ゼロックスの馬鹿げた特許に見る特許制度の機能不全状態とは?


電子フロンティア財団(EFF)は毎月、特許権が付与された発明の中でもっともバカバカしいものを1つ挙げる「Stupid Patent of the Month(SPM)」を発表しています。EFFは、2016年1月26日に特許が認められたゼロックスの「文書のコピーをソーシャルネットワーク上で共有する方法」という特許をSPMに挙げると共に、もはや特許制度が機能不全を起こしているとして批判しています。

Stupid Patent of the Month: Sharing Your Hard Copy Documents, but on a Social Network | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2016/01/stupid-patent-month-sharing-your-hard-copy-documents-social-network

What’s stupid this month: Xerox patents sharing documents online | Ars Technica
http://arstechnica.com/tech-policy/2016/01/whats-stupid-this-month-xerox-patents-sharing-documents-online/

2016年1月にSPMという不名誉な称号を与えられたのは、ゼロックスの特許「(PDFファイル)U.S. Patent No. 9,240,000」で、そのタイトルは「Social Network for Enabling the Physical Sharing of Documents(文書を物理的にシェアできるソーシャルネットワーク)」というもの。

ある特許がどんな内容なのかについては、特許請求の範囲として付与を求める内容について「クレーム」という単位で特許申請書類に詳細に明示されています。U.S. Patent No. 9,240,000についても複数のクレームで特許の内容が書かれていますが、文言の独特な表現について、EFFは苦言を呈しています。

U.S. Patent No. 9,240,000の請求項11を例に挙げるとこんな感じ。「文書のコピーを物理的にシェアするためのコンピューティングシステム」という請求項に、「a」と「b」という補足が長々と添えられています。


補足aには「plurality of programmatic instructions stored on a medium(メディアに格納された複数のプログラム命令)」という聞き慣れない用語が連発されています。そのほかにも聞き慣れない用語のオンパレードで、特許文書を読み慣れていない一般人にとっては、長々と書かれているものの、結局何が言いたいのかよく分からない言い回しになっています。

この意味不明な説明をEFFが簡潔に言い換えると、補足aは「GUI経由でユーザーに文書をプリントしたいかどうかを尋ねたり、その文書を共有したいかどうかを記録する」、補足bは「ユーザーが共有したいと入力したら、その文書の名前や読める場所を表示するようにユーザーステータスを更新する」という、単純なものになるそうです。


EFFによると、このように特許文書は、さまざまな理由から、特許専門の法律家でないと理解できないような難解で長々とした書き方をするのが慣例であるとのこと。特許専門の法律家は、特許の内容や特許権が及ぶ範囲を明確にするためにすべての単語が重要であると語りますが、EFFに言わせれば、その多くが「メディアに格納された複数のプログラム命令」のような特許制度以外の場面ではほとんど意味を持たない言葉であるとのこと。さらに、単純な内容を複雑で難解に聞こえる修飾語で着飾ることで、どのような特許であるかの理解を妨げ、排他的独占権を認める必要もないような取るに足りない発明に特許が付与されてしまうという事態を招いていると批判しています。

ちなみに、EFFは、ゼロックスに認められた特許U.S. Patent No. 9,240,000について、技術的なアイデアは、古くから図書館で使われている「図書貸し出し記録」を単に電子化させただけに過ぎないと、内容の乏しさにも苦言を呈しています。

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