天気で牛乳の品質を予測可能であることが判明

By Benjamin Horn

冬になると牛乳が濃くなるように、食べ物の品質は季節や天候に大きく左右されるものですが、ニューハンプシャー大学の研究は新たに授乳に関するデータと天候から乳の品質を予測できることを明らかにしています。

UNH News: UNH Research: Lactation, Weather Found to Predict Milk Quality in Dairy Cows
http://www.unh.edu/news/releases/2016/02/lw15milk.cfm


分娩後に数日間出ると言われる初乳は、生まれたての子牛が母親からもらう栄養豊富な乳です。そんな初乳の質は、雌牛の授乳成績と天候から予測可能であることが、ニューハンプシャー大学・農場実験場の研究により判明しました。この研究によると、多くの授乳をしてきた雌牛であればあるほど、初乳の質が高くなるそうです。

初乳は濃縮された栄養源であり、脂肪・たんぱく質・血中に含まれる抗体の中で特に大きな役割を担う「免疫グロブリン(Ig)」の一種であるIgG・炭水化物・ビタミン・ミネラルなどを多く含んでいます。これは、子牛がサポートなしでも健康に育つのかどうかを測る重要な指標になります。従来の研究では、初乳の質が子牛にとって十分なレベルに達していない場合、その子牛の成長率を妨げる要因となり、疾病や死のリスクが高まり、乳の生産量が他よりも減少する、ということが明らかになっていました。

しかし、今回の研究結果から今後は初乳の質を予測することが可能になるので、酪農業者はどの子牛が栄養不足気味かを「生まれる前から」ある程度予測できるようになり、現在よりも効率の良い飼育が可能になるかもしれないというわけです。

By Global Panorama

2016年現在、酪農業者は乳の中の抗体レベルを測定する「コロストロメーター」と、屈折計を使用して初乳の質を測定しています。既存の方法でも効果的にIgG濃度を推定可能ですが、多くの酪農業者はこれらのツールを入手できない状況もしくはテストのための時間をとることができていない状況とのこと。アメリカ合衆国農務省によると、アメリカの酪農場のうちコロストロメーターを使用して初乳測定を行っているのは全体のわずか5.7%だそうです。

さらに、研究では最も栄養のない初乳は冬に生産されることも発見しています。これについて研究者は「温度が高いと雌牛の血管が膨張するため、IgGがより多く血管を通って初乳に供給されます。対して、寒い冬には血管が収縮して初乳の質が落ちてしまう」としています。同研究に参加した研究者のひとりは「研究結果から、環境温度や日の長さが初乳の質に影響を及ぼすことは明白です」とコメントしています。

By Peter O'Connor aka anemoneprojectors

なお、ニューハンプシャーには約130の酪農場が存在し、農場1つ当たり平均115頭の搾乳動物が飼育されているそうです。Granite State Dairy Promotionの推定によると、ニューハンプシャーの酪農業者が地域経済に与える影響は1億4100万ドル(約1600億円)以上で、3700を超える勤め口と1900万ドル(約22億円)以上の労働所得を生み出しているとのこと。そんなニューハンプシャーの酪農場が研究に協力しており、莫大な数のデータから今回の研究結果が導き出されることとなったわけです。

同研究の詳細は学術誌Journal of Dairy Scienceで公表予定です。

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in サイエンス,  生き物, Posted by logu_ii