ジカ熱が小頭症の原因とCDCが結論、脳細胞の4割が成長しなくなり日本での流行確率は17%とも


アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は2016年4月13日、中南米を中心に先天的に頭部が小さい小頭症の赤ちゃんが生まれるケースが多発している件に関し、妊娠中にジカ熱に感染することが原因であると結論づけました。

CDC Concludes Zika Causes Microcephaly and Other Birth Defects | CDC Online Newsroom | CDC
http://www.cdc.gov/media/releases/2016/s0413-zika-microcephaly.html

妊娠中のジカ熱感染と小頭症は関連 米CDCが結論 | NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160414/k10010478201000.html

発表によると、CDCはこれまでに発表されたさまざまな論文や現地からの報告などを注意深く分析した結果、ジカウィルスが小頭症や脳の重大な障害の原因になっていると結論づけています。CDCのトム・フリーデン所長は「この研究結果は、ジカ熱の大流行におけるターニングポイントになります。ジカウィルスは小頭症を引き起こすことが明らかになりました。我々はまた、小頭症が多発していることが、さらなる大きな問題の氷山の一角であるかどうかについての新たな研究を開始しています」と声明を発表しており、妊娠中の女性とそのパートナーはジカ熱の感染を避けるために対処することと、ジカ熱の治療にあたっている医療関係者との接触を避けるように助言しています。

フリーデン所長はTwitterでも「さらに多くの答えが必要ですが、我々はジカ熱が脳の重大な障害の原因であると結論づける十分な証拠を手に入れました」という内容でツイートしています。

ジカウイルスと脳の障害との関係については、「サイエンス」でも論文が発表されています。

Zika virus impairs growth in human neurospheres and brain organoids | Science
http://science.sciencemag.org/content/early/2016/04/11/science.aaf6116

これまでにも、ジカ熱を引き起こすジカウイルスは脳細胞の成長に大きな悪影響を与えることが指摘されていました。ある研究の結果では、ジカウイルスによって脳細胞が死滅するほか、細胞の成長が40%も抑えられることが判明しています。

ジカウイルスで脳細胞死滅…小頭症との関連探る : 科学・IT : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/science/20160411-OYT1T50126.html

研究チームは、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から神経のもとになる細胞(神経幹細胞)を作り、ジカウイルスに感染させた。すると、通常は増殖して塊状に成長する細胞の大半が死滅した。塊状に成長した後の細胞に感染させても、通常の約6割にしか増えなかったという。

中南米や北米を中心に関心を集めているジカ熱ですが、日本にとっても「対岸の火事」というわけではありません。北海道大学の予測では、2016年末までに日本でもジカ熱が流行する可能性は16.6%であるとされています。

日本でジカ熱が流行する確率は約17%! 北海道大学が予測統計モデル開発 - MdN Design Interactive - デザインとグラフィックの総合情報サイト
http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/44790/


なお、赤ちゃんの成長に重大な影響を与えるため、CDCは2016年3月に、感染が疑われる場合は子づくりのための性交渉を女性は8週間、男性は半年控えるべきだとする対策指針を発表していました。

【ジカ熱】子づくりの性交渉「女性は8週、男性半年控えて」 米が指針 小頭症リスク回避  - 産経ニュース
http://www.sankei.com/world/news/160326/wor1603260015-n1.html

米疾病対策センター(CDC)は25日、妊娠中にジカ熱に感染することで小頭症の赤ちゃんが生まれるリスクを避けるため、感染が確認されるか、感染によるとみられる症状があった場合、女性は発症から少なくとも8週間、男性は6カ月間、子づくりのための性交渉を控えるべきだとする対策指針を発表した。

ジカ熱はブラジルで大流行したことで広く知られるようになりましたが、その起源は南太平洋のフランス領ポリネシアとも見られています。海によって数千キロ隔てられたブラジルで流行することになったきっかけは、2013年に開催されたテニスのコンフェデレーションズカップの際に多くの人が移動したためであるとする見方も発表されていました。

ジカ熱=ブラジル侵入は13年か=コンフェデ杯が発端の可能性 – ブラジル知るならニッケイ新聞WEB
http://www.nikkeyshimbun.jp/2016/160330-02topics.html

ブラジル国内のジカ熱患者から検出されたウイルスがフランス領ポリネシアで流行したジカ熱ウイルスと類似している事は既に確認済みだが、最初の感染は13年に起きたと考えた場合、タヒチからのチームも参加し、同地域からの旅行客も増えたコンフェデレーション杯の時期に最初の感染が起きたと考えるのが最も妥当だ。

そしてブラジルはなんと言っても2016年リオ五輪の開催地。多くの人が押し寄せるオリンピックですが、ジカ熱への感染を恐れて大会への不参加の意向を示す選手も出てきています。

ビジェイ・シン リオ五輪不参加の意向「ジカ熱に感染したくない」 ― スポニチ Sponichi Annex ゴルフ
http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2016/04/13/kiji/K20160413012396500.html

五輪よりもツアーで自身のゴルフを取り戻したいという気持ちもあるだろうが、「あとはジカ熱の問題もあるだろ。感染したらバカらしいよ」とも話しており、実際のところ、こちらの方が五輪不参加の本当の理由かもしれない。


なお、ジカ熱への感染により、小頭症が発症するリスクは50倍に達し、早産や失明を引き起こすこともあるので、今後赤ちゃんを考えている人は要注意。

ジカ熱で小頭症リスク50倍 仏チーム、過去の流行分析 - 西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/medical/article/232036

妊娠3カ月までにジカ熱に感染した場合、頭部が小さい小頭症の子どもが生まれるリスクが通常の50倍に高まるとする推計結果を、フランスのパスツール研究所のチームが英医学誌ランセットに17日までに発表した。

ジカ熱、早産・失明も 米疾病対策センターが警鐘  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM12H10_S6A410C1EAF000/

米疾病対策センター(CDC)のアン・シュチャット副所長は11日、中南米で流行するジカ熱について「当初考えていたよりも、やや恐ろしいウイルスのようだ」と警戒を呼びかけた。

 ジカ熱に妊婦が感染すると、新生児の小頭症だけでなく、早産や失明などの恐れがあるという。8月にリオデジャネイロ五輪が開かれるブラジルなどでもジカ熱は広がっており、対策を急ぐ。

先述のように日本でも流行リスクはあると見られるため、何らかの対策を検討する段階かも。そんなことを考えている人が増えているためか、虫除けスプレーの「フマキラー」が増産されていることも報じられています。

ジカ熱予防で需要拡大-フマキラー、虫よけ製品5割増産 | 商社・流通・サービス ニュース | 日刊工業新聞 電子版
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00381774

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