台湾で見つけた少年マンガ雑誌「宝島少年」「新少年快報」「龍少年」


「このマンガがすごい!」と、日本以外のマンガに興味を引かれるとは思ってもいませんでした。アメコミも知っていますが、劇画のような絵柄はとっつきにくく……。だからこそ、日本にも近い台湾のマンガは新鮮でした。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。チャンスがあれば世界各地でマンガを買ってきたのですが、台湾のマンガ文化は世界とは一味も二味も違っていました。ちょっと気になったので、台湾の少年マンガ誌を購入してきました。

◆宝島少年
1992年9月19日創刊された「宝島少年」という雑誌が、「週刊少年ジャンプ」の公式な台湾版です。日本だと255円ですが、台湾だと定価85元(約310円)で販売されています。


どんな作品が連載されているのかというと……

現在、ジャンプの看板マンガである「ワンピース」こと「航海王」は巻頭カラー。台湾版のルフィは海賊王ではなく「航海王に俺はなる!」と言っているのでしょうか。


個性という特殊能力を持ったヒーローたちが活躍する世界を描いた「僕のヒーローアカデミア」は「我的英雄學院」という題名でした。「努力」「友情」「勝利」と、ジャンプの王道をいく大人気の作品です。


バレーボールを題材にしたスポーツマンガの「ハイキュー!!」 は「排球少年!!」と、そのままの漢字が当てられていました。


「ブラッククローバー」こと「黑色五葉草」はセンターカラーでした。台湾版では、日本版から1話遅れた話が載っています。ジャンプでは珍しい魔法を題材とした作品ですが、打ち切りの波に飲み込まれることなく連載が続いています。


グルメと格闘という異色の組み合わせがヒットした「トリコ」は「美食獵人TORIKO」という題名になっていました。獵人は中国語で「ハンター」という意味です。


そして、巻末には少女マンガの「花より男子」こと「流星花園」が連載されていました。日本でもドラマ化、映画化が行われた大人気の作品です。随分と前に完結したはずですが、掲載されていたのは続編にあたる「花のち晴れ~花男 Next Season~」の翻訳版でした。日本だと、ウェブコミック配信サイトのジャンプ+で連載されています。


巻末の目次を見ると13作品しか連載されていませんでした。「バディストライク」「ものの歩」「左門くんはサモナー」といった新しい作品が見当たりません。「こちら葛飾区亀有公園前派出所」「火ノ丸相撲」「斉木楠雄のΨ難」といった作品も載っていません。


本誌に載っていない「磯部磯兵衛物語」ですが、単行本の宣伝がありました。週刊誌に載っていない作品でも、翻訳されて単行本として販売されています。


この宝島少年は、読者参加型の投稿コーナーも充実していました。一コマ劇場で「標準立方体」というお題の作品。


お題は「老鼠(ねずみ)」ということで、ピカチュウやドラえもんの姿も描かれています。


眼鏡が似合うジャンプキャラ選手権も盛り上がっていました。「バクマン。」の高木秋人、「黒子のバスケ」の緑間真太郎、「BLEACH」の石田雨竜、「ニセコイ」の奏倉羽といったキャラがエントリーされています。


質問コーナーもありました。
Q:学校の友だちがジョジョの良さを分かってくれない
A:ジョジョ立ちから「うりゃー」と雄叫びを上げて、ジョジョが何とクールな作品か教えてあげなさい。もし、それでも友だちがつまらないというのなら、オラオラオラオラと承太郎ばりのラッシュを決めて、その口を黙らせろ(かなり意訳)
……とジョジョの奇妙な冒険についても、熱く語り合っています。


「劇漫塾」といったマンガの描き方を教えるマンガもやっています。


編集部だよりは、可愛らしい2頭身キャラが動き回っていました。


◆新少年快報
1992年9月17日に創刊された「新少年快報」という雑誌が、「週刊少年マガジン」の公式な台湾版となっていました。日本だと270円ですが、台湾だと定価85元(約310円)で販売されています。


どんな作品が連載されているのかというと……

中世ヨーロッパの世界観で繰り広げられる冒険ファンタジー「七つの大罪」こと「七大罪」が巻頭カラーを飾っていました。


金田一少年之事件簿R」も載っています。「發生殺人事件!」と、今日も金田一少年は事件に巻き込まれていました。


映画化もされた「神さまの言うとおり弐」は「要聽神明的話貳」という重々しい題名でした。試練というゲームをこなさないと生き残れない、理不尽なくらいに人が死んでいくサバイバル系のマンガです。


「はじめの一歩」こと「第一神拳」も連載されています。幕之内一歩が主人公のボクシングマンガ。ふと入った食堂のテレビでも、普通にアニメが放映されていました。


そして最後に「火鳳燎原」という聞いたことのないマンガが載っていました。香港出身の陳某氏が描く三国志を題材にした作品。単行本は現時点で56巻まで販売されています。日本版もあるようですが、2009年12月発売の9巻以降は音沙汰無しの様子。


巻末の目次ですが、なぜか9作品しか載っていません。その代わり「七つの大罪」「金田一少年の事件簿R」「神さまの言うとおり弐」「山田くんと7人の魔女」といった4つの作品が2話同時掲載となっています。


今回の号では「あひるの空」「FAIRY TAIL」「風夏」「ACMA:GAME」は休載。


毎号で2話同時掲載をやっているようで、日本版のマガジンと比べると、少年快報の誌面構成はかなり変則的でした。


読者プレゼントのコーナーには、七つの大罪の鈴木央先生直筆のサイン色紙が並べられています。


◆龍少年
龍少年は日本語だと少年ドラゴンでしょうか。実に少年誌らしいネーミングの雑誌です。台湾人マンガ家の作品が連載されています。1992年に創刊したものの売上不振から1998年に休刊。2003年にマンガ文化振興を進める政府系機関の助けを得て復刊し、今に至っています。定価は95元(約340円)となっていました。


巻頭カラーは「SINNERS罪魂使」という作品でした。


異世界の怪物が主人公のクラスメートを皆殺しに、という衝撃的な展開。絵柄だけなら、日本のマンガと見間違えそうです。可愛い女の子も出てきます。設定も作りこまれているようで、この後のストーリーが気になりました。


隱藏關卡


太い線でしっかりと描かれています。コマも整理されていて見やすいです。


女王桃樂絲


一転して、こちらのマンガは強弱のある線で描かれています。この人にしか描けないといったような特徴のある絵柄でした。


配角X3」という作品。ガンダムを彷彿させるモビルスーツに身を固めています。


このくまキャラが気になって仕方ありません。


前略。我與貓和天使同居。」という作品は、日本の「前略。ねこと天使と同居はじめました」というライトノベルのコミカライズ作品。


火事に巻き込まれた猫でしたが、間一髪の所で救出されていました。


P工學生會」という4コママンガもあります。


爆氣漫畫教室」という作品は、マンガ教室を舞台に台湾の出版事情を描いたマンガです。マンガへの情熱が伝わってくる賑やかな紙面でした。


巻末の作者コメントはイラスト付き。


トレーディングカード、カラーポスター、カレンダーと特典も充実していました。


◆広報誌
このようなマンガ事情もあって、台湾の本屋さんでは新刊案内のフリーペーパーが手に入ります。

「宝島少年」「新少年快報」「龍少年」の発行元でもある東立出版のフリーペーパー。「進撃の巨人展」のイベントを台湾でもやっていたので、その告知が一面を飾っていました。集英社、講談社のマンガを中心に翻訳して販売してるのが、この東立出版です。


新刊案内の告知。ホラーマンガで有名な伊藤潤二氏の「伊藤潤二自選傑作集」は本屋でも目立つ場所に置いてありました。


マンガだけでなく日本のラノベも翻訳されて販売されています。「奴隷GET!!」という言葉の破壊力。「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」という作品が取り上げられていました。


1位:ワンパンマン(4)
2位:食戟のソーマ(14)
3位:進撃の巨人(17)
4位:ニセコイ(19)
5位:銀魂(60)
6位:ハイキュー!!(17)
7位:BLEACH(69)
8位:ワンピース(78)
9位:ニーチェ先生~コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた~(3)
10位:こちら葛飾区亀有公園前派出所(145)
……といった東立出版の単行本売り上げランキング。


尖端出版という会社のフリーペーパーもみつけました。可愛らしい女の子のイラストが載っていますが、包丁とぬいぐるみは、どうみてもヤンデレのヒロインです。


こちらの出版社は「東京喰種」の版権を持っています。


他にもマンガ「3月のライオン」「弱虫ペダル」、ラノベ「のうりん」「ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件」といった作品を販売していました。


「御用飯桶」という作家のラノベ作品。日本の作品にもありそうな挿絵のイラストです。


◆マンガ本
台湾を訪問したら、マンガ本を探してみるのもいいでしょう。出版社が定価を決めているのですが、本屋さんでは1割引きくらいで販売されています。日本のような再販制度がありません。

「ワンパンマン」「NARUTO -ナルト-」は定価100元ですが90元(約320円)で購入。「ギガントマキア」は定価140元ですが126元(約450円)で購入。


「NARUTO-ナルト-」の登場人物はすべて漢字名でした。マンガの世界観と一致しているので、違和感を感じません。


「埼玉」と名乗ったワンパンマンの主人公。


「干物妹!うまるちゃん」は「我家有個魚乾妹」という題名でした。著者のサンカクヘッドさんも「三角頭」となっています。付録つきの限定版が定価199元(約720円)でした。単行本が130元ですので69元(約250円)が付録代。


箱の中には、ピンバッジが入っていました。


「超好吃(超おいしい)」と目を輝かせていたうまるちゃん。


◆イラストレーター
マンガ文化が根付いているからこそ、台湾のイラストレーターはレベルもかなり高いです。

台北のオタク街として有名な台北地下街では、昨年の夏にイラストコンペが行われていました。浮世絵や日本を意識したテーマで、和服か浴衣の女性が描かれているのが条件。受賞作品が飾られていたのですが、惹き込まれてしまう作品ばかりでした。

ため息がこぼれてしまうくらいに見事なイラスト


コミカルなタッチで描かれた少女と猫。


ほんわりとしたピンクの使い方に、魅せられてしまいます。


こちらは不思議の国のアリスをモチーフにした渋めの作品でした。


独自の進化を遂げつつあった台湾のマンガ文化は、これからも注目していきたいところです。台湾のマンガ作品が日本で大ヒットすることだって、遠い未来の話ではないでしょう。

ちなみに、抱き枕も販売されていて……


ボーイズ・ラブを題材にした作品もあるようでした。


(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

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in 取材, Posted by logc_nt