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人工知能は教育を修正できるのか?ビル・ゲイツに聞いてみた

by Lucélia Ribeiro

テクノロジーの発達によって学生たちのコミュニケーション方法や生活のあり方は大きく変化しましたが、いまだに学校では「教師が30人の生徒に向かって一様に話す」という教育法がとられています。ビル・ゲイツ氏はオンライン授業が教育に革命的変化をもたらす可能性を示唆しており、ビル&メリンダ・ゲイツ財団はパーソナル・ラーニング(個人学習)と呼ばれる分野に2億4000万ドル(約270億円)以上を投資しました。個人学習について、「今は初期のステージで、今後5~10年で個人学習が浸透していくかについては現時点ではわかりません」と語るゲイツ氏ですが、今後、どのように教育が変化していく可能性があるのか、そして人工知能が教育分野にどう関わってくるのかについて、IT系ニュースサイトThe Vergeのインタビューに答えています。

Can AI fix education? We asked Bill Gates | The Verge
http://www.theverge.com/2016/4/25/11492102/bill-gates-interview-education-software-artificial-intelligence

インタビュアー:
個人学習に取り組む学校では生徒たちに何を行っているのでしょうか?また、生徒たちにどのようなチャンスが生まれるのでしょうか?

ビル・ゲイツ(以下ゲイツ):
個人学習に厳密な定義はありません。ただ一般的に、人が学ぶ速さには個人差があります。もしクラスの中に理解に秀でている子どもがいれば、彼らは退屈してしまうので問題です。逆に授業に遅れている子どもは「これは得意じゃないな」という気持ちを持ってしまいます。特に数学においてはその傾向があり、教師の言っていることが分からないとその分野をギブアップしてしまい、二度と戻ることはありません。

by Thomas Favre-Bulle

インタビュアー:
あなたは学習の遅れた生徒に対して行うリメディアル教育コミュニティ・カレッジで行うという取り組みに着目していますよね。リメディアル教育で個人学習を取り入れた機関は最終的に修了率が倍になるとあなたは話しています。これはなぜなのでしょうか?

ゲイツ:
大学と高校の間には大きな境界線があります。大学に入るには数学が何点で、国語が何点、という一定のスコアが必要ですが、スコアが足りない子どもたちは補習であるリメディアル教育を受けることになります。既存のリメディアル教育は科目ごとに二進法的に、「OK、あなたは必要ない」「あなたは受けるべき」と生徒たちに振り当てられますが、例えば数学で言うと、同じ分野でも学んでいることの内容によって得意・不得意が出てくるものです。個人学習なら細かな分野ごとにクリアしていけるので、リメディアル教育で1年を費やすことなく、分からない部分だけ再学習して通常のクラスに戻ることができます。また個人学習では学んでいることについて、学習者が常に「自分はどのレベルにいるのか」を認識できるので、残りのタスクは何か、どのくらいのレベルに到達すればいいのかがわかります。

教室の中を見渡すと、あるトピックについて秀でている生徒が、別のトピックで苦労しているのを見かけます。1人の教師が30人に教える教室では、多くの「退屈」が存在するのは明白です。

インタビュアー:
学校や教師たちに個人学習を取り入れてもらうには、どうすればいいと思いますか?この分野が成熟するまでの間に、何が障害になると思いますか?

ゲイツ:
最も大きな障壁は、家で学校の外でデジタルデバイスを使う子どもと、そうでない子どもで差が生まれてしまうということでした。しかし、今ではPCやタブレットが普及し、スマートフォンの画面で個人学習を行うことも可能です。アクティビティを小さな画面で行うのか、それとも大きな画面で行った方がいいのかはアクティビティの種類にもよりますが、ともかく近年ではアメリカの子どもの多くはスマートフォンを持っているので、最も大きな障壁はなくなったと言えます。

by Intel Free Press

インタビュアー:
個人学習では教師の役割が従来のものとは変化するという印象を持ちました。教師からの反発もあると思いますが、どのように彼らを説得しますか?

ゲイツ:
家で数学の宿題を作ったり、テストの採点をしたりという面倒な仕事は減りますが、「生徒個人の学習を助ける」という教師の本分は変わらないので、求められるスキルに大きな変化はないと私は考えています。おそらく、新しい教育方法を受け入れられない世代もいると思いますが、若い教師たちは間違いなく参加するでしょう。幼稚園から高等学校までの「K-12」の教師たちにとって、個人学習によってなくなる仕事内容は重要視している仕事ではないはずです。

高等教育になると、さらに変化は劇的です。授業はオンラインのムービーで済ませられる可能性もあります。教育機関が実際にそうすべきかどうかは分かりませんが、ある意味これは脅威です。多くのことを切り捨てる大きな変化ですが、学校の多くは現在、費用的に圧迫されていることを考えると可能性としてはあります。そして企業が提供する講義の中には、平均的な授業よりも高品質なものも存在します。

インタビュアー:
Microsoftがボットの開発に力を入れるなど、テクノロジーの世界ではここ最近、人工知能に強い関心が寄せられています。教育における人工知能の役割は何だと思いますか?

ゲイツ:
それは、ものを書くことです。バカにする人もいますが、人が書く文章に対してフィードバックを送れるようにする人工知能の取り組みは現存し、私は今後数年で可能になると考えています。文章を見て書き手が成長するようなフィードバックを送るには精読が必要で、機械的であってはいけません。そのため、教育分野における人工知能がたどり着くべき頂点の1つは「対話全体の豊かさ」を実現した家庭教師なわけです。

私は新しいテーマについて議論するのが好きですが、もし私がおかしなことを言ったら誰かがメールで教えてくれるので、私は考えを正すことが可能です。でも、物事が自分が考えているよりも複雑だったり、何かを見逃していたにもかかわらず、考えを正してくれる誰かが存在しなかったら?バーチャルな家庭教師と話すことによって、誤解や恣意的な考えを認識したり、正しい言葉の使い方を学んだりすることができます。今後数十年で実現するであろうこの技術は我々の助けになるはずです。現在でも数学などの分野において有料で家庭教師を付けることはかのうですが、重要なのは、これらが無料になるであろうということにあります。

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