just-an-a7024141.html

William Gadoury君はすでに発見済みの117のマヤ文明の古代都市が、「星座の位置に基づいて建てられたのでは」という仮説を立てました。仮説を検証するべくGadoury君はGoogleマップを使用して既知の都市群の位置を確かめたところ、これが星座の配置と一致していることに気付きます。

少年は星座の配置と既知のマヤ古代都市の位置を照らし合わせる中で、未発見の都市が存在することに気づき、さらなる検証のためにカナダ宇宙庁から該当地域であるメキシコのジャングルの衛星写真を提供してもらったとのこと。その結果、衛星写真には四角い人工物のようなものが写っていたことから、未発見のマヤ古代都市が発見されたという結論にいきついたわけです。

Gadoury君はこの検証結果をカナダ宇宙庁および、ニューブランズウィック大学の遠隔観測技術専門家・Armand Larocque博士に報告し、分析を依頼。双方とも「Gadoury君の発見は古代都市である」と結論を下し、Gadoury君は発見した新たな古代都市にマヤ文明の言語で「火の口」を意味する「K'aak Chi」と名付けました。またカナダ宇宙庁の科学者は、Gadoury君の功績に対して例外的に勲章を贈ったとのこと。


しかし、The Washington Postは「この発見が話題になっても我々が記事にしなかった理由があります。論文審査されていない仮説から結論を求めるのは無謀なのです」と話しています。さらに複数の専門家が、この発見に対して意見を述べています。

The Washington PostやBBC Newsは、マヤ文明研究の権威である人類学者のDavid Stuart博士によるFacebookページの内容に触れています。Stuart博士は「古代マヤ人は星座に基づいて古都を区画したわけではありません。これまで発見されたマヤの古都は数多くあり、それらをそこら中にある星座と一致させるのは、ロールシャッハ・テストのようなものです」という内容を投稿。さらに「Google Earthには確かに人工物が写っているが、恐らく使われていない穀物畑か、ミルパ(メキシコの焼き畑)でしょう」と述べています。その上でStuart博士は「少年を批判するつもりはありません。あえて言うならメディアに露出を求めた『専門家』の無責任な行為こそ責められるべきです」と説明しています。

南カリフォルニア大学の人類学者Thomas Garrison氏も同じく、「人工物は10年~15年の間使われていないミルパでしょう」とGizmodoにコメントしています。日本のブログでも「GoogleMapの画像が差し替えられているのでは」といった検証が行われています。ユカタン半島のジャングルで実績を持つスロバキアのIvan Šprajc教授は、「マヤ人は優れた天文学の知識を持っていましたが、当時のマヤの星座はほとんど識別されていません。従って、現代の星座群からマヤの都市群を探し出すことはできないでしょう」と意見を述べています。

このようにさまざまな反対意見が専門家から飛び出している中、唯一Gadoury君を擁護しているのが、当初Gadoury君の発見を認めた専門家であるArmand Larocque博士。Larocque博士いわく、初報を掲載したイギリスのオンライン新聞インデペンデント紙は、Gadoury君の研究を手伝った誰かから写真を受け取りましたが、研究結果を示す写真ではなく、「懐疑論者たちは間違った写真を分析している」と話しています。これは「焼き畑」「ミルパ」と言われている写真のことを指していると思われます。

「間違った写真」はGadoury君が分析したこともあるそうですが、「この写真から結論に至ることはできないかもしれない」と話していたとのこと。「Williamの発見は別の写真に基づいているのです」とLarocque博士はGadoury君を擁護しています。Larocque博士は「我々はマヤの道路網と解釈している構造を示す写真を持っています」と説明し、インデペンデント紙に対して新しい写真を提供しています。


インデペンデント紙は「全員が納得するベストな方法は、実際にジャングルに入って現地を確認することです」と提案しています。一方で、Gadoury君は学校の試験のためメールを自動返信にしており、一連の報道に関する確認はとれない状態。また、ジャングルの調査には恐ろしく高価な費用がかかるため、Gadoury君自身が自らの発見を証明するのは、困難が予想されます。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log