カラスとチンパンジーの判断力は同等、動物の知能に脳の大きさは関係ないことが判明

by Nikita

「脳の大きい動物ほど知能が高い」という考え方が生物学者の間での通説でしたが、最新の研究により、霊長類よりも脳の小さいカラスが、自己制御性を試す実験において霊長類と同等の知能を持っていることが明らかになっています。

Ravens, New Caledonian crows and jackdaws parallel great apes in motor self-regulation despite smaller brains | Open Science
http://rsos.royalsocietypublishing.org/content/3/4/160104

When it comes to brains, size doesn’t matter | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/04/when-it-comes-to-brains-size-doesnt-matter/

カラスやワタリガラスなどのカラス科の鳥は、霊長類と同じように社会的なグループを作ったり、道具を使用したり、パズルを解いたり、顔を認識したり、猫にイタズラをしかけたりといった知能を持ち、「羽の生えた類人猿」と呼ばれるほど賢い動物です。しかし、「動物の脳の大きさが動物の知能と関連していて、脳の大きい動物ほど知能が高い」という説が長らく信じられてきました。類人猿と鳥類の自己制御性に関する過去の研究では、「類人猿は鳥よりも脳が大きいため、類人猿の方が知能が高い」と結論づけています。

by Eliya

そこで、最新の研究では、鳥類をひとくくりにせず、鳥類の中で最も知能が高いとされているカラス科の鳥に着目。カラス科の鳥の知能を測るため、「シリンダー・タスク」と呼ばれる自己制御性を測定するテストを行いました。シリンダー・タスクは、ヒトを含むさまざまな動物の知能を測るために使われているテストで、思考力の高さを評価するものです。シリンダー・タスクでは、まず不透明の円筒の一端にドアを設けたものを用意し、研究者が円筒に食べ物を入れるところを動物に見せて、ドアを開けると食べ物がゲットできることを教えます。動物がこの円筒に慣れたところで、円筒を透明のものに入れ替えます。この時に動物は、「透明の円筒をたたいて食べ物を取ろうとする」か、「円筒のドアを開けて食べ物を取り出す」かどちらかの行動を選択する判断力が必要です。

動物研究者のWilliam Roberts氏によれば、自己制御性のない動物は、このように将来的な視野が必要とされる状況で決定を下すことができず、目の前の食べ物に釘付けになってしまうとのこと。一方で自己制御性のある動物は、状況を判断して、円筒の端へ回り込んで食べ物を取り出すことができるそうです。

研究者が、ワタリガラス、コクマルガラス、ニューカレドニアガラスの3種類の鳥にシリンダー・タスクを課したところ、すべてのカラスが目先の食べ物にとらわれることなく、ドアを開けて食べ物を取り出すことに成功。この実験結果から、カラス科の鳥はチンパンジーと同レベルの高い自己制御性を持つことが明らかになりました。

by Andrew Reding

また、ワタリガラスの脳はチンパンジーの脳の26分の1のサイズにもかかわらず、ワタリガラスとチンパンジーのシリンダー・タスクの点数が全く同じだったとのこと。さらには、ワタリガラスよりも脳が70倍大きいボノボや、94倍大きいゴリラと比べて、ワタリガラスの方が点数が高かったそうです。つまり、脳の大きさは知能の指標にはならないことが証明されたというわけです。ただし、ワタリガラスはカラス科の鳥類の中では脳が最も大きいため、同属の動物の知能レベルには、脳の大きさが関係するかもしれないとのこと。他の動物に比べてヒトや類人猿の知能が高い理由としては、脳が大きいからではなく、脳神経の複雑性や、神経細胞間の結合の数が挙げられるとのことです。

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in 生き物, Posted by darkhorse_log