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成功のカギを握るのはやり抜く力であるという「grit」理論を提唱するアンジェラ・リー・ダックワースの親子教育論


人生で成功を収めるために大切なのは知能指数(IQ)ではなく、難題に粘り強く取り組みやり抜く力であるという「grit(グリット)」理論をTEDのトークで披露して脚光を浴びたアンジェラ・リー・ダックワース氏が、自身に大きな影響を与えた父との関係や、子どもたちへのgrit教育について明らかにしています。

Is grit the true secret of success? | Life and style | The Guardian
http://www.theguardian.com/lifeandstyle/2016/may/07/is-grit-the-true-secret-of-success

ダックワース氏が提唱した「成功の鍵となるgrit」が何かについては、以下のTEDのトークを見れば一発で理解できます。

アンジェラ・リー・ダックワース 「成功のカギは、やり抜く力」 | TED Talk | TED.com
https://www.ted.com/talks/angela_lee_duckworth_the_key_to_success_grit?language=ja


ダックワース氏は、中国からアメリカに移住してきた父と母の間に生まれました。ダックワース氏の父は、彼女を含めた3人の子どもたちに対して日ごろから「天才」という言葉をよく使っていたとのこと。子どもに良い影響を与えるといわれる「褒める教育法」の観点から見れば、ダックワーク氏の父が子どもたちに「君は天才だ!」と褒めていたと思いそうですが、実態はまったく逆。父は、事あるごとに「天才じゃないなぁ」と嘆くのが口癖だったとのこと。ちなみに、父親の口癖が移ったのか、芸術家だったダックワース氏の母も「あなたはピカソじゃないわね」などと、同じように天才の名前を出して、よく苦言を呈していたそうです。


負けん気が人一倍強く、好奇心旺盛だったダックワース氏は、父に「天才じゃない」と言われてもそれをバネとして、反骨精神で何事にも取り組みました。ただ、父が自分に深い愛情を注いでくれていることを肌身に感じていたとのこと。「当時、デュポンで技術者をしていた父は、大企業で出世の階段を登る途上で、本来、自分がなりたかった人物になれなかったことに気づいたのです。自分がノーベル賞を受賞できないこと、つまり天才ではないことを憂いていたのだと思います。私たちに『天才じゃない』と嘆くとき、父は自分自身を責める気持ちを反映させていたのだと思います」とダックワース氏は述べています。

父の誠実さは、自身への教育にとって利点であったとダックワース氏は考えているとのこと。それと同時に、「正直な父の言動は、時に残酷でした。もしも、父が、『君はなんて天才なんだ!』と褒めるような人だったら、自分にどんな影響を与えていたのか分からない」と述べつつ、自分の野心を増幅してくれたと、父の影響を振り返っています。


父の深い愛情を感じながら成長したダックワース氏は、ハーバード大学を卒業後、コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、教師になり、心理学を研究することになりました。そして成功するために必要な素養として、何事にも諦めずに長期間、忍耐強くやり抜く能力が大切だというgrit理論にたどり着きました。

15歳と14歳の二人の娘を持つ母になったダックワース氏は、当然ながら娘たちとgritについてよく話をするそうです。そして、ダックワース家では「一度決めた物事は、進展があるまで辞めてはいけない」という「Hard Thingルール」という家訓を定めているとのこと。このルールは、子どもに困難を強いる酷な教育法に思えますが、ダックワース氏は「このルールは、子どもの涙が必須の"戦い"ではありません」と話しています。時には、「もういいわ!練習するつもりがないなら、辞める方がいいと思うわ」と突き放すとのこと。しかし、娘たちは、これ幸いとその場では難題を放棄するものの、日を変えてチャレンジしているそうです。

14歳の娘ルーシーは、マカロンを作るために夜11時まで小麦粉をこねるのに没頭することがあったそうで、こんなときにダックワース氏は、「信じられないわ。どれだけお菓子作りに関心があるの?」と驚きを表現するのをためらわないとのこと。ダックワース氏によると、「子どもたちがとる行動に対する驚きや、感心に対して賞賛すること」こそ最も良いことだと考えており、「○○について才能があるのね!」と伝えることを忘れないそうです。


「才能のなさ」を伝えるという、けなして伸ばす父と反対に、褒めて伸ばすダックワース氏ですが、3年前にいわゆる「天才に対する助成制度」として知られるMacArthur fellowshipを獲得。ついに、父に「天才」であることを証明することになったとのこと。方法論こそ違いますが、ダックワース氏とダックワース氏の父の教育法は、「愛情を注ぐことが大前提」という共通点がありそうです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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