空腹の時に分泌されるホルモンが意志決定や衝動の抑制にマイナス効果を与えるという研究結果が出る

by ehpien

おなかがすいたときに分泌され食欲を増加させる「グレリン」というホルモンが、意志決定や衝動抑制に対してマイナスの効果をもたらしていることが、スウェーデン・ヨーテボリ大学の研究により明らかになりました。

Hormones that are released during hunger affect decision making - University of Gothenburg, Sweden
http://www.gu.se/english/research/news-detail//hormones-that-are-released-during-hunger-affect-decision-making.cid1371570


Hormones that are released during hunger affect decision making -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/05/160509085807.htm


「グレリン」は空腹時に胃の中で分泌されるということがわかっていますが、ヨーテボリ大学SahlgrenskaアカデミーのKarolina Skibickaさんによると、グレリンの量が増えると、脳の働きに衝動的なものが増え、合理的な決定を下す能力に対して影響が出ることがラットを使った研究で新たにわかったとのこと。ここで挙げられている「衝動」は、衝動的な行動と衝動的な選択の二つに分けることができます。

Skibickaさんらは、まずラットに対して「レバーを押すと砂糖がもらえる」「ある種の信号が出ているときにはレバーを押さないことで砂糖がもらえる」という状態を教育しました。信号というのは、ライトが光ったり、音が鳴ったりというものを指します。

そのラットたちがグレリンを与えられると、砂糖が欲しければレバーを押すなという信号が出ているにもかかわらず、レバーを押して砂糖をもらいたいという衝動に抗えなくなったとのこと。たとえば、「今すぐ1枚のクッキーがもらえる」「数分待てば複数のクッキーがもらえる」という選択肢があるときに、合理的な選択は「数分待って複数のクッキーをもらう」なのですが、グレリンの量が増えるとその合理的判断ができなくなり、衝動的に「今すぐに1枚のクッキーをもらう」という方を選んでしまうそうです。

Skibickaさんによると、グレリンの投与をやめると、こうした衝動的な行動は見られなくなりました。一方で、グレリンを自然に増加させる方法として絶食があるのですが、短期間の絶食であっても衝動的な行動は増えたとのこと。

研究によると、長期的なグレリンの増加は、意志決定や衝動と関わる脳の回路に対して遺伝変化を引き起こすものだったとのこと。衝動はADHDや強迫障害、自閉症、薬物乱用や摂食障害のような行動障害の特徴となっており、将来的にはこうした疾患の治療に向けて、脳のグレリン受容器がターゲットになり得る、とSkibickaさんは語っています。

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in サイエンス, Posted by logc_nt