血液からガンを見つける新会社「Grail」にゲイツ、ベゾスなどの著名人が出資

By r. nial bradshaw

日本人の死因で1位、世界でもトップ3に入るといわれている「がん」は、現代人の健康を語る上で避けては通れない大きな問題です。ビル・ゲイツ氏やジェフ・ベゾス氏らも出資して新たに設立された企業「Grail」は、血液を分析するだけであらゆるがんの発生を探知できる技術を世に送り出そうとしています。

Illumina, partners make $100 million bet to detect cancer via blood test | Reuters
http://www.reuters.com/article/us-usa-healthcare-illumina-idUSKCN0UO0W920160111

Illumina Forms New Company to Enable Early Cancer Detection via Blood-Based Screening
http://www.businesswire.com/portal/site/biospace/template.PAGE/menuitem.ab520ce17e34ab71ff00d635c0908a0c/index.jsp?ndmViewId=news_view&newsId=20160110005039&newsLang=en

がんの治療には早期発見と早期治療が最も効果的とされているのですが、従来のがん検査の多くはすでにがんを患っている人を対象に行われるものが多く、その効果を疑問視する研究成果も発表されています。遺伝子シーケンス企業のIlluminaが新たに立ち上げた新会社「Grail」は、血液を検査するだけという従来にはなかったシンプルな方法でがんを検知できる技術を開発しています。

Grailのがん検査ではまず、腫瘍細胞から流れ出て血液中に運ばれて体中を巡っているDNAやRNAの破片を見つけ出します。これらはcirculating tumor nucleic acids(循環腫瘍核酸:ctNAs)と呼ばれるのですが、GrailはこのctNAsに対してDNAシークエンシングを行うことで、がんの有無を検知するという手法になっています。この際にかかる検査費用は500ドル(6万円)程度で、同社では2019年の実用化を目指しているとのこと。

By Polygon Medical Animation

Grailとそのパートナーはまず30万人に上る対象者の血液を調査することで開発を進める予定を立てており、その中では単に検知率だけではなく、誤診率も併せて調査されるとのこと。誤診率を下げることで、不要な手術やがんの見落としといった不幸な事故を防ぐことを目指しているとのことです。Grailはまずこの検査を肺がんと乳がんを対象に実施し、その後に肝臓や卵巣といった臓器を対象へと広げていく計画となっています。

このGrailの設立にあたっては、数々の投資会社と並んで元Microsoftのビル・ゲイツ氏やAmazonの設立者、ジェフ・ベゾス氏らが出資を行っており、1億ドル(約120億円)を超える出資金が集まっているとのこと。

血液によるがん検査は注目を集めている分野で、調査会社によるとその市場規模は年間100億ドル(約1兆2000億円)とも見積もられています。投資銀行「Piper Jaffray」の調査によると、この分野ではすでに38の企業が技術開発を進めているとのことですが、その多くはすでにがんの罹患が判明している患者を対象にした「リキッド・バイオプシー」と呼ばれる手法であり、新たにがんの発生を発見するものではないとのこと。

将来の展望が開けそうなGrailの新技術ですが、開発には慎重さが求められる側面も残されているとのこと。「10種類のがんを発見できる」との触れ込みで血液検査サービスを提供していたPathway Genomicsは、その効果が証明されず、公衆の衛生を害する可能性があるとしてFDA(アメリカ食品医薬品局)から懲戒を受けているなど、効果性の確立が高く求められています。Grailはロイターの取材に対して、FDAと協調して技術の効果性と安全性を確認していくと回答したとのことです。

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