携帯電話基地局による電磁場は手足の切断部に「痛み」を生み出してしまう

By Timothy Vogel

携帯電話基地局などの電磁エネルギーを放出する施設により生み出される「痛み」の存在を示す論文を発表しました。論文は電磁場と痛みの関係を科学的に示したものとして注目を集めています。

PLOS ONE: Anthropogenic Radio-Frequency Electromagnetic Fields Elicit Neuropathic Pain in an Amputation Model
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0144268

Study Uncovers How Electromagnetic Fields Amplify Pain in Amputees - News Center - The University of Texas at Dallas
http://www.utdallas.edu/news/2016/2/3-31891_Study-Uncovers-How-Electromagnetic-Fields-Amplify-_story-wide.html?WT.mc_id=NewsHomePageCenterColumn

Electromagnetic Fields Shown to Produce Pain in Amputees | Medgadget
http://www.medgadget.com/2016/02/electromagnetic-fields-shown-to-produce-pain-in-amputees.html

電磁場の人体への影響は以前から議論されていたところで、その中には手術で手足を切断された人が携帯電話基地局の周囲で切断部分に神経痛を感じるという報告が相次いでいたそうです。こういった報告を受けて、テキサス大学の研究チームは「負傷により切断された手足に時折発生する末梢神経の炎症(神経腫)が電磁場に反応しているのではないか」という仮説を立てて電磁場と切断部の神経痛の関係を明らかにすべく実験を行いました。

研究チームは20匹の実験用マウスを「足の切断手術を受けたのと同じような状態の神経損傷が与えられたグループ」と「ニセの治療が施されたグループ」の2つに分けて実験を行いました。実験は全てのマウスを1週間に一度10分間だけ、無線周波数電磁界を作り出すアンテナ付近にさらして、体に起こる変化を調べるというものです。アンテナによる電磁場は、携帯電話基地局から39m離れた場所と同じ強さに調節されていたとのこと。


実験開始から4週間後、神経損傷が与えられたグループの88%で神経痛の反応が確認され、健康体のグループでは1匹だけに神経痛と同じ反応が確認されました。その痛みに対する反応は手足を切断した際の神経損傷の結果として発生し、激しい痛みをうみだす「神経腫」が確認された後も続いていたそうです。

実験を率いたRomero-Ortega博士は「我々が行った実験では、神経腫の発症前に電磁場による神経痛が確認されました。また、ほとんどのマウスは実験開始直後から神経痛に対する反応をみせました」と話し、「実験は携帯電話基地局の電磁場が痛みをもたらすことを証明する初めての証拠になるでしょう」と話しています。


今回の実験では、あくまでも「マウスの場合、電磁場により神経痛が引き起こされている」ことが示されたわけで、人体でも全くおなじことが起こるかと言うと、それを証明する研究は記事作成時点でないようです。もし、電磁場が手足の切断を余儀なくされた人たちに痛みを与えているのであれば、それを証明するさらなる研究に期待がかかります。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log