諜報機関がオープンソースソフトウェアを使って軍事用ドローンのカメラ映像を傍受していたことが判明


偵察や攻撃などの任務を帯びて敵地へと無人で飛行する軍事用ドローン(無人航空機)が戦争や紛争の現場に投入されるようになっていますが、戦争につきものの「スパイ活動」もそんなドローンをターゲットにする時代になっています。元NSA(アメリカ国家安全保障局)職員のエドワード・スノーデン氏がThe Interceptorに公表した資料からは、アメリカとイギリスの政府系機関がイスラエルやシリアなどの紛争地域で用いられている軍事用ドローンの信号を傍受していたことや、その中では広く一般に無料で公開されているオープンソースのソフトウェアが使われていることが明らかになっています。

Israeli Drone Feeds Hacked By British and American Intelligence
https://theintercept.com/2016/01/28/israeli-drone-feeds-hacked-by-british-and-american-intelligence/

NSA, GCHQ used open source software to spy on Israeli, Syrian drones | Ars Technica
http://arstechnica.com/information-technology/2016/01/nsa-gchq-used-open-source-software-to-spy-on-israeli-syrian-drones/

スノーデン氏がThe Interceptに持ち込んだとされる資料によると、イスラエル、シリアやその他の国や地域で使われているドローンを長期間にわたって偵察する軍事的作戦が実施されていたことを示す証拠が存在しているとのこと。この作戦は、イギリスで国内外の情報収集などを行っている政府通信本部(Government Communications Headquarters:GCHQ)がアメリカのNSAの協力の下で実施していたもので、コードネーム「Anarchist(無政府主義者)」と呼ばれていたものとされています。

この作戦の中でGCHQは、ドローンが発信しているスクランブル(暗号化)済みのアナログ映像を傍受すると同時に、ドローンの飛行ルートをトラッキングしていたとのこと。そして場合によっては、イスラエル軍の戦闘機が攻撃作戦中に撮影した映像をも傍受していたとされています。


政府系機関による傍受活動が明らかにされたわけですが、その背景にある技術は誰でも手に入るオープンソースのソフトウェアが使われていたことも判明しています。NSAとGCHQの分析官が作業に用いていたのは、画像ファイル操作用のオープンソースソフトウェア「ImageMagick」だったとのこと。また、商用の人工衛星が映像にかけているスクランブル処理を無効化するオープンソースソフトウェア「AntiSky」もコードネーム・Anarchistに投入されていたとのこと。しかしこれらの作戦は、ドローンからの信号がデジタル方式に移行するに従い、困難を高めていったとされています。

ドローンからの電波は、キプロス国内に位置するトロードス山脈に建設されたイギリス空軍の施設にある、GCHQの傍受ステーションで傍受されていたとのこと。この施設は、イスラエルやシリア、レバノン、トルコ、エジプトといった地中海東岸~北アフリカ地域において、人工衛星や無線を使った通信を傍受するために建設されたものであるとThe Interceptorは報じています。


実際に傍受されていた映像は、主にドローン本体の状態を把握するために撮影されていた低解像度の映像。GCHQとNSAはこの映像からドローンの機体重量などを推定することが可能だったとのことですが、実際にドローンが取得した機密データを傍受するには至っていなかったとみられます。以下の画像は、イスラエル国防軍が運用するドローン「IAI Heron」のカメラが捉えていた映像からのものですが、この映像はイスラエル軍が武装したドローンを運用していること初めて具体的に示すものとなっているとのこと。


IAI Heronは高度9000メートルまで上昇が可能で、約40時間の連続飛行を行うことが可能な中型の軍事用ドローン。2014年には韓国軍が同機を選定したことを発表しています。

MULTI-ROLE STRATEGIC MALE UAS Heron
http://www.iai.co.il/2013/18900-16382-en/IAI.aspx


また、イスラエル軍のF-16戦闘機が捉えた映像も傍受されていたとのこと。以下の画像はF-16戦闘機が2008年1月の作戦でガザ地区上空を飛行していた時のものであると、NSAの内部文書で説明されているもの。


また、NSAはイラク反乱軍のドローンも傍受のターゲットにしていたとのこと。イランで製造されたとみられる"ローテク"ドローンの信号は、わずか数千円で市販されているロシア製の衛星インターネット通信傍受ソフト「SkyGrabber」を使って2008年から2009年にわたって盗み見られていたといいます。

しかしこれらの傍受活動は、映像信号がデジタル化され、他のデータと一緒に送信されるようになってからは困難さを増してきたとのこと。GCHQの分析官は、通信技術が近代化されたことで傍受が難しくなったとする報告書を提出していたことも判明しています。

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