野菜の糖を食べるバクテリアでわかった「良い」バクテリアが腸内健康を促進するメカニズム

By Daniel Go

葉物野菜に含まれる糖分を栄養分とする腸内のバクテリアが、悪玉菌を制限して腸内の健康を整えているメカニズムがオーストラリアとイギリスの共同研究で解明されました。

Sweet discovery in leafy greens holds key to gut health
http://phys.org/news/2016-02-sweet-discovery-leafy-greens-key.html


ヨーク大学・イライザ・ホール研究所・Bio21研究所の共同研究チームがNature Chemical Biology誌で発表した研究結果によると、人間の腸内にいる大腸菌のような「良い」バクテリアは、葉物野菜に含まれる糖分を栄養分としており、葉物野菜を食べることで腸内の悪玉菌の増殖を抑制し、繁殖を予防する防護壁を作り出していることが判明しました。

研究チームは腸内のバクテリアが野菜の糖分を抽出する仕組みを明らかにすることに成功しており、バクテリアは「YihQ」と呼ばれる硫黄を含む砂糖分子を吸収して新陳代謝させる酵素を使っているとのこと。ほうれん草のような葉物野菜には「SQ糖」と呼ばれる硫黄を含む砂糖分子が多く含まれており、鉄鉱石の世界年間生産量に匹敵する分量のSQ糖が葉物野菜から生産されています。

硫黄はたんぱく質の構築に不可欠な物質であり、葉物野菜を摂取することで地中の硫黄が体内で消化吸収されて体外へ排出されるという「硫黄の循環」がバクテリアの作用で行われています。地球上の硫黄がどのようにして生物に循環処理されているかは、50年間にわたってミステリーとされており、今回の実験で初めて循環メカニズムが判明したとのこと。この循環作用により腸内の良いバクテリアが活発化し、腸内の悪玉菌の繁殖を抑える効果も期待できると、研究チームは説明しています。

By Day Donaldson

また、新たに腸内バクテリアのメカニズムが解明されたことで、既存の抗生物質に耐性を持つ病原体に有効な新型抗生物質の開発にも役立つ可能性があるとのことです。

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