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「私がBitcoin発明者」と告白した起業家が誹謗中傷を受けブログで謝罪、説明は一切しない方針に転換


2016年5月2日に自らがビットコイン生みの親「サトシ・ナカモト」であると認めたオーストラリア人のクレイグ・ライト氏が、自身のサイトで「I'm Sorry」と記したエントリを公開し、今後は一切の説明を行わない姿勢を示しました。ライト氏の告白については懐疑的な見方も出ていた中での本人による説明中止によって、明らかにされるかに見えた事態の真相は再び闇の中に潜ってしまうかもしれません。

'Bitcoin creator' Craig Wright won't be publishing any more proof that he is Satoshi Nakamoto | VentureBeat | Commerce | by Paul Sawers
http://venturebeat.com/2016/05/05/bitcoin-creator-craig-wright-wont-be-publishing-any-more-proof-that-he-is-satoshi-nakamoto/

ライト氏が行った告白に対しては多くの疑問の声が寄せられていたのですが、ライト氏はこれに対して「反論の余地のない説明を行う」と態度を示していました。しかし一転、自身のブログで以下のエントリを公開して今後は一切の説明を行えないこと、そしてライト氏の告白を正当なものという考えを表明していたジョン・マトニス氏およびギャビン・アンダーセン氏に対して謝罪する姿勢を明らかにしています。

Dr. Craig Wright
http://www.drcraigwright.net/

I'm Sorry
私は自分にはそれができると考えていました。何年もの間、名前を伏せ、隠れてきたことから決別できると考えていました。しかし、今週の出来事が起こり、最も初期の段階で使われていた「鍵」へのアクセスを証明する内容を公開する準備を進めていたときに、私は敗れました。私にはその勇気はありません。無理です。

噂が広まり始めた頃から、私の能力や人格は攻撃にさらされてきました。根拠のない攻撃が次から次へと浴びせられました。そして私はそれに対処するほどの強さを持っていないことを知らされました。


私のこの弱さは、私を支えてきてくれた人、特にジョン・マトニス氏やギャビン・アンダーセン氏にも大きな悪影響を与えることになると思っています。私にできることはただ、彼らの名誉と信用が私の行動によって取り返しがつかないまでに傷つけられないことを望むばかりです。彼らはだまされたわけではありません。しかし、世界の人はそれを信じることはないでしょう。私には、I'm sorryと言うことしかできません。

そしてさようなら。

ことの発端は、2009年から長年にわたって謎とされてきたBitcoinの生みの親「サトシ・ナカモト」について、ライト氏が「自分がサトシ・ナカモトである」と告白したことで、この件は2016年5月2日のBBC、エコノミスト誌、GQ誌で報じられて大騒ぎになっていました。

また、いまは見ることができないようになっていますが、ライト氏自身のブログでもその内容が詳細に説明されていました。

謎に包まれたビットコイン生みの親「サトシ・ナカモト」の正体がついに判明か、オーストラリア人男性が自身をBitcoin発明者と認める - GIGAZINE


しかしその直後から、ライト氏の告白内容に疑問の声が挙がり始めます。特に、Bitcoinが誕生した当初はコミュニティに対して活発に書き込みを行ってきた「サトシ・ナカモト」が、なぜコミュニティを無視してBBCなどで公表することにしたのか、そしてライト氏がBBCに対する実演の中で使ったとされるPGP(公開鍵)が実は本物ではないのではないか、などの疑問がネットで取り沙汰される事態となっていました。

EDIT 2: Debunked! The signature in Wright's post is just pulled straight from a... | Hacker News


これに対し、 ビットコイン財団のジョン・マトニス事務局長は「他にサトシはいない」と、ライト氏の発言が本当であるとするツイートを行っています。

There won't be an on-chain signing from early bitcoin blocks, but there also won't be another Satoshi.

— Jon Matonis (@jonmatonis)

また、同財団の技術主任を務めるギャビン・アンダーセン氏も「私はクレイグ・スティーブン・ライト氏がBitcoinを発明した人物だと考えています」とするブログを公開しています。

Satoshi


それでもなおライト氏の告白に疑問を唱える声は挙がり続けており、エンジニアでBitcoinデベロッパーでもあるニック・カブリロヴィック氏はライト氏の発言を賛否両論から検証し、結論として「ライト氏はサトシ・ナカモトではない。これまでもサトシであったことはないし、2015年後半に噂があがったあとも、BBCなどに対して告白したあとにも、サトシだったことはない」と、ライト氏の告白が真実ではないとする論を展開しています。

Craig Wright is not Satoshi Nakamoto – New Web Order


このような状況の中、ライト氏がサイトで「I'm Sorry」と記して身を隠したというのが現在までの流れです。今回のライト氏の行動により、「告白事件」の真相解明は難しくなった状況といえそう。そもそも、ライト氏はなぜ告白するに至ったのか、その背景には何があるのかなど、「サトシ・ナカモト」をめぐる状況は謎が謎を呼ぶ状態に突入しています。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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