「日本一の秘境駅」小幌駅とはどんな駅なのか確かめに行ってきた


周囲に人家がほとんどないところに存在する駅を「秘境駅」と呼び、その周囲に何か名所がなくても、駅自体を目的として訪れる人もいます。その中でも「日本一の秘境駅」と呼ばれているのが、北海道にある「小幌(こぼろ)駅」です。その秘境度合いは、訪れた人が公開している写真などからうかがい知ることができますが、体感してみたいと思い、現地まで行ってきました。

小幌駅の場所はここ。内浦湾沿いにある、長万部から室蘭市経由で岩見沢を結ぶ室蘭本線の駅です。


室蘭本線自体は、途中で分かれる千歳線を経由することで、函館方面と札幌方面を結ぶ特急列車や貨物列車が数多く走る路線ですが、小幌駅は利用客が極めて少ないため、普通列車のうち一部しか停車しません。その数は、東室蘭方面行きが1日3本、長万部方面行きが1日5本です。

今回は、洞爺駅からスタートし、小幌駅で下車したあと、再び洞爺に戻ってくることにしました。


乗車したのは洞爺駅8時7分発の長万部行き。向こう側のホームには大きなスーツケースを持った人が何人もいますが、もちろん小幌駅へ行くわけはなく……


スーパー北斗1号で札幌方面へ向かう人たちでした。


列車はしばらくは内浦湾沿いを進みますが、礼文駅の手前から海を離れて内陸へ。なお、洞爺駅乗車時点で乗っていた人はほとんどが豊浦駅で降りてしまい、礼文駅の時点で、同じく小幌駅を目指す同行者1名と、ほか2人ほどが乗っているだけになりました。


礼文駅を出ると長いトンネルに入ります。これを出たところが小幌駅。運賃は洞爺駅から450円。列車の始発駅である苫小牧から乗車すると2160円です。


洞爺駅を出て29分、小幌駅に降り立ちました。車両の後ろの方を見ると、2両編成の2両目はトンネルの中に止まっていました。ワンマン運転で、一番前の扉からしか降りないので特に支障はありません。


2両目はキハ150形だったようで、乗ったときに見たのとは違う顔で列車はトンネルへと走り去っていきました。こうして見ると、小幌駅がトンネルとトンネルとの間にあることがわかります。


「H45」という駅番号がついていて、秘境駅とはいえちゃんとした駅の1つであることを感じます。なお、小幌駅は現存する駅の中で日本一の秘境駅として知られているため、こうして訪れる人の数は決して少なくなく、ホームの上に積もった雪は乗車位置・下車位置とそこに至るまでのルートが踏み固められていました。もちろん、除雪作業も行われています。


ホームには注意書きがあり、それだけ撮影目的で小幌駅を訪れる人が多いことがわかります。


これは降りたホームにあった長万部行きのダイヤ。今回は8時33分の列車で到着したので、もし長万部に行きたい場合は11時35分まで待つ必要があります。


ホームから降りて、ちょっと開けた位置から振り返ったところ。正面は東室蘭方面行きのホーム、右側にある手すりのついている部分が長万部行きのホームです。


うろうろしていると、トンネルから警報音が鳴りはじめました。これは列車通過を示すもので、やがて、音声アナウンスが流れます。長万部行きホームはかなり狭いので、列車通過時には開けた部分まで待避しておくほうがベター。

小幌駅をスーパー北斗2号が通過 - YouTube


この開けた部分には詰所が建っていますが、もちろん立ち入りはできません。


季節によってはマムシが出るようで、多くの注意書きがありました。


扉の外れてしまったトイレ。


ここからさらに南に行くと海岸へ出られるのですが、折り返しの列車までの時間を考慮して進むことは諦めました。雪のない時期ならもうちょっと楽に進めるはず。


踏切を渡って向こう側へ。


……といっても、積雪のせいでどこが正しい踏切の位置なのかはよくわかりません。


踏切を渡りつつ左側を見ると、長万部方にあるトンネルの口が2つ並びます。左側が幌内トンネル、右側が新辺加牛トンネルで、「幌内」という銘板の横には「美利加浜」と書かれていますが、これは幌内トンネルを抜けた先にあるトンネルの名前。


右側(東室蘭方)は左が礼文華山トンネル、右が新礼文華山トンネル。


東室蘭方面行きのレール側は踏切の踏み板が見えていました。


こちら側からだと、踏切がどの位置なのかがわかりやすいかも。


到着した長万部行きのホームがこんな感じで見えています。


東室蘭行きのホームには、釣り人向けに「全長35cm未満のカレイはリリースして下さい」というシールが貼られていました。近くに集落もなにもない駅ですが、鉄道ファンのほか、釣り人が利用していることが多いそうです。


東室蘭方面行きは9時16分発・15時40分発・17時55分発の1日3本だけ。


あまりにも停車本数が少ないため、1月21日には普通列車が通過してしまうという、ちょっとした事件も発生。このときは、次に小幌駅を通る特急・北斗が臨時停車しました。そのときの様子のムービーを、事件に遭遇した本人がアップしていて見ることができます。


駅の北の方から川が流れていて、ホームの下をくぐっています。


駅名標の裏側はこんもりと山になっていて、雪の上に小動物らしい足跡が残っていました。さすがに、人がここを登るのは難しそう。


一応、国道37号(胆振国道)がそう遠くないところを走っていて、「車の走行音が聞こえることがあるので秘境というほど秘境ではない」という印象を受ける人もいるらしいのですが、この日は雪が音を吸収してしまうせいか、ほぼ静寂で、雪に閉ざされた秘境という雰囲気でした。


無音の小幌駅 - YouTube


閉ざされた、とはいっても海側は開けているので、閉塞感はありません。


東室蘭行きホームの東端、トンネル手前には電気所の機器室が。ここで海抜48mだとのこと。建物手前に置かれている箱には駅ノートなどが入っています。


やがて、再び警報音が。これは帰りの列車の到着を知らせる音なので、乗り逃すわけにはいきません。

小幌駅に東室蘭行きの列車が到着 - YouTube


到着した列車に乗って、礼文華山トンネルへ入ると小幌駅とは完全にお別れ。


今回は8時33分着・9時16分発という、最も滞在時間が短いパターンで訪れましたが、たとえば長万部行きで7時14分に到着して、今回来るときに使った8時33分発で長万部へ抜けるという手もあります。

小幌駅を訪問した記録は多々公開されていますが、このあたりの観光やルートについて詳しく知りたい人は、小幌駅の東隣・礼文駅で下車。


駅を降りてまっすぐ進むと交差点があるので……


左折。郵便局のはす向かいに、理髪店があります。ここで「北の物好きがナビゲート 礼文華観光案内 ちょい+」という冊子を800円で購入できます。


これは「礼文華観光案内 - 小幌駅ノート管理記録 ... Masami's Storiette」の管理人さんが作成したもの。


徒歩での到達方法や、海岸沿いにあるスポットなどが詳しく取り上げられているので、興味のある人はぜひ読んでみてください。なお、現地で買うと気分が高まっていい感じですが、COMIC ZINの通信販売でも購入可能です。


なお、この小幌駅はJR北海道が2015年10月をめどに廃止する予定だったものの、駅のある豊浦町が観光資源として残すことを求めて話し合いになり、2016年末までの1年間は町からの支援を受けて存続することが決まりました。

「日本一の秘境駅」小幌駅 | 北海道豊浦町
http://www.town.toyoura.hokkaido.jp/hotnews/detail/00002331.html


北海道新聞によると、すでにファンからは寄付の申し出があり、ふるさと納税の使途に小幌駅の項目を加えたところ1ヶ月で30万円が集まったとのこと。なお、小幌駅の管理にかかる費用は年間約150万円です。

秘境「小幌駅」応援 豊浦町が基金新設へ | どうしんウェブ/電子版(政治)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0234213.html

豊浦町では駅訪問ツアーを企画中で、まずは2月18日~23日・25日・26日にモニターツアーが実施されます。町外の人が対象で、参加は無料。スノーシューを履いて小幌海岸周辺を散策し、ホタテ加工場を見学、蒸しホタテの試食もあるとのことですが、催行最低人数は4人、定員は先着10人です。

「日本一の秘境駅」町が無料ツアー 北海道・小幌駅:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASJ2F4DJVJ2FIIPE00Q.html

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in 取材,   乗り物,   動画, Posted by logc_nt