サイエンス

ランニングでがん細胞の増殖を抑制できるかもしれない

By Raúl González

がん細胞の増殖を抑えることで知られる免疫細胞が「ナチュラルキラー細胞」ですが、ランニングなどの運動により、ナチュラルキラー細胞が活発化し、がん細胞などの腫瘍の増殖を抑制できる可能性が、マウスによる実験で示されました。

Voluntary Running Suppresses Tumor Growth through Epinephrine- and IL-6-Dependent NK Cell Mobilization and Redistribution: Cell Metabolism
http://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(16)30003-1


Exercise slows growth of cancer in marathon mice | New Scientist
https://www.newscientist.com/article/2077763-exercise-slows-growth-of-cancer-in-marathon-mice/

コペンハーゲン大学はマウスを回し車で走らせ、がん細胞を攻撃する免疫系統に運動が与える影響を調査しました。その結果、毎晩4km~7km走ったマウスの免疫系統が活発化し、新しい腫瘍の増殖を予防したほか、既存の腫瘍の成長を最大で60%抑制できることがわかったとのこと。コペンハーゲン大学のPernille Hojman氏は「運動が腫瘍の成長率を直接的にコントロールできることを初めて示すことができました」と話しています。

By Debs (ò‿ó)♪

研究チームは皮膚・肺・肝臓など5種類のがんを患ったマウスを使って運動との関連性を実験しました。運動によりアドレナリンが放出されることで、血流でがん細胞と戦うナチュラルキラー細胞を送り出す免疫系が刺激されるため、腫瘍の増殖を抑えることができるとのこと。また、運動中の筋肉からインターロイキン-6(IL-6)という物質が放出されており、ナチュラルキラー細胞に腫瘍を攻撃させる指示を出していることがわかっています。

By Polygon Medical Animation

これまで運動でナチュラルキラー細胞が活性化することは指摘されていましたが、運動により放出されるストレスホルモンが、がん細胞を攻撃する指示を出していることが初めて示されたことになります。人間に対して同じ効果があるかはまだ研究されていませんが、運動が閉経後の結腸直腸がんや乳がんを予防できるという研究結果もあることから、Hojman氏の研究チームは、がん患者の運動パターンを調べ、今回のマウスと同様の影響があるかどうかを調査していくとのことです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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