コンドームの代替になるかもしれない「射精のオンオフスイッチ」


男性向けの避妊方法といえば、コンドームを装着するのがごく一般的です。コンドーム以外で男性向けの「再び妊娠が可能な避妊法」はないと言っても過言ではありませんが、スイッチをオンオフするだけで射精を制御できるようになる日が近い将来やってくるかもしれません。

Sperm off-switch may offer men reversible contraceptive | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/01/sperm-off-switch-may-offer-men-reversible-contraceptive/

「射精のオンオフスイッチ」は、ドイツ人大工のClemens Bimek氏により考案されたもの。Bimek氏はこのアイデアの特許を2000年に取得しており、2009年には自身の体に手術を施して実際にスイッチが機能するかどうかのテストを行っています。Bimek氏考案のスイッチは「Bimek SLV」と呼ばれており、2016年には25人の男性で臨床テストを行う予定です。


Bimek SLVは、精巣から伸びる精管に2つの「遮断バルブ」を装着し、精子が尿道まで移動するルートを意図的に遮断しよう、というもの。移植時、精管はカットされてその端に「遮断バルブ」が装着されます。なお、体内に埋め込まれる装置は、粘着性のある素材を使用した磁性のない金属製装置と、生物学的適合のあるポリマーを用いて作られる装置の2つだそうです。

以下のものはバルブの開け閉めを司ることとなるスイッチパーツ。手に持つとこれくらいのサイズで、皮膚の下に移植されます。


Bimek SLVの移植後、バルブのスイッチが肌の下にくるようになっており、これを押せばいつでも精管を閉じたり開いたりが可能。つまり、避妊したい場合はバルブを閉じ、そうでない場合はバルブが開くようにスイッチを押すだけで手軽に避妊可能というわけ。スイッチをオフにした状態の場合、精子は精管から陰嚢の裏側に捨てられるようになっており、この部位は理論上、精子を体内の組織に再び吸収する箇所であると考えられています。


Bimek氏の推定では、Bimek SLVと移植手術の費用をすべて合わせると約5426ドル(約64万円)が必要になるとのこと。ただし、スイッチのオンオフは即座に効力を発揮するわけではなく、効果を発揮するまでに推定で約30回の射精、もしくは1カ月の期間が必要とのこと。また、この方法は性病の予防にも効果を発揮しないので注意。

また、ドイツ人医師のSpiegel氏は、Bimek SLVのバルブ付近に傷ができる可能性や、スイッチの切替えづらさを指摘しています。さらに、バルブを開いたままで長い期間を過ごすと、精管内の精子がバルブが閉まるのを邪魔するかも知れない、ともコメントしています。

なお、Bimek SLVは2015年にミュンヘン出身の泌尿器科専門医であるH.W. Bauer博士が開発に協力してくれることになったと発表しており、今後はクラウドファンディングでの資金集めや、ボランティアの募集を予定しています。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by logu_ii