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著作権侵害申し立てを受け「アンネの日記」がWikisourceから削除される

by Shane Gorski

フリー百科事典のWikipediaなどを運営するウィキメディア財団が、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づいて「アンネの日記」をWikisourceから削除したことを発表しました。「アンネの日記」はアンネ・フランクが1945年に亡くなってから70年が経過し、2015年いっぱいをもってパブリックドメインになったと考えられていました。

Wikimedia Foundation removes The Diary of Anne Frank due to copyright law requirements ≪ Wikimedia blog
https://blog.wikimedia.org/2016/02/10/anne-frank-diary-removal/


Wikisource(ウィキソース)は、そのサイト内の「ウィキソースとは何か」において「凡ての言語での一次資料の概論の作成を目標にしたウィキペディアの姉妹プロジェクト」と説明されていて、著作権の切れた原本や歴史的文書、あるいは統計的な資料、パブリックドメインにあるソースコードなどを収集しています。

アンネの日記」は、ユダヤ系ドイツ人の少女アンネ・フランクが、アムステルダムでユダヤ人狩りから隠れ住んでいた1942年6月12日から1944年8月1日までのことを書き記した書物です。

アンネは家族ら8人でオランダの隠れ家に潜んでいましたが、何者かが密告を行ったことにより、1944年8月4日に逮捕されました。このとき、「アンネの日記」のもとになった文書は隠れ家に残され、アンネらを支援していたオランダ人女性ミープ・ヒースベップ・フォスキュイルが回収しました。

戦後、アンネの父・オットーは逮捕された8人の中でただ1人、強制収容所からアムステルダムに生還。文書を受け取ってまとめ、「アンネの日記」として出版しました。これが1947年のことです。

アンネの日記の「作者」であるアンネ・フランク自身は1945年2月、ベルゲン・ベルゼン強制収容所でチフスのため亡くなっています。「著作権保護期間は作者の死後70年」という、ヨーロッパ諸国で多く採られている考え方に基づくと、アンネの日記はアンネ・フランクが亡くなって70年経過する2016年1月1日をもってパブリックドメインになる、ということになります。

ただし、アンネ・フランク財団は、出版に尽力したオットー・フランクがアンネとは別に著作権を取得していて、オットーの亡くなった1980年から70年間が著作権保護期間であると主張しています。

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これとは別に、アメリカの著作権法では、1978年以前に出版された作品に関しては「刊行・発表から95年」か「制作から120年」の短い方が著作権保護期間だと定められています。著作権法ができたときの保護期間は28年だったのですが、「ミッキーマウス延命法」とも揶揄される法律改正が加えられた結果がこれ。ミッキーマウスの初出作品「蒸気船ウィリー」は2023年まで保護されることになっています。

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「アンネの日記」も、出版当時の基準では保護期間は56年間であり、英語版が刊行された1952年から2008年までが保護期間となっているはずでしたが、著作権法の改正、およびウルグアイ・ラウンド協定法の絡みもあり、オリジナル版刊行の1947年から95年間、つまり2042年までは保護されるということになります。

つまり、ウィキメディア財団は、サーバー所在地・組織の設立・本部の場所という3つの要因からアメリカの司法管轄下にあることが定められているため「アメリカの著作権法において著作権侵害にあたる『アンネの日記』の掲載を続けることはできない」という判断から、DMCAに基づいて削除が行われた、というわけ。

この措置は、現行法のもとにおいては、仮にオリジナル版の出版されたオランダでオットー・フランクの著作権が認められず、2016年1月1日をもってパブリックドメインになっていても変わらない部分であり、「ミッキーマウス延命法」が他の作品にも影響を及ぼしている一例と言えそうです。

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