Appleのティム・クックCEOが社員宛にFBIとの暗号解除問題に関するメールを送信&Apple利用者向けのQ&A公開


iPhoneのバックドアを巡ってFBIとのせめぎ合いの様相を見せるAppleですが、この件に関してCEOのティム・クック氏が従業員に宛ててメールを送っていたことが明らかになり、その全文が公開されています。

Apple CEO Calls On Feds To Drop iPhone Unlock Order - BuzzFeed News
http://www.buzzfeed.com/johnpaczkowski/apple-ceo-calls-on-feds-to-drop-iphone-unlock-order#.tj9DX4oBK

Read Tim Cook's email to Apple employees about its fight against the FBI | The Verge
http://www.theverge.com/2016/2/22/11092028/apple-tim-cook-fbi-encryption-internal-memo

この一件は、14人の市民が銃殺されたサンバーナーディーノ銃乱射事件を受け、FBI(連邦捜査局)がAppleに対して容疑者が所持していたiPhoneのロック解除を可能にするバックドアの作成を依頼し、これをAppleが拒絶したことから起こったもの。要請を拒絶したAppleに対してFBIは「宣伝行為だ」と反論したことからAppleはFBIが勝手にパスワードを変更したからだとFBIの不手際を暴露し、事態はFBIとApple、そして実際に捜査を行ったサンバーナディーノ郡が言い合いを始めるという混沌とした状況を呈しています。

FBIが勝手にテロ容疑者のiPhoneのパスワードを変更、データが読み取れなくなった恐れ - GIGAZINE


◆メールの中身
この一件に関し、クックCEOが従業員に宛ててメールを送っていたことが海外メディアで報じられています。メールの中でクックCEOは、まずAppleがFBIからの要請を拒絶したことを発表して以来多くの意見や議論が交わされていることに感謝していること、そしてテロ行為は容認できるものではなく、犠牲者の正義のために政府機関の捜査に協力してきたことに言及。


その上で、政府からのバックドア作成の要請について「この問題は1台の携帯端末や、1件の捜査だけに関するものを越えたものであるため、政府からの命令を受けたときに、これを公表することにしました。法を守っている何百万人という人のデータセキュリティが危機に瀕しており、全ての人の人権が脅かされる危険な前例を作ろうとするものです」という認識を改めて明らかにしています。

そして、この一件が起こって以来、全米から何千通というメッセージを受け取っており、その大部分がAppleの行動を支持する内容であったと例を挙げながら公表。それでも多くの人が疑問を持っていたり、よく状況を把握できていない人たちに説明すべく、特設ページAnswers to your questions about Apple and security(Appleとセキュリティに関しての質問への回答)を公開して、Appleの姿勢を表明していることを伝えています。

次にクックCEOは「Appleは比類なきアメリカの企業です。政府が守ろうとしている自由への取り組みに対し、政府と反対の立場に立つことは正しいことであるとは感じません」と基本的には政府の方針に対抗するものではないとする姿勢を明らかにしつつ、「私たちの国はこれまでずっと、団結したときに最も強い力を持ってきました。最も前向きな方法は、政府は連邦議会議員の中からもあったように、(1789年の)全令状法(All Writs Act)を根拠とした要求を取り下げ、法の執行、国家の安全、プライバシー、個人の自由について議論するための諜報、技術、人権に関する委員会または識者会を結成すべきであると考えます。Appleはこれらの試みに喜んで加わるつもりです」と記して政府による要求が取り下げられるべきだと表明しています。

外から見ていると、FBIのプライドやメンツ、それに対するAppleの抵抗といったものがあぶり出されてくるこの一件ですが、両者ともに一歩も譲らない姿勢を前面に打ち出している状況。いったいどこが落としどころになるのか、事態の展開が気になるところです。

なお、このAppleの姿勢に対し、アメリカのピュー研究所が実施した調査では、半数をわずかに超える人が「Appleは容疑者のiPhoneをロックを解除すべき」という結果が出ています。

More Support for Justice Department Than for Apple in Dispute Over Unlocking iPhone | Pew Research Center


調査結果では、51%が容疑者のiPhoneをアンロックしてFBIに協力すべきと回答し、「iPhoneを解除すべきではない」と回答したのは38%、そして11%が「よくわからない」と回答していたことが明らかにされています。

この結果は、「容疑者のiPhoneを解除すべきか否か」という調査であり、「Appleはバックドアを作るべきか」という観点とは少し違うところには注意が必要ですが、市井の声とAppleの考え、そして法執行機関の思惑など、複雑に絡む事態の行く末がやはり気になるところです。

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