「髪の毛の10分の1」という薄さのレンズ開発に成功、スマホ・デジカメ・眼鏡が劇的に変わる可能性

by University of Utah College of Engineering

ユタ大学のラジェシュ・メノン教授(電気・コンピュータ工学)らのチームが、現在用いられているカメラのレンズよりもはるかに薄く、人間の髪の毛の細さの10分の1という平面レンズの開発に成功しました。

Chromatic-aberration-corrected diffractive lenses for ultra-broadband focusing : Scientific Reports
http://www.nature.com/articles/srep21545


New lens ready for its close-up | EurekAlert! Science News
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/uou-nlr021116.php

Lens 10x thinner than human hair could revolutionize smartphones, cameras, eyeglasses — RT News
https://www.rt.com/news/332438-thin-lens-cameras-smartphones/

光がレンズを通過する時に、色がそれぞれ異なった角度で曲がってしまうことから、「平面で極薄の光学レンズ」を作り出すことは無理だというのがこれまでの常識でした。しかし、メノン教授らはこの常識を覆す発見を、2月12日(金)発行のScientific Reportsに掲載された「Chromatic-aberration-corrected diffractive lenses for ultra-broadband focusing」という論文で明らかにしました。

論文によると、平面な回折レンズはすべての色を同時に修正することができない、という考えは間違いであるとのこと。

現在一般的に用いられているカメラのレンズ類は、「色によって曲がる割合が異なる」という前提に基づき、凸レンズ・凹レンズをいくつも組み合わせて光を1点に集中させています。これは「屈折」を利用したものです。

一方、メノン教授らが着目したのは、波が障害物にぶつかったとき、障害物の背後に回り込んで伝わる現象・「回折」です。自然界で、カラフルな蝶の羽根や、七色の虹が見えているのは、回折によるもの。そこで、レンズの中にミクロ構造を設けて、光の回折を利用することで、異なる色が同じ1点に集まるようにしました。

by Moyan Brenn

こうして作られたレンズが「スーパーアクロマチックレンズ」で、人間の髪の毛の、さらに10分の1という薄さを実現。素材はガラスやプラスチックなど、任意の透明材料でOKだとのことですが、特定のアルゴリズムを用いて異なる色が1点に集まるようにレンズの結合構造を計算する必要があるため、制作は容易ではないそうです。

しかし、平面・極薄のレンズが作れるということは、できるだけ小さなボディを目指しているスマートフォンやカメラにとっての福音であり、また、医療器具においても大いに役立つことが期待されます。メノン教授らは、5年以内の実現を目指しているとのことです。

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in サイエンス, Posted by logc_nt