「遺跡の落書き」と「SNSの投稿」における共通点と相違点とは?

By Eddie Lawrance

紀元79年にヴェスビオ火山の大噴火によって埋没したポンペイは18世紀半ばになって初めて発掘されました。発掘された遺跡からはたくさんの壁画が発見され、特に男女の交わりを描いた壁画が多く出土した娼婦の館などが有名で、壁画は当時のポンペイにおける人々の暮らしをうかがい知ることができる貴重な発見になったのですが、それと同じくらい貴重なのがポンペイの壁に書き込まれた落書きです。落書きの内容からは、ポンペイの壁が現代で言うところのSNSのような役割を果たしていたことがわかります。

The Graffiti at Pompeii - The Atlantic
http://www.theatlantic.com/technology/archive/2016/03/adrienne-was-here/475719

発見された中で最も古い落書きは紀元78年10月3日に書かれた「ガイウスがここにいた」というメッセージで、ある人物がその場所にいたことを示す内容になっていました。他にも、愛のメッセージや、他人の悪口、お悔やみの言葉、商売のやり取りといった一般市民が交換していたと思われる落書きや、政治のPRやグラディエーターの大会の宣伝など、公共のイベントの告知も見つかっています。


ワシントン・アンド・リー大学の古典学者のレベッカ・ベネフィエル博士は「ポンペイの落書きは、かつてポンペイで暮らしていた人たちの生の声であり、街に命を再び吹き込むようなものです。だから、ポンペイの落書きは特に貴重であり興味深いんです」と落書きの重要性を語っています。

「アパフラスはハゲだ」「クロイドンはピエロ野郎だ」など、悪口一つをとっても好奇心をくすぐられるのですが、自分の体験や思いを壁に書き、それに誰かが返事をするという行動は、現代人がFacebookのウォールやTwitterといったSNSにメッセージを投稿する行為と非常に似通った点があります。ベネフィエル博士は、確かにポンペイの落書きと現代のSNSには「誰でも目にする場所に思いや出来事を書き記す」という共通点があるものの、「ポンペイの落書きはインターネットの落書きよりも素敵だと感じますね」と話しています。


ベネフィエル博士がSNSよりもポンペイの落書きに好印象を抱いたのには、それなりの理由があるとThe Atlanticは推測。SNSに書き込むのは「他の人に見てもらいたい」という気持ちが少なからず隠されているもので、「クラウディウスがここにいました」というメッセージだけでなく「今日、ポンペイの広場でクラウディウスに遭遇!めっちゃ男前だった!」くらい文章を装飾するのがSNSでは当たり前。これがベネフィエル博士が古代と現代の落書きから異なる印象を抱いた理由ではないかというわけです。

ポンペイの落書きは限られた時間と空間の中で生きた人々の考えを記録しているものであり、書物と同じように長年保存されるべきなのですが、ポンペイの全ての落書きはインターネット上にデジタルアーカイブとして保存されていません。ポンペイの落書きのデジタル化を続けているのが、先に出てきたベネフィエル博士であり、途方もないくらい多い落書きをデジタル化して、世界中の誰でも見られるようにプロジェクトを進めています。

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